糸井 | レースのときって、 競技場にお客さんがいっぱいいるときと、 いないときを比べると、いるときのほうが やっぱり成績ってよくなるんですか。 |
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清水 | そうですね。 やっぱり、テンションが上がるので。 |
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糸井 | なんなんでしょうね。 そういう力ってね。 |
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清水 | ひとりで孤独に練習を重ねているときに 本番のパフォーマンスを見てもらいたいっていう 気持ちがあるんじゃないですかね。 |
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糸井 | じゃあ、大会って、 うれしいことなんですか。 |
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清水 | そうですね。 うれしい反面、緊張もするし。 期待されると刺激にもなるし。 |
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糸井 | そっか。 今日のテーマは喘息なんですけど、 ぼくは、喘息のときは、 周囲から期待されることがつらかったんですよね。 スケートで「がんばれ!」っていう期待と違って、 「治ってほしい」という期待があるじゃないですか。 |
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清水 | ああ。 | |||
糸井 | それがつらかったですね。 なにか、自分が不得意なことをやっている気がして。 清水さんは、そんなふうに感じたことはないですか? |
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清水 | ぼくは、いい意味で、 人を裏切りたかったというのはあります。 壁を乗り越えていく楽しさというか。 スケートをやっていると、期待というよりも、 あきらめが周囲に少しあるんです。 もともとぼくはすごく体が小さくて、細くて、 そのうえ喘息持ちで、体調も崩しやすい。 たまに、いい成績を出しても、 それはフロックだろうとか、 もしくは、今年だけだろうとか、 そういう言われ方をされるんですね。 それが逆に、ぼくのモチベーションを ものすごく高めてくれたんです。 |
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糸井 | 人それぞれなんだなぁ。 | |||
清水 | スポーツ選手も、人によっていろいろですし。 ほめられて伸びるタイプと、 逆境を好むようなタイプと。 |
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糸井 | 逆境を好む人もいるんですね。 | |||
清水 | そうですね。 ぼくは負けん気が強いので それがプラスになったんでしょうね。 |
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糸井 | スケート選手として活動しはじめてから、 喘息の発作が起きて シーズンを棒に振ったことというのは けっこうあるんですか。 |
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清水 | あります。 10代から20代の前半くらいまでは けっこうありました。 喘息ってアレルギーが 原因になることが多いですけど、 風邪をひいてしまって、 そこから喘息に移行する場合もあるじゃないですか。 |
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糸井 | 多いですね。 | |||
清水 | とくにウィンタースポーツの場合は、 まったく風邪をひかないシーズンというのは ごくまれで、1年に1回くらいは、 どんなに気をつけてても、 どうしても風邪をひいてしまうんですね。 そういうときは、体脂肪も落ちているので、 体調を崩して、そのまま咳き込んで、 レースをやっているときもありますね。 |
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糸井 | いい記録は出ないですよね、きっと。 | |||
清水 | 体がついてこないので、 記録が出ないことの方が多いですね。 |
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糸井 | ということは、 記録が出ることもあるんですか。 |
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清水 | ごくまれに、精神のほうが逆に充実するというか、 「やるぞ」という気持ちになって、 いい記録が出ることもあります。 ただ、そのときは、 発作を無理に薬で抑え込んで臨むので、 その後のリバウンドが激しいんです。 |
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糸井 | つまり、痛み止めを飲むみたいなことですね。 | |||
清水 | そうですね。 | |||
糸井 | はー、すごいですねえ。 ぼくは清水さんが喘息だってことを 自分で公表なさったときに、 まさかと思ったんですよ。 喘息の人がそんなことができるなんて思えなかった。 と同時に、ものすごくうれしかったんですよ。 やっぱり、自分が喘息だったもんですから。 あの発表は、自分で決意なさったんですか。 |
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清水 | そもそもは、自分自身が、 喘息をそこまでハンデと思っていなかったんですよ。 わざわざ人に伝えることでもない、 というような意識がありまして。 でも、スケートをやるにあたって、 薬ですとか、コンディショニングですとか、 喘息のことをいろんな人に相談していくなかで、 こういうふうにがんばっている人がいることを 伝えていったほうがいいんじゃないかと人に言われて、 それが発表するきっかけになったんです。 |
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糸井 | ということは、そういうふうに言われなければ、 喘息がハンデだということも思わなかった。 |
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清水 | はい。 | |||
糸井 | はーー。 |
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(続きます) |
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2007-10-24-WED |
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