タオルと一緒にあったら
うれしいもの。03大木製作所さんのバスタオルハンガー。
20年を迎えた「やさしいタオル」。
「ほぼ日手帳」や「ほぼ日ハラマキ」とともに、
ほぼ日のロングセラーのひとつとして、
たくさんの方々にご愛用いただいています。
そんな20周年を記念して、
新作のタオルとともに、
“一緒にあったらうれしい”
素敵なアイテムを揃えました。
いずれも、くらしに便利で、使ってたのしく、
「やさしいタオル」のある毎日を
にぎやかに彩ってくれるものばかりです。
最後にご紹介するのは、
大木製作所さんの
ステンレスの折りたたみバスタオルハンガー。
1947年に創業。湯たんぽなどの
家庭金物を製造・販売する。1955年に
株式会社大木製作所として法人設立。
その後はガスコンロやアルポットを開発・製造し、
80年代からステンレス家庭製品の
製造販売をはじめた。
現在はステンレスのランドリーグッズ、
キッチングッズ、スチールの家庭製品などを
全国規模で展開している。
大木製作所ホームページ
今回の取材では、
代表の大木和利さん、営業の大木貴之さん、
開発担当の八田博史さんに
お話をうかがいました。
- ──
- 今日はよろしくお願いします。
以前、展示会でお会いしたとき、
ひとつひとつの商品がとてもおもしろくて、
ぜひお話をうかがってみたいと思っていたんです。 - 大木貴之
(以下、貴之) - ありがとうございます。
- ──
- たとえばこの、室内物干しとか。
ずっと気になっていた商品なんですけれど、
実際に拝見したとき、びっくりしました。
かなり大きいのに、下におろすだけで
すごく滑らかにたためるんですよね。
- 貴之
- もう20年近く販売している商品です。
こういう形の室内干しは一般的にあるんですけど、
スプリングが入っていることが大きな特徴ですね。
巻数とか、細さによって、
テンションがかわってくるので、
けっこう開発は大変だったと、
当時の開発者から聞きました。 - ──
- たたむと全然場所をとらないのが感動的です。
あと、こちらの、
洗濯用の「やさしいピンチ」もほしくなりました。
指でつまむところが面になっていると
すごく楽にはさめますね。
こういう商品のアイデアは、
社内のみなさんで考えてらっしゃるんですか?
- 貴之
- 社内ですね、はい。
- 大木和利
(以下、和利) - たとえば室内物干しは最初、
もっと大きいのを作ってたんですよ。
でもそれを大手の生活雑貨店に持っていったら、
小柄な方には、背が届かなかったんです。
大柄な男性スタッフのサイズ感でつくったので、
多くの女性たちの背丈に合わなかった。
- ──
- 大きすぎて届かない人が! わたしもきっと届かなかったと思います(笑)。
- 貴之
- 「社長、届かないから、
もっとちっちゃくて低いやつをつくってくれ」
って言うんで、小さいのを作ったら、
売れ始めたんです。 - 和利
- あとは、スプリングをつけて、
シューッとたためるように。 - 貴之
- 広げた新聞紙1枚分の大きさになるのが、
メリットだと思うんですよね。 - ──
- 動作がすごく簡単ですし、
「隙間に入ります」みたいなことって、
すごく魅力的です。 - 和利
- 日本の小さな家では、
たためるとか、小さくなるって大事なんです。 - ──
- 実際に使う人にとって使いやすいように、
改良されてきたんですね。
大木製作所さんは、
もともとランドリーグッズを作られてきたんですか? - 和利
- うちは家庭用の金物製造からはじまって。
最初はステンレスはなく、真鍮の湯たんぽとか、
アルコールの卓上コンロなどを作ってきました。
ランドリーグッズではなく、
火のまわりのものが多かったんです。 - 和利
- それが徐々に需要が減っていって、
ステンレスの家庭用品を作るようになったんですね。
ステンレスは文字通り「錆びない」ので、
水回りと相性が良い。
それでキッチングッズや、ランドリーグッズへと、
商品を増やしていきました。 - ──
- 今回お取り扱いさせていただく
「折りたたみバスタオルハンガー」も、
その延長に生まれた商品なんですね。 - 貴之
- そうですね。
今では室内干しも当たり前ですが、
20年ほど前まではメジャーではなかったんですよ。
室内物干しも、ステンレスハンガーも、
年々需要が高まっている気がします。 - ──
- でも、さきほどのピンチだとか、
スプリングの室内物干しはもちろん、
この折りたたみバスタオルハンガーも、
やっぱり、アイデアと設計がおもしろいなと思います。
これはいったい、どのような経緯でできたんですか?
- 和利
- せっかくだから、つくった本人を呼びますね。
折りたたみバスタオルハンガーをつくった、
八田です。
(八田さん入室される) - 八田
- よろしくお願いします。
- ──
- 八田さん、これは、どのように生まれたんでしょうか?
- 八田
- 最初はひとまわり小さい、
Tシャツ用のハンガーだったんです。
折りたたんだ状態で服にとおして、
Tシャツの襟がのびずに
ハンガーを広げられる、というものです。 - ──
- なるほど。
たしかにハンガーにかけるとき
服が伸びてしまうのは気になります。 - 八田
- でしょう? ところが、一所懸命つくったわりに、
いまひとつの売れ行きで。
でも、ステンレスであることと、
3か所を止めるだけで
折りたためるっていうギミックは
おもしろいと思ってたので、
ハンガーの横幅をちょっと長くして、
バスタオルをかけられるようにして
自宅で使っていたんです。
それで1~2年くらい使ってみたら、
やっぱり便利だなと思って、商品化を提案しました。 - ──
- ご自分で使ってみたり、試しながら、
ものづくりをされているんですね。 - 八田
- そうですね。
このバスタオルハンガーは特に、
個人的に使ってみてできたという感じです。
最近は大判のバスタオルもだいぶ増えてきているので、
約73cmと少し大きめのサイズにしています。
- ──
- さきほどギミックという言葉がありましたが、
もともとそういうった、
ちょっとした仕掛けを考えるのがお好きだったんですか? - 八田
- はい、自分は商品を考えるとき、
どちらかというとギミックから入りますね。
ここに入る前は、
樹脂のおもちゃの設計をしていたんです。
戦隊のロボットとか、メカをつくっていました。 - ──
- へぇ~!
- 八田
- 樹脂を使えば、
もっと自由にものづくりができると
思ったりもするんですけど、
逆にステンレス加工しかできないからこそ、
どこまでできるかっていうおもしろさがあります。
「やさしいピンチ」も、指でつまむ部分に
樹脂をつけてみることもできますけど、
劣化が早くなったり、見た目も変わってきちゃいますし、
量産するのも厳しい。
じゃあどうしたらいいかと考えて、
加工して面に近い状態にして、つまみやすくしたんです。
そうやって、なんとかひねり出したものばっかりです。 - ──
- アイデア勝負ですね。
- 貴之
- そうですね。
あとは、お客さんから
「こういうふうなものがほしい」とか、
「こういう形に変えてほしい」とか、
いろいろな意見をもらえるので、
細かな要望を形にしていくことで、
商品を長く使ってもらえてるのかなと思います。
彼のギミックを生かしながら、
社員全員で話し合って作ってますね。 - ──
- 社内のみなさんで、
アイデアを設計していっているんですね。
これからどんな商品が生まれていくのか、
いちユーザーとしてとてもたのしみです。
ありがとうございました!
(おわります)
2023-09-12-tue