読みなおす土曜。
2003/07/05
今週の一言

毎週土曜日はレビューの日!
・・・ということで、「ほぼ日」に登場した
あんな言葉やこんな言葉を、ご紹介します。
興味があったら、モトのページも読んでね。

今週は、経験がにじみ出たような言葉を3つ。
反芻するように、味わってみてくださいませ。

【論理より情緒、と数学者は言う】

「奈良女子大に岡潔(おかきよし)
 という大天才数学者がいて、
 彼が情緒が大事だと言い出したんです。
 彼の言う情緒と僕の情緒とは
 ちょっと違いますけどね。

 彼は仏教なんかにも詳しくて、
 美的感受性を大事にしていました。
 だいたい、
 論理で数学の発見はできないんです。
 そう、大事なのは『美的感受性』と
 『調和感』とでも言いますか、
 そういうものがないと
 新しい発見はできない。
 じゃあ数学の発見をするとは
 どういうことか。
 高い山のいただきにある美しい花を
 取りに行くようなものです。
 もともと美的感受性がないと、
 花を手に入れようとも思わない。
 そこに花があることにも気づかないし、
 登っていく意欲も湧かないでしょう。
 
 役にたつものは情報と呼ばれます。
 教養はまったく役に立たないものです。
 ですが、こうした役にたたない教養を
 持っている人間だけが、
 圧倒的総合判断力を
 持つことができるんです。
 
 教養が衰退すると何がいけないのか。
 長期的視野が失われるんです。
 長期的視野は教養からしか生まれない。
 教養の衰退は文化の衰退につながっていく。
 テレビで教養を伝えられますか。
 テレビは情報は伝えられても、
 教養は伝えられないんです。
 教養は活字を追うことでしか得られない」

(※「ぼくは見ておこう」
  数学者の藤原正彦さんがしずかに語った、
  「論理よりも情緒が大切」という言葉)



【自分がいない世界を思う】

「ほんとにね、死ぬ生きるに直面すると、
 案外人間って、
 淡々としてるもんだと思いましたね。
 悪あがきしないなと思った。
 ただ、死ぬのは平気なんだけど、
 自分が死んだあと、
 どこかから、見ていたいですよね。
 後がどうなるか、家族はどうしてるかとか。
 そういうのが、見れたらなぁと思うだけで。
 
 自分のいない世界って、
 寂しいんですよ。
 ぼくの具合が悪くてね、
 ぜんぜん違う部屋に、
 ベッドを持ってってこもって。
 ……これが、まぁー、寂しい。

 ちょっと、
 ほんの5メートルか6メートル離れた、
 階段を隔てた違う部屋に行って、
 ひとりでポンとこうなった時にね。
 この寂しさっていうのは、
 ビックリしました」

(※「体温のある指導者」の中で、
  藤田元司さんによる、70歳をこえて、
  実感しはじめた「死」についての言葉)



【スポーツ界のピーターパン伝説】

「人間があまりにつらい状況に陥った時、
 自暴自棄になったり、
 人生というものを呪う人もいます。
 人生を見失ってしまう、
 と言ったら良いでしょうか。
 1時間や1日で自分を取り戻せる程度の
 試練ならまだしも、
 再起不能になってしまうほどの、
 想像を絶する苦しみに出会う人が
 世の中にはたくさんいるのです。

 往年のチャンピオンが、
 もはやかつてのようではない自分に気付く時、
 自身の人間性さえ失って
 出口の見つからない迷宮に入り込んでしまう、
 ということが実際に起こります。
 終わりの季節を受け入れられずに。

 スポーツの世界には
 ピーター・パン伝説が存在します。
 ピーター・パン、永遠の若さの象徴ですね。
 でも、実際には
 誰も時の神を止めることはできず、
 勝利を謳歌した後の
 終わりの季節を受け入れられないまま、
 危険な混乱状態に陥る人がいるのです」

(※「フランコさんのイタリア通信」での、
  スポーツ選手の終わりの季節についての言葉)



今週のこぼれ話

担当編集者からのこぼれ話や
裏話をお伝えいたしまーす。

【新宿二丁目のほがらかな人々】

今回のテーマ「インテリア」にちなんで
収録は、完成したばかりの
ジョージさんの部屋で行なわれました。
前にも(キッチンの様子だけは)
少しお伝えしたんですけど
この部屋が、すごいんだ。
画像ではお届けできない部屋の様子、
ちょっと解説してみましょう。

都心のどまんなか、
とある大使館のすぐそばに建つ
一見、マンションとは
わからないようなビルの5F。
100平米くらいのスペースを
リフォームした部屋が
ジョージさんの住まいです。
大きなリビングルームに、
机のある小部屋がひとつ、
ベッドルームがひとつ、
ダイニングキッチン、
バスルーム、トイレ、
そして、すごい納戸がふたつ。

