ピザを所望のおじさまは、
「当店にはピザを焼くための窯など設備がございませんで、
お作りすることができないのです」と、
まこと丁寧で理屈にかなった説明をうけ、
それでも釈然とせぬご様子にて、
メニューを憮然と眺めてた。
おそらく、ご婦人と
「おいしいピザを食べようよ」的話をしながら
ココのお店まできたのでしょうネ。
2人でしきりに残念ね‥‥、と言い続けてる。
他に食べるべき料理はたくさんあるのにネ‥‥。
さて、そろそろボクたちが注文を決めるよき頃合い。
テーブル担当のスタッフがやってきて、
「何をご用意いたしましょう」‥‥、と。
なかなか決まってくれないのです。
まず出だしから、つまづいちゃってる。
前菜のメニューが魅力的すぎて、
まずそれが決まらないから、先になかなかすすまない。
小説を書くときに、まず書き出しが決まれば
あとはすんなり筆がすすんでいく、
っていうじゃございませんの。
どうしても食べたいものはいくつかあるんです。
お店に入ったときにおすすめいただいた、
スパイシーな煮込み料理とやらはぜひいただきたい。
それからパスタ。
おたくの名物っておっしゃるバジリコのスパゲティーと、
ラザニアはどうしても食べておきたいと思ってる。
ただ、そこから先のメインディッシュがまた決まらない。
それで途方にくれているのです。
なるほど、それではこうされてみてはいかがでしょう。
ニッコリしながら給仕係がこう続けます。
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