糸井 |
考えてみると、宮本さんは、
ゲームのハードが新しくなるごとに、
「おもしろいって、こういうことでしょ?」
っていうプレゼンテーションを
お客さんに向かってしてきたわけじゃないですか。
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宮本 |
ああ、そうですね。
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糸井 |
だから、たとえば、
平面だったゲームが3Dになったとき、
つくり手である宮本さんには
新しい「おもしろいでしょ?」を提案するうえで
ものすごく大きな表現の幅というか、
新しいよろこびを感じたわけですよね。
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宮本 |
そうですね。
もう、カメラを動かすだけでたのしいし、
それだけでいくつもの遊びにつながるし。
考えるのが、すっごいたのしかったですよね。
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糸井 |
それはお客さんにとっても同じことで。
だから、ゲームにまつわる道具が
新しく変化するごとに、
ぼくらは宮本さんからの
「おもしろいでしょ?」っていう提案を
受け取ってきたという気がしてるんです。
で、今度はWii Uっていう
新しい道具を受け取ろうとしている。
そこで気になるのは、宮本さんは、
この新しい道具のどこをどんなふうに
おもしろがっているのだろうということで。
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宮本 |
やっぱり、イメージしてるのは、
リビングの遊び全体のことですね。
その、自分の家のリビングにこれがやってくるのが、
すごくたのしみなんですよ。
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岩田 |
たとえば、Wii Uを、
宮本家ではどんなふうにつかいますか。
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宮本 |
思いつくところでいうと、
YouTubeをぽんぽん見たりするでしょうね。
嫁さんに、おもしろかった動画を見せたりね。
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糸井 |
あーー、そうですか(笑)。
それは予想外の答えでした。
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宮本 |
(笑)
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糸井 |
ちなみに宮本さんはYouTubeで
どういうものをおもしろがって見てるんですか。
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宮本 |
ぼく、「鷹の爪団」とか、
好きでよく見るんですよ。
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糸井 |
あの、映画館でやってるやつ。
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宮本 |
そうです、そうです。
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糸井 |
あれ、おもしろいですね。
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宮本 |
ああいう、ウェブで公開されてるような、
少人数でつくってる数分間の
ショートアニメーションに
いま、すごくパワーを感じてるんですよ。
で、それを嫁さんに見せようとしても
パソコンでは、うまく伝わらないんですよ。
こう、パーソナルに向き合ってるぶんにはいいけど、
人に見せると、たとえば、音質からして
ちょっと共有しづらかったり。
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糸井 |
あー、なるほどね。
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岩田: |
PCって、やっぱり
複数の人でいっしょに見るようには
できてないんですよ。
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宮本 |
そうなんですよね。
オーディオビジュアルとして不満があると、
内容が入ってこないので。
それを、大画面に映して、余裕のあるスピーカーで
見たときに、やっと内容の話になる。
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糸井 |
そうですね。
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宮本 |
で、おもしろがって見てると、ネット上の動画って、
いま、おもしろいものがたくさんありますから、
あっという間に1時間とか2時間とか経ちますよね。
それがふつうにリビングでできるようになる
っていうのは、いいよなぁって思うんです。
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岩田 |
あと、いまって、スマートフォンの普及もあって、
若い世代の人を中心に、
すごく動画が見られているんだそうです。
そういう動きのなかで、
「自分で見つけたおもしろい動画を
人とシェアして分かち合いたい」っていう
欲求があると思うんですけど、
スマートフォンの画面をふたりで見るのは、
やはりちょっと不自然なんです。
で、その一方で、
「テレビにインターネットの機能を
つけたらどうだろう」っていうのは、もう、
過去15年くらいトライが続いているんですけど、
正直、どれも、うまくいってるとは
いえないと思うんです。
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糸井 |
ああー。
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岩田 |
うまくいってない大きな理由のひとつは、
手元に画面がないからだと私は思うんですね。
というのは、文字を読むことと、ものを選ぶことは、
「手元でやる」のが圧倒的にいいんです。
それはみなさん、スマートフォンやタブレットで
当たり前にやってらっしゃる。
でも、人といっしょになにかを見るときは、
少し離れた場所にある大きな画面のほうが
明らかにいいんですよ。
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糸井 |
なるほど、なるほど。
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岩田 |
Wii Uというのは、手元と、遠くの
両方の画面がある不思議な機械なんです。
もちろん、ゲームというもののおもしろさを
最大限に活かすためにつくったんですけど、
