糸井 | じゃあ、実際に我が「にこにこり村」を 見ていただきますか。 |
(ギャラリーから「怖い‥‥」の声) | |
糸井 | あぁいうふうに言ってもらえるわけですよ。 |
岩田 | (笑)。 |
糸井 | で、これが僕の家の1階です。 |
(ギャラリーから「イヤー」の声) | |
糸井 | スタートは幼児性から始まってますから、 メリーゴーランドなんかがあるんですね。 で、クルクル回ってるし、 読めない怖さを醸し出してるんです。 乗組員の永田くんは これを「ポーキーだ」って表現しましたね。 |
岩田 | はぁ~。 |
糸井 | たしかに僕は『MOTHER3』を作ったとき ポーキーっていうやつにやらせたかったことを 『どうぶつの森』でやってるんですよ。 |
一同 | (笑)。 |
糸井 | じゃ、2階もちょっと行ってみますか。 |
岩田 | 本当だ、ポーキーだ‥‥。 |
糸井 | 無邪気な邪念が溢れてるでしょ。 人が来たらこう座って‥‥。 |
(ギャラリーから「キャーキャー」という声) | |
岩田 | 座ってるだけで キャーキャー言ってもらえるんですね。 |
糸井 | そう(笑)。 わりと大事なのは、 アイテムを見えるように置かないことなんです。 クマのぬいぐるみとかは、まさにそれ。 あとは、さっきお話した 「幼児性から始まった」という流れで 「おきあがりこぼし」なんかも置いてあります。 2階はざっとこんな感じですね。 あと、やっぱり地下ができてうれしかった。 地下っていうだけで、もううれしいんです。 じゃあ、地下に行ってみますか。 |
(ギャラリーから「怖い‥‥」という声) | |
岩田 | ‥‥これは強烈。 |
糸井 | 人形と観葉植物で、 ラビリンスを作ってあります。 |
岩田 | ほんとだ。 |
(ギャラリーから「絵が見えない」という声) | |
糸井 | 絵はどの位置から見ようとしても 見えないように置かれています。 しかもあれは僕の設定のなかでは 「自画像」っていうタイトルなんです。 で、そこここになんとなく斧を。 |
岩田 | そこここ(笑)。 |
糸井 | あと、ヒラメがちょっと気持ち悪いな、って思って 置いてあります。 ちなみにヒラメの横はカレイです。 |
一同 | (笑) |
(ギャラリーから「ついていけない」という声) | |
糸井 | コツコツとこういう世界を構築していったんですが、 それはお金を持っちゃったことが だんだんとやることがなくなってきちゃったんです。 アイテムを置けば置くほど 怖さが薄まっていっちゃうんですよ。 で、次のステップで何をしたかというと 人が来るのを待ち伏せするんです。 「こんにちは」って声をかけられても返事をせず、 近くに来たら急に暴れだす、 ということを始めたんです。 |
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岩田 | ようは自らが「怖がらす」ということに チャレンジしたと。 |
糸井 | そうです。 話しかけても「‥‥‥」しかしゃべらず、 誰かが近くに来たら斧を振り回しました。 そういうことをやり始めて、 にこにこり村は劇団員が怖がらせる お化け屋敷化していったんです。 |
岩田 | なるほど。 |
糸井 | で、けっきょくあんまりやりすぎて、 人が遊びに来てくれなくなりました。 |
岩田 | (爆笑) |
糸井 | 今度はこっちからよその村に出向いて行って 怖がらせる必要が出てきたわけです。 最初のころは、さっきも2階に置いてあった ピンクのおきあがりこぼしを 置いていってたんですね。 |
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岩田 | 乗組員のみなさんからは 「呪いのおきあがりこぼし」と呼ばれていた アレですね。 |
糸井 | そうですそうです。 で、お金持ちになってからは 人形をプレゼントしたんです。 |
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岩田 | こっちは「悪魔の人形」ですね。 |
糸井 | しまいには「あれが置かれてから村が変になった」 とまで言われる始末でした。 ここまでやって、僕がやりたかったことは ひと段落したんです。 |
岩田 | お疲れ様でした。 |
糸井 | でも、今回、岩田さんとみなさんが お越しになる、ということで 新たにチャレンジしたことがあるんです。 |
(ギャラリーから「イヤァー!」の声) | |
(つづきます) |
会社でプレイしている身としては、 毎日22時くらいになると 「遊びたいなぁ」って思うんですよ。 | |
そうそう! そうなんですよね。 | |
この仕事をあと1時間で終わらせて 1時間遊ぼう、って思うんだけど、 なかなかそれが難しかったりするんです。 | |
やっぱり会社でやるとなると 夜になっちゃうんですよね。 だからあまり変化のある日々が 望めなかったんですよ。 |
