フランス生まれのスニーカーブランド
「VEJA(ヴェジャ)」のスニーカー、
2022年春夏モデルの12アイテムを
販売いたします。
ヨーロッパでは大人気の「VEJA」ですが、
日本でメジャーになるのは、まさにこれから!
「VEJA」の撮影モデルを務めたおふたり、
レ・ロマネスクTOBIさんと花梨さん、
スタイリスト轟木節子さんの3人で、
撮影終了後に座談会を開きました。
「VEJA」のやさしさってなんだろう?
- ──
- 二村さん、ウェブでのお買いものの場合、
サイズ感はどう選んだらいいですか?
- 二村
- フランスの木型で作っているので、
全体的に細めなんですよね。
日本人の足って甲高幅広が多いので、
ワンサイズ大きめで選ばれるかたが多いです。
- TOBI
- 足の、横の部分が当たってしまうんですね。
- 花梨
- 私もけっこう足が広めなんで、
けっこうすぼまる感じがしました。
ワンサイズは上げるかなあ。
もともと大きめのスニーカーのほうが好きで、
スタイルがよく見える気がするんですよね。
ファッションのポイントになるし。
- 轟木
- モデルごとに形も違いますけど、
一番スタンダードなのってどれですか?
- 二村
- 歴史順にご紹介しますと、
フランスでのブランドの立ち上げが2005年で、
世界的にブレイクしたのが10年後の2015年あたり。
こちらに並んだ中ですと、2011年に出たのが
「ESPLAR(エスプラー)」ですね。
アッパーがレザーで、
アマゾンの天然ゴムが入ったゴムを使って、
「バルカナイズ製法」という
昔ながらのスニーカーの作り方で作っていました。
今、日本だと一番人気があるモデルですね。
- 轟木
- うんうん、かわいい。
- 二村
- 「ESPLAR」の良さを残しながら改良を加え、
ソールを変えたのが
「CAMPO(カンポ)」なんです。
クッション性が向上して、厚みがでました。
- TOBI
- なるほど、たしかに厚い。
- 轟木
- ちょっとだけ足長になるね(笑)。
- 二村
- 「CAMPO」は革も柔らかくなっています。
クロムフリーレザーといって、
クロムを使わない革を使いつつ、
しかも柔らかくほぐしています。
コストはかかるんですけれど、
地球環境にやさしいところが好まれています。
この「CAMPO」をより履きやすくするために
生まれたのが「RECIFE(レシフェ)」という
ベルクロのタイプですね。
- TOBI
- じゃあ、ソールの厚みとかは、
「CAMPO」から引き継いでいるんですね。
- 二村
- はい、おっしゃるとおりです。
- 轟木
- ジーパンとか、スウェットに合いそう。
- 二村
- 今は「ESPLAR」、「CAMPO」、
「V-10」が人気なんですが、
「ESPLAR」と「V-10」は革靴のようなもので、
革がしっかりしている分、
足なじみに時間がかかるんですけど
なじんでからは長く履けますよ。
- 轟木
- あ、革靴なんだって思えばね、
高級感もありますよ。
- TOBI
- 革靴だと思えば、法事とかにも履いていける。
- ──
- 法事には派手かなあ(笑)。
- 二村
- 今回「ほぼ日」さんに選んでいただいた「V-10」は
レザーとキャンバスで素材の異なる2種類でした。
キャンバス地で使われているメッシュ素材は、
ペットボトルから生まれた
リサイクルポリエステルで作られています。
- TOBI
- へぇぇ、すごい素敵。
- 花梨
- ペットボトルということは、
水とかもはじきやすくなるんですか?
- 二村
- どちらかというと、機能性というよりも
リサイクルのほうに力をかけていますね。
サスティナブルの観点で、
原材料の100%をエコロジカルな素材で
つくることを目指しています。
- TOBI
- このスニーカーを買うことによって、
サスティナブルの意識を
持っていますよっていうことを
伝えられますよね。
- 花梨
- たしかに、意思表示になりそう。
- 二村
- そして、「SDU(エスディーユー)」が、
もっと最近になって出たモデルで、
テイスト的には90年代っぽい雰囲気です。
「スニーカーが好きだったよ」と言っていたような
モデルが登場するようになりました。
- ──
- 今回の「ほぼ日」での販売は
12個のモデルを選ばせていただきましたが、
「VEJA」さんで扱っている靴は
もっともっとたくさんあるんですよね?
- 二村
- 直近のフランスで行われた展示会では、
108つありました。
- TOBI
- 百と八つ!
煩悩の数だけあるんですか?
