印象深かったルーヴル美術館の思い出、発表します。
1カ月ほど前に
「ルーヴルの思い出、教えてください」と
みなさんに呼びかけたところ、
約300通もの思い出をいただきました。
ご投稿くださったみなさま、ありがとうございました。
その思い出を、ほぼ日はもちろん
任天堂の開発者のみなさんにも読んでいただきました。
読んでいただいたのは、
「ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館」の
プロデューサーの清水隆雄さん、
開発スタッフの辻村大介さん、
そして、ゼネラルプロデューサーの宮本茂さん!
宮本さんは
マリオシリーズやゼルダシリーズの生みの親で、
世界的に有名なゲームクリエーターです。
そもそも、この音声ガイドができたきっかけは
宮本さんが美術館に行くのが趣味だったからなのだとか。
今回、とくべつに選考に参加していただけることになり、
みなさんの投稿を読んでくださいました。
ほぼ日、清水さん、辻村さん、宮本さんと
印象深かった思い出を4つ選びました。
印象に残ったポイントも添えて、
発表いたします。
高校時代の話です。
3年生の選択授業で美術をとっていた私にとって、
授業での最後の作品となったのが
ラファエロの「美しき女庭師」の模写でした。
教えて下さっていた美術の先生は、
日本画の画家もされている方で、
作品に真摯に向き合う姿勢を教えてくださいました。
受験生であるにもかかわらず、
美術を選択した生徒たちは皆、たっぷりと時間をかけて
それぞれの選んだ作品と向かい合いました。
私はそのとき、模写する絵の資料として、
教科書に掲載されているもの以外に、
図書館から2点画集を借りてきました。
細部まで見るにはこの資料、
筆遣いがよりわかりやすいのはこの資料、というように、
それぞれ参考にしたい部分があり、
私は3つの資料を並べながら作業をしていました。
ところが困ったことに、
それらの資料はどれも微妙に色合が異なっているのでした。
とくに顕著なのが空の色で、
どれが一番実物に近いのか困ってしまった私は、
先生に相談に行きました。
すると先生は
「それはいつか自分の目で実物を見て確かめなさい」
とおっしゃったのです。
それは完全に盲点でした。
必死に模写している絵には実物があって、
私はそれを見に行くこともできるのだと、
資料とにらめっこばかりしていた私は
あらためて気付かされたのです。
将来絶対に「美しき女庭師」を見にルーヴルに行こう、
という決意が生まれた瞬間でした。
この念願がかなったのは実に17年後のことです。
2013年の夏、突然まとまった休みがとれることになった私は
ついにルーヴル行きを決行しました。
開館時間と同時に「モナ・リザ」を目指して
進んでいく人たちにまぎれて、
私はそのそばにある
ラファエロの「美しき女庭師」にたどりつきました。
とても美しい絵でした。
空は青く青く澄んで、
絵の奥にどこまでも広がっているようでした。
まだ人の少ないその一角で、
贅沢なことに15分近くもその絵を独りじめしていたのに、
私の足はなかなか次の作品に向かうことができませんでした。
本物の持つ力強さ、訴えかけてくるものの大きさは、
画集ではとても得られない感動を与えてくれました。
その後、広大なルーヴルを堪能して、
数え切れないほどの作品を見て、
大いに感動して帰ってきましたが、
やはりあの空の青さが一番の思い出として、
今も心に焼き付いています。
(かな)
私がルーヴル美術館に行ったのは、
当時通っていた専門学校の海外研修旅行でした。
パリをいくつかの班に分かれてまわる
1週間くらいの日程だったんですが、
毎日パンパンに詰め込まれた超過密スケジュールのせいで
私は一番楽しみにしていた
ルーヴル美術館へいく当日の朝に体調不良になってしまい、
その日は1日ホテルで寝込むハメに‥‥。
行けなかったショックと
体調不良のダブルパンチで寝込んでいる所に
当時同じ学校内でお付き合いしていた彼氏が心配して、
私の部屋を訪ねてきてくれました。
「やっぱり這ってでもルーヴル美術館行けばよかった‥‥」
と落ち込んでいる私を見て、
彼が「じゃあ明日体調が戻っていたら、一緒にいこう」と!
そして次の日、体調は見事に復活!
同班の先生には「今日もホテルで休む」と嘘をつき、
お互いが班のみんなで行くはずだったスケジュールを
すべて潰して、2人でルーヴル美術館へ行くことに。
こっそり2人でパリのホテルを抜け出して、
知らない街を地図片手にドキドキしながら、
多少の罪悪感を感じつつ、やっとの思いで
ルーヴル美術館に着いたときの感動はすごかったです。
2人とも時間を忘れて
夢中で作品を見て回ったのを覚えています。
「ミロのヴィーナス」を見つけたときは、もう感動で!
自分の目の前にこんなにも近くあの偉大な作品がー!!
「写真じゃないー! 実物なんだー!!」と大興奮!
