hobo Nikkan itoishinbun





第5回 ステロイド
糸井 けっきょく、ぼくは、
ステロイドの量をコントロールして、
それとうがいを併用して続けることで
治っていったんですけど、
とにかくステロイドということばに対して
みんなが過剰に反応しすぎると思うんですよ。
清水 そうですね。
やはり悪い面ばかり報道されてしまっているので。
糸井 それも半端な知識だと思うんですけど、
筋肉増強剤として知られてしまって、
なんか「敵」みたいな扱いになってるんですよね。
清水 喘息薬においてどうなのかということを
中度半端にではなく
しっかりと勉強すればいいと思うんですけど。
糸井 そうですよね。
いまはインターネットを検索するだけでも
知識は相当手に入りますし。
清水

そうですよね。
実際、ぼくも使っていますけど、
悪い影響って何もないですし。
あの、よくほかの人から心配されるのが、
「清水さんはオリンピック出場選手だから、
 ステロイドを使うと問題があるでしょう。
 大丈夫なの?」っていうことで。


糸井 ああ、そうか、そうか、
ドーピングのチェックね。
清水 はい、みなさん、心配されるんですけど、
それは全然問題ない範囲なんです。
糸井 オリンピックのレベルになると、
チェックってそうとう厳しいんでしょう?
清水 ものすごく厳しいです。
レースの前に血液検査を受けて、
終わった直後に尿検査があって。
糸井 風邪薬でさえ、
成分によっては危ないんでしょ。
清水 そうです。
それくらい厳しいんですけど、
吸入ステロイド薬は、ドーピングで禁止されてい る
ステロイドとは種類が違うんです。
さらに、喘息だという証明書があれば、
ほんとに大丈夫なんです。
パフォーマンスにも実際、影響しないんですよ。
糸井 オリンピックレベルのチェックを受けても
大丈夫なものなんですから、
薬に対して無闇に怖がっている人が、
「じゃあ、オレも」って
なってくれたらうれしいですよね。
清水

そうですね。
あとは、薬を使ったときに、
一時的に状態がよくなって、
それで安心して、治りきっていないのに
使用をやめてしまう人が多いんですね。
そこもひとつのポイントだと思うんですよ。


糸井 ああ、そうか。
清水 そういうふうに、治ったと思って、
すぐに再発してしまった人を何人も知ってます。
ぼくの場合は、薬をつねに、枕元とか、
自分の目が届く範囲に置くようにしています。
で、朝起きたとき、寝る前に必ず吸う。
そういった心がけが大事だと思うんです。
糸井 治ったと思いたいから、やめちゃうんですね。
その意味では、かかりつけのお医者さんを
持つということも大事ですね。
清水 重要ですよね。
一人では判断できないというか、
「もういいですよ」と言われるまでは
やっぱりダメなんです。
糸井 ああー、それ、水虫の話と同じだな。
清水 ははははは。
治ったと勘違いして。
糸井 うん。世の中の水虫の人も、
完全に治るまで治療すれば、治るらしいよ。
けっこう、進歩してるんですよ、薬は。
でも、人の心のほうが弱いから、
だいたい「もういいや」になっちゃうんですね。
清水 そうでしょうね。
 
(続きます)
2007-10-30-TUE
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