今年も夏がやってきました。
じめじめと暑い日、
なかなか寝つけなかったり、
夜中に目がさめてしまったりすること、ありませんか?
今回「ねむくま編集部」では
「ねむくま」顧問である快眠セラピスト・三橋美穂さんに
暑い日でも、よく眠るコツについてうかがいました。
エアコンは、つけっぱなしでもいいの?
夏にはどんなパジャマがいいの?
そんな、夏の睡眠についての疑問に、
たっぷりとお答えいただきました。
──
ずばり、夏の睡眠で
いちばん気をつけたほうがいいことはなんでしょうか。
三橋
やはり、温度です。
──
温度。
三橋
眠るときに快適な、ふとんの中の温度は、
約33度と言われているんです。
──
33度。
体温よりも、少し低いくらいですね。
三橋
ええ。
これは一年を通して変わりません。
──
真夏でも、真冬でも同じなんですか?
三橋
はい。
やはり33度前後が、私たちがふとんに入って
気持ちいいな、眠りやすいなと思う温度なんです。
──
なるほど、そうだったんですね。
温度といいますと、ひとつ、
疑問に思っていることがあります。
三橋
なんでしょうか。
──
快眠という点からみて、
エアコンは、つけてもいいんでしょうか。
三橋
エアコンはですね、
必ずつけていただきたいです。
──
必ずつける!
三橋
昔は、今ほど暑くなかったですし、
窓を開けて眠ることも多かったですから、
エアコンをつけなくても、快適に過ごせました。
ですが、近年の暑さや住宅環境では、
ぜひとも、エアコンをつけていただきたいです。
──
なるほど。
私もいまは、窓を締め切って鍵をかけて寝ています。
エアコンはつけたほうがよさそうですね。
三橋
そうですね。
あと、エアコンはタイマーなどをかけずに、
一晩中つけっぱなしにしていただきたいです。
──
つけっぱなしですか。
三橋
はい。
夏によく眠れない原因の多くは、
睡眠の途中でエアコンを切ってしまうことなんです。
──
私もタイマーを使っていますが、
たしかに、
暑くて途中で目がさめてしまうことがあります。
三橋
寝入りのときは心地よくても、
エアコンが切れたときに、
どんどん気温が上がってしまいます。
すると、ふとんの中の温度も上がり、
33度をたもてなくなってしまうんです。
──
なるほど。
エアコンは必ずつけっぱなしに! ですね。
はっきりおっしゃっていただいて、
とてもすっきりしました。
三橋
はい、よかったです。
──
しかし、エアコンをつけていると、
逆に寒くなって
目がさめてしまうことがあるのですが‥‥。
三橋
それは、寝具があまりあっていないのかもしれません。
もうすこし保温性のあるものに
変えてみるのがおすすめです。
──
夏に、保温性のあるものですか?
なんだか、あまり想像がつきません。
三橋
ええとですね、たとえば‥‥。
ホテルではどうやって寝ていますか?
──
ホテルですか?
備えつけのパジャマを着て、
そのままベッドで寝ています。
三橋
ホテルって、1年中同じ寝具ではないですか?
──
あ、ほんとうだ。
言われてみればそうですね。
どの季節にビジネスホテルに泊まっても、
掛け布団は同じです。
三橋
そうなんです。
ホテルでは一晩中、
エアコンで室温を調整しているわけです。
──
そうかぁ、なるほどー。
私もホテルでは、快適に眠っています。
それを家でもやるといい、というわけですね。
三橋
はい。
そのとおりです。
──
ですが、どうも冷気が直接肌に当たるのが
気になってしまいます。
三橋
それでしたら、
パジャマを長袖長ズボンのものに
変えるのがおすすめです。
そうすると、冷気が直接当たらないので
快適に眠れます。
──
夏に長袖長ズボンですか‥‥。
三橋
はい。
この話をすると、
はじめはみなさん、嫌な顔をされるんです(笑)。
ですが、騙されたと思って
一度厚着をしてみてください。
体のまわりの温度が一定になるので、
快適に眠れるはずです。
──
たしかに、ホテルも一年中同じパジャマです。
やはり、
一定の温度をたもつことが重要なんですね。
さっそく、試してみます。
三橋
はい、ぜひやってみてください。
やってみて、違うなと感じたら、
もうすこし薄いものにしてみたり、
掛けるものを変えたりしてみてください。
自分が心地よいと思えるように、
いろいろ試してみることが大切です。
──
わかりました。
ただ、もうひとつ気になるのが、電気代です。
エアコンを一晩中つけておくとなると‥‥。
三橋
気になりますよね。
ですが、エアコンはつけていただきたいので、
すこし設定温度を高くして、
寝具を薄めのものに調整していただくと、
いいかもしれません。
──
わかりました。
ふとんの中の温度が33度になるように、
寝具やエアコンの設定温度を、調節してみます。
──
エアコンが、快眠のために必要だというのは、
よくわかりました。
しかし、ご夫婦で同じ部屋で寝ていると、
旦那さんはしっかり部屋を冷やしたいけれど、
奥さんはエアコンが苦手、
ということがありませんか?