- 二村
- 日本でもほぼ全色展開あります。
だいたいワンシーズンに
100モデルぐらいの展示会をやっています。
- 花梨
- 108つもあったら全部かわいくて、
もう訳がわからなくなりそう。
- TOBI
- 除夜の鐘と同じだからね。
- 二村
- でも「ほぼ日」さんの12モデルも
国内ではかなり多いですよ。
- ──
- うれしいです。
どれにしようって選ぶ楽しみがありますよね。
- 轟木
- ソールの柄もいろいろありますね。
この四角がつらなっているのは、
すごくフランスっぽいですよね。
レストランの床とか、これじゃなかった?
アスティエのノートの柄も
こんな感じだったと思います。
- TOBI
- たしかに、紙ナプキンとかでも
よく見る柄ですね。
- ──
- 轟木さんはスタイリングで
意識していたことってありましたか。
- 轟木
- もともとはそれぞれの靴に合う
コーディネートを考えていたんですけど、
意外と、どんな服でも合いましたね。
2パターンぐらいの組み合わせでも
どれも合うねってわかりました。
- 花梨
- 意外に思っていた服装にも合いましたね。
自分の中でスニーカーにルールを
つけ過ぎていたなあと思いました。
革靴はなんでも合うイメージを持っていましたが、
「VEJA」は、なんでもいけました。
スニーカーって、けっこう上級者だと思ってたので。
- TOBI
- 合わせやすかったですよね。
- 轟木
- 革靴だと、これだけのいろんな色は
あんまりないじゃない?
でも、スニーカーだととり入れやすいんですよね。
靴だったら、自分の目できれいな色を見ながら
歩けるのっていいよね。
服だったら、鏡に映さないと見えないから。
- 花梨
- たしかに、スニーカーには
女子のネイル的な楽しさがありますね。
- 轟木
- 足元と手元は、自分で見られるから、
気持ちが上がるものを選びましょう。
- TOBI
- チラっと見えるものですから。
- 花梨
- 靴ってたしかに、
テンションを左右するかもしれません。
- ──
- TOBIさんはプライベートから
ピンクの服を着ているんですか?
- TOBI
- 着ますね。
だから着古した外用のピンクが
部屋着にまでどんどん降りてきて、
地味な部屋着が追い出されています。
もう、なんだかわからないことになってます。
- 花梨
- じゃあ、ずっとピンク?
- TOBI
- ちょっとピンクがかっている程度のものまで、
「これもピンク」って言ってたら、
部屋中のもの全てがピンクになっちゃうよね。
- 一同
- (笑)。
- TOBI
- 「VEJA」にもピンク地のスニーカーがありますが、
僕にとって、あれは「白」です(笑)。
そう言っとかないと、区別がつけられないんで。
なんかね、ピンク色ならではのお仕事もあるんですよ。
林家ペー・パー子師匠にオードリーの春日さん、
最近は、阿佐ヶ谷姉妹も増えました。
岩下の新生姜さんのイベントに呼ばれたりね。
- 轟木
- あはは、みんなピンクだ。
- TOBI
- あの、ふだんはなんていうか、
けっこう、土に戻らなそうな服を着てるんです。
ぼくが着ている衣装がいつか発掘されて、
「こんな格好をしていたんだ。200年前の人類は」
と言われそうなものを着ているんで。
- 花梨
- オーガニックじゃない(笑)。
- TOBI
- 色がカラフルなんでね。
今日、着させていただいたのは、
すごく土に戻りそうな服だったから。
ぼくもね、サスティナブルなことは
考えていこうって思っているんですよ。
だけども、パンチを効かせたいっていう気持ちと
二つが同居しているんです。
そういう意味で、
すごく今日は考えさせられましたね。
- 轟木
- ちょうどいい機会でしたよね。
- TOBI
- この「VEJA」って、
フランス語の「デジャブ」のデジャとかに
由来しているんですか?
- 二村
- 「VEJA」はポルトガル語で、
「見る」っていう意味なんです。
- TOBI
- あ、フランス語ではなく
ポルトガル語なんですか?