Wii Uがリビングに入ってくるだけで
具体的に役立つことがいくつもあるんです。
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糸井 |
ゲームじゃなくても。
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宮本 |
そう、ゲームじゃなくても。
グーグルのストリートビューで旅先の下調べや
思い出を振り返ったりするんですけど、
Wii Uでできたら、すごく便利で、臨場感もあります。
で、この新しい機械をつかっている流れの中に
ゲームがあったら、それに触ってる人は
ゲームとスムーズにつながっていくと思うんです。
そのまま、『Wii Fit』で
体重を測ってもいいわけですし。
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糸井 |
あーー、そうですね。
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岩田 |
電源さえ入ったら、
あとはぼくらの本領発揮なんですよ。
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糸井 |
「電源さえ入ったら」(笑)。
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一同 |
(笑)
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岩田 |
いや、でもね、そんなに簡単に
電源入れてもらえないんですよ、
テレビゲーム機って。
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糸井 |
おもしろいなぁ、こういう話は(笑)。
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宮本 |
とくに、リビングの中心に据えられると、
「みんながいるときはやめてね」
っていう扱いを受けてしまいがちなんですね。
だから、Wii Uっていうのは、
あくまでも『マリオ』とかの、
ゲームをつくる延長上にあるんですけど、
『マリオ』で遊んでもらうためにも、
リビングでの振る舞い方を
変えていかないといけないんです。
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糸井 |
うーーん、なるほど。
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岩田 |
振る舞い方の例でいうと、
たとえば、リビングの大きなテレビで
『マリオ』を遊んでいるとしますよね。
いままでは、そこで、家族の誰かから、
「○○が見たいから、ちょっとやめて」
って言われたら、
やめなきゃいけなかったんです。
でも、Wii Uなら手元の画面で
ゲームの続きをたのしむことができます。
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宮本 |
で、家族が見てる番組が終わったら、
また大きな画面に戻って遊ぶことができる。
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糸井 |
なるほど、なるほど。
いや、じつはけっこう大きいことですね、それは。
みんながテレビを見てるあいだにも
ゲームを進めることができるのは、
ゲームを遊んでる人にとってすごくうれしいことで。
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宮本 |
途切れずにつながる感じが、いいんですよね。
カラオケでも、誰かが歌ってるあいだに
つぎの曲を予約しておけるのと、
誰かが歌い終わってからつぎの曲を入力するのでは
全体のおもしろみがぜんぜん違いますから。
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糸井 |
そういえば、Wii Uのあのコントローラーは
カラオケのリモコンに似てますね(笑)。
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宮本 |
そう、存在としても、
Wii Uのコントローラーは
カラオケのリモコンみたいなものなんですよ。
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岩田 |
その比喩はすごく正しい気がします。
Wii Uには、標準でカラオケソフトが内蔵されていて、
Wii U GamePadは、まさにカラオケのリモコンにも
なるんですけど、それだけじゃなくて、
たとえば、インターネットブラウザーをつかって、
みんなで、ある動画を大きなテレビで見ているときに、
「つぎはこれを見せたら盛り上がるぞ」
っていう動画や写真を、
手元で検索して呼び出しておく、
っていうようなことができるんです。
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糸井 |
なるほど。
ひとりでゲームをするときのたのしみと、
みんなをたのしませるときの喜びと、
両方につながるものなんですね。
あの、これまでの、Wiiの代名詞ともいえる、
リモコン型のコントローラーはどうなるんですか?
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岩田 |
Wii UはWiiの後継機ですから、
Wiiのコントローラーは、そのままつながって、
Wiiのような遊びもできます。
ただし、Wii Uに付属するのは、
さきほどから話しているWii U GamePadという
画面付のコントローラー1個だけで、
Wiiのリモコンコントローラーはついてないんです。
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糸井 |
それはもう、みんな持ってるでしょ、ということで。
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岩田 |
そうですね。
なにしろ、Wiiのリモコンコントローラーは
世界中で約2億本も出回っているので、
「もう1つ買ってください」というよりも、
「おうちにあるのを使ってください」と言ったほうが、
スムーズだろうと思って。
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糸井 |
その、Wiiのリモコンコントローラーと
Wii U GamePadをいっしょにつかって
遊ぶようなことも?
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宮本 |
当然、あります。
Wii U GamePad1つと
リモコンコントローラー4本をつかって
5人で遊ぶようなものもあります。
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糸井 |
おおー。 |
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(つづきます) |