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そんなことを言ってるシブヤちゃんだけど、 1度ひんしゅく事件をやらかしてるからね。 | |
え、なんですかそれ? | |
知らないー。 | |
アタシとシブヤちゃんと トミちゃん(アロハ)の3人が ひとつの村でプレイしてるんだけど、 仲よくやってたんですよ。 | |
うんうん。 | |
あんまり遊べないから村の発展も少なくて、 「びんぼう村」と呼ばれた時代もありました。 そんななか、ほそぼそとプレイしたおかげで、 いろんな果実が実をつけるようになったんです。 でも、数は少なく、貴重なものには変わりなく、 増やそうと思って 大事に育てようとしてたら‥‥。 |
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してたら? | |
何を思ったのか、シブヤちゃんが 実を全部落として売っちゃってた(笑)。 | |
あははははは! | |
もう、りかさん、それ言わないでくださいよ。 本当に申し訳ないと思ってるんですから。 | |
(笑) | |
私、ゲームをあんまりやったことないんです。 それこそ、この『どうぶつの森』も 何をやればいいのかまったくわかんなくて、 「とりあえずお金を貯めて、 かわいいものを買おう」 くらいにしか思ってなかったんです。 だから、化石もたぬきちに売っちゃってて。 |
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アタシとトミちゃんは 地味に博物館に寄付してたんですよ。 |
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シブヤちゃん、 まずは「お金」って考えちゃうんだね。 |
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そうなんです。 | |
お金を稼ぐっていう目標はわかりやすいもんね。 女性陣は洋服とかを楽しんで買ってたけど、 男性陣はどうやって楽しんでたんですか? | |
見た目が女だった俺に訊くんですか? | |
あ、そうか! | |
おっくんは、途中から参加したうえに 女の子の風貌かつ名前が「かおたん」でしょ。 |
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男なのに女の子の名前でプレイしてる、 その説明がいるなぁって思ってたんですが、 ‥‥投稿を始めちゃったんですよね。 | |
しかも「ぎゅうにゅう村」だもんね。 |
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この場を借りて説明すると、 あのコンテンツには参加せずに、 もともとは自分ひとりでやろうと思ってたんです。 家で村と自分の名前を入れるところで 嫁がササっと女の子の名前で入力しちゃいまして。 ひとりでやるもんだし、別に知られないから 「ま、いいか」みたいな気持ちでいたら 参加することになっちゃって。 |
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「もうひとり作る」っていうのは 考えなかったんですか? | |
それも考えたんだけど、 8000ベルもする「おうさまのひげ」を 気に入って買ったんですよ。 それだと、また買わないと ならないじゃないですか。 |
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え? でも、それって「おうさまのひげ」を 新たに作ったキャラに「あげる」ことで 解決できるのでは? |
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あっ‥‥。 ま、とにかく、面倒なバイトも終わらせて、 せっかくここまで進めたのに、 また最初からやるのがイヤだったんです。 | |
一同 | (苦笑) |
だから名前とかを公表するのもイヤで、 自分から名乗ることはなかったんですね。 でも、みんなが投稿した写真の中に バッチリ映ってたりしちゃって。 で、けっきょくどうしようか考えてるうちに 自分のペースに持ち込めず終わった、 っていう感じですよ。 | |
おっくんさんが遊びに来るたびに 「かおたんが来ました」って表示されるのが すごくおもしろいんですよ。 「でも、これおっくんなんだよな」って思っちゃう。 |
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俺がやってるのを信用してもらえないんですよね。 「ひょっとしたら奥さんがやってるのかも?」 っていう疑いを感じるんです。 だから遊びに行くたびに「奥野です」と 毎回説明してましたね。 | |
それは逆に怪しい(笑)。 | |
怪しいすぎますよ(笑)。 | |
そういう不便さはありましたね。 |
(続きます。) |
2009-04-14-TUE |