中華オーダーバイキングのお店の料理には
共通の特徴がある。
コストを下げてくれる特徴です。
メニューの種類は豊富です。
品揃えが少ない店でも60種類は確実にある。
多い店だと100種類を優にこえる商品数。
「100種類以上の料理食べ放題!」なんて
勇ましい看板でお客様の気を惹くお店が結構あります。
前菜料理、魚料理にエビカニアワビ。
豆腐料理や肉料理。
野菜料理に麺飯、点心と
食材ごとにメニューが分類されている。
例えば牛肉の料理をメニューに探してみます。
牛肉とピーマンの細切り炒め‥‥、
いわゆる青椒肉絲が目立つところにまず見つかります。
牛肉と細切りジャガイモの炒め物。
牛肉とキャベツの味噌炒め。
牛肉と季節の野菜の胡椒炒め。
牛肉とくわいのオイスターソース炒めとさまざま。
いろんな料理が揃っています。
なのだけれど、牛肉だけの料理は皆無。
値段が安い店の牛肉料理は
野菜の中に牛肉がちらりほらりと発見できる‥‥、
ような料理で、値段があがるにしたがって
野菜に比べて肉の量が多くなっていく。
しかもとろみのついた調味料がたっぷり使われ、
料理を食べおえても
調味料がお皿にべっとり残っていたりする。
典型的なのはエビチリで、
これは素材のほとんどがエビという珍しい料理。
けれどエビの量よりチリソースが多くて、
お店によっては溶き卵をくわえて
ソースそのものを食べられるよう工夫したりする。
オーダーバイキングの料理は
「野菜とあんかけ調味料」でできているのです。
当然、料理を作るための原価は下がる。
しかも料理の多くは炒め物。
中華鍋ひとつでできる料理で
下ごしらえさえしていれば
一人でちゃちゃっと短時間で調理できる料理がほとんど。
もっとも中国料理屋さんでは、
揚げ物の煮物も基本、
中華鍋一つでできてしまうので調理場も小さくてすみ、
それもコストを下げる要因。
考えてみれば一般的な中国料理の店というのは、
極めて合理的にできている。
ほとんどの場合、料理を盛り付ける丸いお皿と
汁物用のボウル。
取り分け用の小さな皿に茶碗があればなんとかなる。
大皿に人数分を盛り付けて、
テーブルの上で取り分けるから料理を運ぶことは簡単。
食器を積み重ねることも容易で、
食べ終わった料理の器を片付けるのも手間がかからない。
どれもが人手というコストを下げる特徴。
しかも大衆的な中国料理のお店の最大の特徴が、
料理を提供する順番に頓着しないという提供スタイル。
コース料理であれば前菜からはじまって
スープ、肉の料理、魚料理に野菜と続き、
主食、デザートという順番で料理は作られ提供される。
テーブルごとに食事のスタート時間や
食べるペースが異なるから、
タイミングを調整しながら
料理を作らなくちゃいけなくなる。
そのための技量も必要になるし、
調理人の数にも余裕をもたなきゃいけなくなってしまう。
オーダーバイキングの店では
そういう忖度を必要としなくなるのです。
調理人の都合とペースにあわせて料理が作られる。
できた料理はできた順番でテーブルに運ばれるから、
最初に野菜料理が出てきてそれから前菜。
前菜に続いて焼きそばなんかがでてくることは日常茶飯事。
お客様もそれをよしとして
やってくる料理をお腹の中に収めることに
一生懸命になるから
料理の順番なんて細かなことと気にしない。
お店の人の
食材費以外のコストを抑えたいという気持ちと、
お客様の面倒なことを考えず
気軽にたのしみたいという気持ちが
見事なバランスをとって成立したのが、
中国料理のオーダーバイキング。
日本料理やフランス料理のような、
いくつもの調理場でいくつもの調理器具を使い、
何人もの調理人が同時に働かないと
料理を完成させることができない料理では
なかなか思いつかないアイディアだった‥‥、
ということができるのでしょう。
中国料理からはじまった
オーダーバイキングというあたらしいスタイル。
どんどん増えます。
そして中国料理の枠組みを超え、
いろんな料理に応用されるようになる。
支払い金額を気にしないでお腹いっぱいになりたい。
一定の金額の中でなるべく多くの料理をたのしみたい。
「食いしん坊の夢」を叶えるビジネスが
次に向かっていった場所。
それは焼肉。
また来週。
2018-07-26-THU