納戸のひとつは、
ウオークインクロゼットなんですが
ベッドルームからつながっていて
扉はガラスの引き戸。
ハンガーの奥行きは
総延長10メートルくらい
あるんじゃないかな!?
そこに、仕事用のスーツが
ずらり並んでます。
(ジョージさんというのは、
 本業は実業家なのです)
なるほど、
シャツはぜんぶクリーニングか〜。
バッグなどの小物も整然と。
おしゃれです。
奥にはワイン用の冷蔵庫も
格納されてました。

もうひとつの納戸は、玄関脇の小部屋。
これは、靴とコート専用の
ウオークインクロゼット!
人が歩いて入れる靴箱って!?!?
姿見がここにあって、
お出かけ前の最終チェックが
できるようになってるわけです。うーん。

リビングの様子は、
これからの更新でお伝えすることに
なりますので割愛しますが、
僕が驚いたのは、
これだけ広いのにもかかわらず
「ごみばこ」が、キッチンに1つあるだけ!
以前は、ひとつもなかったんだそうです。
「ゴミが出たら、すぐにまとめて、
 マンションの
 ゴミ置き場に持っていけばいいのよ。
 そもそも部屋にゴミがあるのって、
 いいと思う?
 部屋は、ゴミ箱じゃないのよ」
‥‥そりゃ、そうですけど〜。
ゴミ箱に住んでるような僕としては
なんも言い返せませんでした。
この土日は掃除します。猛省。
(担当者 シェフ武井)


【こんなタオルを探してたんだ!】
今回の<やさしいタオル>は、
今治の工場さんにとっても、
すごい挑戦だったそうです。
じつは、LA加工をした糸でタオルが
作られるのは、
ドクター・コットンがつくった
100枚のバスタオル以外では、
ほぼ初めて作られるもの。
ましてや、1万枚を越える量産は
いまだかつて
やったことのないことだそうです。

このLA加工は、糸をふっくらとさせて、
つるつるにする加工なので、
摩擦がすくなくて、
パイルをつくっていくのに、
すごく難しいそうなんです。
そんな中でも、
<やさしいタオル>を作っている工場の、
花椿さんは、
いままでタオルを作ってきた経験と
蓄積した技術をフル活用して、
作ってくださっています。

「<やさしいタオル>は、
 作っていて、
 本当に『自分で使いたい!』って
 実感できるタオルですねえ!」
と、工場のセンムさんは
おっしゃってました。

来週から、いよいよ販売。
皆さまのお手元にとどくのは、
8月の上旬です。
当初は、ハンドタオルは3枚から、
フェイスタオルは2枚からという
制限がありましたが、
読者の方からのメールをきっかけに、
その制限をはずしまして、
どのサイズも1枚から
ご購入いただけるようになりましたよ!
お気に入りの、柄を3サイズ持って、
一日中<やさしいタオル>と
一緒にすごしてくださいね。
(担当者 モギモギコ)


【ほぼ日・大アンケート祭り】
お答えいただいた方に感謝の気持ちを込めて
HOBOピンバッヂの当選者の
発表がはじまります!
 
「ほぼ日大アンケート祭り」に
ご参加いただいたみなさま、
どうもありがとうございました。
さて、覚えていらっしゃいますでしょうか。
大盤振る舞い(当社比)のゴーカ商品のうち、
いまだに当選の発表がされていなかった
10,000個のピンバッヂ!
いよいよ、当選者の発表が
今日はじまりました。

えっ?
どこどこ?
どこどこ?
どこどこどこーーーー?
ページを探してもみつからなーい。

おっと、心の声を文字にしてしまいました。
えぇー、こほん。
あせらないでください。
あせりは禁物です。事故のもとです。
今回の当選者の発表は発送を持って
変えさせていただきました。
つ・ま・り!
明日以降、ポストを覗いてみて、
「ほぼ日」のオサルマークがついた
黄色い封筒が見つかったら、
あなたはご当選されたのです!
おめでとうございまーーす!

ひとつずつエアーパッキンで包まれた
HOBOピンバッヂが
黄色い封筒にお手紙とともに入っています。
お手紙も心をこめて、
darlingが書かせていただきました。
HOBOピンバッヂはジャケットに、
かばんに、帽子に、
えーーいぃ、どこにでもつけて、
どこへでもつれていってください。
かわいがってくださいね。

ピンバッヂを手に入れられたみなさま、
今回残念ながら、
手に入れられなかったみなさま、
みなさんに答えていただいたおかげで、
「ほぼ日」らしいところ、
もっとがんばるところ、
まっさらな状態からでも
とりくんでみるべきところ、などなど、
たくさーんのヒントをいただきました。
あらためてありがとうございました。

お答えいただいたテーマ毎に、
アンケート祭り集計部 から、
毎週報告もさせていただいています。
お休みはなにしてる?
「ほぼ日」のどんなところが好き?
「ほぼ日」をどんな時に読まなくなる?
などなどこちらもどうぞお楽しみにっ!
どんなものをお買い物してる?
デリバリー版の実験は?
などなど、画面越しにいる
「ほぼ日」読者同士の様子も垣間見えるので、
ぜひご覧になってください!
(担当者 アロハ・トミタ)

2003-07-05-SAT


戻る