社長に学べ!

東急ハンズ

糸井 もう、三越とタメはれるぞ、と。
安森 そうそうそう。
糸井 来てくれって言ってんだ、と。
安森 そうなんだよ〜。
糸井 モテちゃったんですね。
安森 そういうのが、いちばんダメなんだよ。
はっきり言ってね。
糸井 ああ‥‥。
安森 でも、新宿の一等地だし。
糸井 ですよね。
安森 伊勢丹より新宿駅に近いし。
糸井 どんどん、いいハナシが重なって。
安森 ルイ・ヴィトンやティファニーもある。
糸井 うーん。
安森 ぼくもね、いまから思えばね、
なんで出したんだろうと。
糸井 そのときには、気づけないもんなんですか。
安森

もう、ぜんぜん、気づけないよね。

結局、いっさいがっさい合わせたら
20億くらいの赤字を出して。
糸井 それだけ稼ぐのって、大変なことですよね。
安森 オレ、その穴を埋めるためにね、
よけいに3年間、やったようなもんだから。
糸井 ああ、新宿の件がなかったら、
もっと早く
相談役になってたかもしれないんですね。
安森

でも、もしかすると、あれがあったからこそ、
こんな対談ができるのかもしれないけどね。

‥‥はっはっは!
糸井 でもやっぱり、うれしいんでしょうねぇ。
三越にモテちゃうなんて。
安森 天にも昇るここちっていうのは、
ああいうことなんだろうよ。
糸井 そんな気分でしたか!
安森

だってさぁ、
ロフトの社長が、三越の社長と会いました、と。

それも「サシ」で、
しかも「メシ」おごってくれるんですよ?
糸井 しびれるなぁ。
安森 しびれるでしょう。
糸井 いままでやってきた成果がここに、と。
安森 そうだねぇ。
糸井 でも‥‥こんなこと言えないでしょうけど、
ロフトを買いたいって会社、山ほどあるでしょう?
安森 それは、あるんだよね。
糸井 いや、そういう会社なんだと思いますよ。
安森 そういう‥‥とは?
糸井 つまり、真似できないんじゃないですか。
安森 そうかなぁ。
糸井 そう思いますよ。
安森 まぁ、もう一回つくりなおせって言われたら、
心底イヤだけどね。
糸井 それだけ手間ひまをかけたんだ。
安森 うん、そう。
糸井

たとえば、東急ハンズとよく比べられると思うんですけど
ハンズって、そこで何が行われてるかを
ぜんぶコンピュータにインプットできる気がするんですよ。

でも、ロフトって、インプットしきれなそう。
安森 できないし、しちゃいけないだろうね、ロフトは。
糸井 そうですか。
安森

それにね、ロフトはもっと、ロフトっぽく、
ハンズは、もっとハンズっぽくなんなきゃダメだよねって、
よく、言ってるんですよ、ぼく。

‥‥ウチの社員だけでなく、ハンズの人にも。
糸井 ほう‥‥。
安森

だって、ハンズがロフトをやっても、
ロフトがハンズをやっても、
おたがい、おたがいにはかなわないでしょう。

だから、ハンズは「素材」や「道具」をはじめ
「男のホビー」を突き詰めていったら
もっと、いろんなことを提案できるんじゃないかって。
糸井 うん。
安森 ロフトはロフトで、
女の子の暮らしの楽しみという部分を
追求していって。
糸井 なるほど。
安森

両方が、もっとしっかりしなきゃならないんです。

そうやって対極をはっきり際立たせることで、
雑貨の領域って、
もっともっと大きくできると思っていますから。
<続きます!>
2008-08-25-MON
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