しばらくその場から離れられなかったです。
まだまだ全然見たりなかったけど、
もう外は暗くなり、そろそろホテルへ戻らないとまずい。
ということで、
ルーヴル美術館の余韻に浸りながら満足げにホテルへ戻ると、
勝手に2人でルーヴル美術館へ行ったことが
先生方にバレていて‥‥。
同じ学校の別の班の人が
ルーヴル美術館で私たち二人を目撃していたらしく‥‥。
先生のホテルの部屋で二人で仲良く正座。
こっぴどく怒られました。
そのあとに何故か
「お仕置きとしてお前ら飲みに付き合え!」と
パリの夜に繰り出し、
当時20歳になりたての自分たちでは到底はいれないような
渋ーいBARへ連れて行かれ、
先生はバーボン、自分たちはジュースでしたが
一杯つきあわされるということがありました。
今思えばとてもいい経験でした。
一緒にあの素晴らしいルーヴル美術館を見てまわり、
正座で怒られ、渋いBARで一杯つきあわされた
当時の彼は、今の私の夫です。
2人の中で、今までの過去最高のデートの場所は
ずっと変わらず「ルーヴル美術館」です。
(ぼんぼん)
生まれて初めてパリに行ったのは20歳のとき、
生まれて初めての海外旅行でもありました。
ルーヴル美術館にほど近いホテルに宿泊し、
初めて行ったルーヴル美術館で感じたのは、「絶望」。
大学では美術史を専攻していて、
行くことを熱望していたルーヴル、
スライドや画集で見たあの絵もこの彫刻もここにある。
だけど、いくらなんだって広すぎる!!!
それまで日本での展覧会に頻繁に足を運び、
飾られている作品を、
「どの部屋のどの壁」にあったか、まで
記憶できることを誇らしく思っていた私ですが、
ここへきて脳内メモリーがパンクしました。
延々と続くロの字型の建物、こちらのルートを通ると、
反対側のルートは見られないし、
両方のルートを観て次に進もうとすると
ロの字を1周半歩かねばならないし。
全部見ていられない、見逃しちゃおうかと思いつつ、
ふと覗き込んだ脇の小部屋にも
大好きな画家の小品がキラッとしている。
「すべて見るには1週間かかる」
とは聞いていましたが、
こんなにクッタクタになるまで歩いても歩いても、
私は沢山の名作を見落としているのだという
敗北感のようなもの。
何日か通いましたが、
結局その思いをぬぐきれませんでした。
いやー。真面目だったなぁ。
大学を卒業し、美術史と関係ない仕事についてからも、
何度かパリに、そしてルーヴルに行きましたが、
いまは「お気に入りの作品に挨拶できればいいや」
くらいの気持ちで、気楽です。
詰め込んだ美術史のウンチクも、ほどよく抜け落ちて、
迷子になることを楽しみながら、うろうろできています。
そうそう、初めての海外旅行で、
まだ若くてよく考えたら日本でもひとりでは
ファストフードくらいにしか入ったことがなくって、
レストランはおろかカフェでも、
なにを注文したらいいかお手上げで、
石井好子さんのエッセイで読んだ
「オニオングラタンスープ」だけは頼めるんだけど‥‥
というような状態だった私にとって、
ルーヴルの地下のフードコートは重宝でした。
いろいろな国の料理があって、
あたたかくて美味しいものが食べられて。
フランスのぐるぐる回る機械で焼いている鶏の丸焼きを、
初めて食べたのはルーヴルです。
‥‥などと書いていたら、
またルーヴルに行きたくなりました。
エジプト人の書記さんに会いたいです。
(tonami)
一昨年の秋に初めてルーヴルを訪れました。
絵を見るのが好きで、日本でも美術館にはよく行きますが、
規模と情報量が違いすぎて、入館5分で半泣き。
美術史の中心が西洋にあること、深く納得しました。
とにかく大きい絵が多くて!
しかもほとんどガラスには入っていないというのが
衝撃でした。
だからなのか、
とてつもなく有名な絵画たちがフレンドリーな印象でした。
有名人なのに、全然気取ってないわね!というような親近感。
あと、展示物を見るだけにとどまらず、
建物内部の装飾にも目を奪われ、
途中から何を見ているのかよくわからなくなりました(笑)。
7時間費やしましたが全部は見れず、
まだまだ未練があります。
DSのガイドは借りませんでしたが、
みんなDSを持っていたので、
初めはフランスでも流行ってるのかぁ!
と思っていました(笑)。
帰国後に気になった作品を調べるのが大変だったので、
このソフトはすごくいいですね。
有名な作品の情報はネットなどでも探せるのですが、
フィーリングで気に入った作品を調べるのが難しいんです。
次行けるのはいつになるかわかりませんが、
絶対もう一度、いや二度や三度は行きたいです!
(30代女 むっむっこ)
かなさん、ぼんぼんさん、tonamiさんには、
清水・辻村賞として
「ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館」の
パッケージ版ソフトを、
むっむっこさんには、宮本賞として
パッケージ版ソフトと
ニンテンドー3DSLLをプレゼントいたします。
ほぼ日からメールをお送りいたしますので、
チェックしてみてくださいね。
このページの冒頭にもありますが、
募集を呼びかけるときに
「数え切れないほどの美術品を所蔵する
ルーヴル美術館には見どころが多く、
きっと、行った人の数だけ、思い出があると思います。」
と、書きました。
約300通の思い出を読んでみて、
まさにそうだったなあ、と思っています。
みなさんのさまざまな思い出から、
ルーヴルという場所のとくべつさを実感しました。
ルーヴル美術館に足を運びたくても
なかなか行けない、という方は、
「ニンテンドー3DSガイド ルーヴル美術館」で
そのとくべつな感覚を
ぜひ、たのしんでみてください。
たくさんのご応募、
ほんとうにありがとうございました。
2014-04-14-MON
2つの時間をつなぐタイムマシンに
ルーヴルがなっているのが心に残りました。
「美しき女庭師」の実物の鮮やかな色彩に
インパクトを受けたこと、私も同感でした。
模写や写真で見るものと、現地で見たものでは
受ける印象や感動がこんなにちがうのか、
ということは、
開発スタッフも制作の過程にて
実際に肌で感じていましたので、
共感できるこのような投稿をいただいて、
たいへんうれしく感じました。
同様の感動をまたルーヴルで
ぜひ体験していただきたいと思います。