三橋
そうですね。
温度の感じ方は人それぞれですし、
エアコンが苦手な方も、
多くいらっしゃいます。
ですが、お部屋の温度が28度を超えると
熱中症のリスクが出てきてしまうので、
エアコンはなるべくつけたほうがいいです。
──
熱中症はこわいですね‥‥。
では、ご家族で同じ部屋で寝るときは、
どうしたらいいのでしょうか。
三橋
そこはまず、熱中症にならないために、
暑がりさんにあわせてエアコンを掛けてください。
──
まず、暑がりさんにあわせる。
三橋
はい。
そして、すこし寒いなと感じる方は
パジャマを厚いものにしたり、
かけるものを保温性の高いものにかえたりして、
調節をしていってください。
──
なるほど。
夫婦での協力が欠かせませんね。
三橋
そのとおりです。
まず、話し合うことが大切です。
さらに、暑がりさんは
接触冷感の寝具を使用するのもおすすめです。
──
接触冷感。
さわると、ヒヤッとつめたく感じる寝具ですね。
三橋
はい。
それならば、エアコンの設定温度が高めでも、
ひんやりと冷たさを感じられます。
逆に、冷え性の方には冷たすぎることもあるので
あまりおすすめしません。
──
私はまさに冷え性でして、
いつもハラマキをまいて寝ているくらいです。
三橋
ハラマキ、いいですね。
私も一年中使っています。
内臓を温めてくれるので、
快眠のためにも、とてもいいんですよ。
──
そうだったんですね。
三橋
さらに私は、
レッグウォーマーも一年中つけています。
──
レッグウォーマーもですか!
いろいろ試してみて、
必要に応じて、自分にあったアイテムを
足していく、ということですね。
三橋
はい。
まず、一定の温度環境をたもつところから始めて、
後はそれぞれ、自分のからだと相談して、
チューニングをしていってください。
──
ほぼ日乗組員からも、夏の睡眠について
たくさんの質問がよせられました。
いくつか、うかがってもよろしいでしょうか。
三橋
はい。
おねがいします。
──
まずは、夏の就寝時間についてです。
夏になると日がのびてきて、日の出も早くなります。
そうなると、われわれの体内時計も
早まるような気がするんですが、
おひさまにあわせて、
就寝時間も変えたほうがいいのでしょうか。
三橋
就寝時間は、1年中同じでかまいません。
動物としては、おひさまに合わせたほうが
いいのかもしれないですが。
みなさんお仕事をされて、
社会に合わせた生き方をしていますから、
それに合わせて、
決まった時間に眠っていただいたほうがいいです。
──
わかりました。
一年中同じ時刻に眠るように心がけます。
三橋
あと、東側の部屋で寝ている方は、
遮光カーテンをつけて、
しっかりと日を遮ったほうがいいです。
──
カーテンはしっかりと遮光できるものをつかって、
規則正しく睡眠をとることが大切なんですね。
三橋
はい。
──
次に、お風呂についての質問です。
快眠において、入浴することの大切さは、
以前、先生にたっぷり教えていただきました。
しかし、夏はどうしても
シャワーだけで済ませたいという声がありました。
三橋
湯船につかると、体温が上がった後に、
深部体温が下がることで熟睡感が増しますから、
入浴していただくのがいちばんです。
ですが、シャワー派の方も多くいらっしゃいますよね。
どうしても、シャワーで済ませたいという方に
おすすめなのが、足湯です。
──
足湯ですか。
三橋
はい。
シャワー中に、足湯をプラスしてみてください。
──
おけなどにお湯をためればいいのでしょうか。
三橋
そうですね。
くるぶしくらいまで
つかれるものならいいと思います。
おすすめなのは、
浴槽に10センチくらいお湯をためる方法です。
だいたい、5~10分くらいつかってください。
その中でシャワーを浴びることで、
温熱効果をうまく得られるので、とてもいいんです。
──
それは、手軽でいいですね。
入浴するときは、38~40度くらいがいいと
以前おしえていただきましたが、
足湯は何度くらいがいいでしょうか。
三橋
すこし熱めの43度くらいがおすすめです。
──
なるほど。
それならば、シャワーでもしっかりと
あたたまることができますね。
その後のアイスが、
おいしくいただけそうです。
三橋
お風呂上がりにアイスは、よくないですね。
──
え、そうなんですか?!
つめた~い麦茶やビールも、
ぐびっといきたいところですが ・・・・。
三橋
とってもおいしいですが、
快眠という点では、あまりよくありません。
眠るために深部体温を下げるには、
冷たいものがいいんじゃないか、
という声をたまにいただくのですが、
それは違います。
──
そうだったんですか。
三橋
眠る前は血行を良くして、
体の表面から熱を逃がすことが大切です。
冷たいものをのむと、
からだが緊張してしまい、
血行や代謝が悪くなってしまうので、よくありません。
あと、眠る前にカロリーの高いものや、
アルコールを摂取するのも、あまりよくありません。
──
ああ‥‥。
三橋
アイスはぜひ、お昼に召し上がってください(笑)。
──
わかりました‥‥。
冷たいものといえば、
私はよく、氷枕をして眠っているんですが、
これも良くないんでしょうか。
三橋
氷枕は、いいです。
内臓を冷やすのはよくありませんが、
頭を冷やすのはとてもいいんです。
「頭寒足熱」というように、
冬には湯たんぽをつかうのもおすすめです。
──
夏の氷枕に、冬の湯たんぽですね。
これからも、使っていこうと思います。
三橋
はい。
ぜひ、続けてください。
──
夏の睡眠についての不安が、
いっきに解消されました。
快適な睡眠環境をつくれるように、
さっそく今夜から、いろいろと試してみます。
本日も、どうもありがとうございました。
みなさまにおしらせです。
本日も、快眠についてたっぷりと教えてくださった、
われらが顧問、三橋美穂さんの新しい本が出版されました。
「65歳からの」とありますが、
本書で紹介されているたくさんの睡眠法は、
どなたが読んでも、
すぐにおためしいただけるものばかりです。
眠りにお悩みのみなさま、
ぜひ、お手にとってみてはいかがでしょうか。
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眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
寝グルメじまん、
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