- 二村
- 環境に配慮した素材やコストのかけ方、
労働環境など、スニーカーだけでなく生産背景も見て、
感じてもらうことをすごく大切にしているブランドです。
サスティナブルの考え方は人それぞれで
全然スタイルが違うものなので、
表現しきれないところがあるんですよね。
ほぼ日さんの「生活のたのしみ展」みたいに、
いろんな人たちが実際に触れることで
自分の中でのサスティナブルが書き換わるのも、
「VEJA」のすごいところではあるんですよね。
- 轟木
- ブランドの意味を知らないで
着たり履いたりするけれど、
知るとまた、うれしいですよね。
選ぶ理由の一つになりそうです。
- 二村
- 選ぶきっかけになるような情報が
「VEJA」はかなり徹底しているんです。
- 轟木
- 人それぞれに、どこかが響きますよね。
- 二村
- サスティナブルについて
100%遂行しようとすると
0か100の理論で心が折れちゃいますが、
「VEJA」のストーリーを見ていただいて、
そのなかで気に入った
コンテンツについて考えるだけでも、
サスティナブルの意義はあるのかなと思います。
- 花梨
- そのぐらいのほうが、
サスティナブルって入りやすい気がします。
いいことだけど、なんだか最近、
「サスティナブル!」みたいに
強いられている感じなので。
- TOBI
- わかる。それ。
- 轟木
- SDGsということばが、あふれ過ぎたかしら。
けれど、お腹いっぱいにならないでほしい、
とも思います。
- 花梨
- いいことだと思っているけれど、
もっと、とり入れやすくなるといいのかな。
おしゃれとしての導入で普通に選ぼう、
みたいになったらいいのに。
- 轟木
- 「VEJA」みたいなブランドが
サスティナブルについて考える
きっかけになるのはいいですよね。
- TOBI
- すごくいいと思いますよ。
たとえば、洋服とかを買う時に、
「この企業は不当労働になってないかな」とか、
いままでは考えてきてこなかったわけだから。
ブランドの選び方が変わってきている気がする。
- 花梨
- ブランドも自然に提示してくれると、
私たちも自然と目に入って選べるのがいいですよね。
- 轟木
- 「地球にやさしく」じゃなくてさ、
「地球と仲よく」感が出てきたなと思うんです。
みんなの意識が「仲良く」っていう感じに
なってきてるように感じるんです。
- TOBI
- やっぱり「土に還る」と同じ発想ですよね。
地球に還るっていうことは、
自分も「地球になる」っていうことですから。
- 轟木
- そうなの、そうなの。
- TOBI
- 「地球にやさしく」とは目線が違うんですよね。
けっきょくは地球の一部なんだから。
- 轟木
- 地球儀を眺めながら
自分が立っている位置を意識するとね、
賃貸で、地球に乗っている感があるの。
- 花梨
- へぇぇ。
- 轟木
- 家みたいに感じるんです。
そう思ったら、自分の家を散らかしたままには
できないんですよね。
- 花梨
- たしかに、自分の部屋みたいに考えたら。
- TOBI
- しかも、靴っていうのは
地球との接点だから。
- 花梨
- うん、たしかに。
お買いものって楽しいけど、
選ぶことでいいことしてるって思えたら、
自己肯定感が上がりそう。
- 轟木
- 「このデザインかわいいね」って
褒められたりしたときにも、
うれしいポイントを話せますよね。
話が広がっていきそう。
- ──
- プレゼントにもよさそうですね。
パートナーといっしょに選んだとしても、
おそろいのブランドのはずなのに
おそろいっぽくなり過ぎないし。
- 花梨
- ほんと、そうかもしれない。
色づかいが、ほんと絶妙なんですよね。
- 二村
- 色についてはみなさん、
展示会をやるたびに絶賛してくださいます。
「VEJA」って女性の比率が高い会社なのも
関係しているかもしれませんね。
ブランドのプレゼンするのも女性ですし、
その影響なのか、色もかわいいんです。
- ──
- たしか、創業者は金融マンなんでしたよね?
- 二村
- ワシントンD.C.やニューヨークで、
銀行員をしていました。
2000年代前半に銀行の監査で中国に行った時、
工場の労働環境を目の当たりにした彼らが
資本主義社会のありかたに疑問を感じたのがきっかけ。
そこで、ものづくりを通して
グローバリゼーションの問題を見つめ直す
プログラムを立ち上げたんです。
自分たちがもともと好きで時代の象徴だった
スニーカーを作ることになり、
原材料の調達のために、
ラジルのアマゾンの原生林へ行きました。
スニーカーのソールに使われる素材を深く調べ、
ゴムの木の樹液採取者と直接会って話をし、
森林保護のために、
ゴムの樹液を市場価格より高く買い、
現地にゴム樹液の工場をつくりました。
ゴムの木に価値が生まれ、
伐採がなくなるという発想です。
- 花梨
- なるほど、なるほど。
- 二村
- 最初に小さなゴム工場を作って、
オーガニックコットンを組み合わせて
コットンキャンバスのスニーカーを作ったのが2005年。
そこから、コツコツづづけて10年経った頃に、
グローバルに進出していったという流れです。
- 花梨
- サスティナブルの考え方に注目したのが
かなり早かったんですね。
- 二村
- それまでは「エシカル」とか「リユース」、
そういうことばだったんですけれど、
持続可能性が問われるようになった、
2004年のタイミングで立ち上がっています。
- 花梨
- その考え方をすぐに取り入れたんですね。
(つづきます)
2022-05-25-WED
撮影:山根悠太郎
(C) HOBONICHI