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糸井 |
ああ‥‥でも、それは
「負けん気の弱い人間」にとっては
すごく、よくわかる話ですね。 |
タモリ |
ふつうの芸人なら
「自分の出番をどれだけ延ばすか」ですから。 |
糸井 |
ぼくの場合は「本職」じゃないんで、
テレビに出たときなんかは、
同じように
どのくらい何もしないで済むかを考えます。 |
タモリ |
ああ、それ、オレも考えるわ。 |
糸井 |
そうですか。 |
タモリ |
「省エネ司会」とか言われながら。
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糸井 |
(笑) |
タモリ |
エコです。 |
糸井 |
(笑) |
タモリ |
エコMC。
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糸井 |
本気でそう思ってるふし、ありますよね。 |
タモリ |
そういうふし、あります。 |
糸井 |
でも、どうでもいいことになると
意地っ張りじゃないですか。
‥‥ちっちゃいボードゲームとか。 |
タモリ |
そうそう、そうなんですよね。
ここで勝ってどうすんだってとこにばっかり、
意地になっちゃうんですよ。
‥‥そこじゃないだろうと。 |
糸井 |
ああ、それってやっぱり
むかしから、そうだったんでしょうね、きっと。 |
タモリ |
うん、オレの人生で
いちばん精神レベルの高かった幼稚園時代から。 |
糸井 |
てことは、幼稚園児のタモリさんに
インタビューできたら、
それでけっこう、ぜんぶ言えちゃいそうな(笑)。 |
タモリ |
インタビューしてほしかったですね。 |
糸井 |
(笑) |
タモリ |
すでに「偽善」ということについて
考えていました。
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糸井 |
幼稚園児にして(笑)。 |
タモリ |
小学校3年のときには
「友の裏切り」という行為に見舞われ。 |
糸井 |
中学・高校で「他人を解禁」し。 |
タモリ |
同時に、「へつらい、おべっか」、覚えて(笑)。 |
糸井 |
で、早稲田の「ジャズ研」で引き受けたのは、
幹事っぽい役どころでしょ。 |
タモリ |
マネージャーですね。 |
糸井 |
それぞれが合わさって、今があるんですよね? |
タモリ |
そうですね。 |
糸井 |
いろいろ、複雑だなぁ(笑)。 |
タモリ |
ただね、ずーっと一貫してるのは、
仲のいいともだちは
バカっぽいやつばかりだったっつうことですね。
いまだに、付き合いあるのも、そういうやつら。 |
糸井 |
そういう仲間としか、続かないんだ。 |
タモリ |
ちゃんとしたことに対する
嫌悪感があるのかもしれませんね。 |
糸井 |
批評精神。 |
タモリ |
ま、よく言やぁね。 |
糸井 |
ちゃんとしてるように見えることって、
ほんとうは怪しいじゃないかってことでしょ? |
タモリ |
このあいだね、何十年かぶりに
クラス会があったんですけど、
その席で、それぞれ自己紹介をしたんですよ。 |
糸井 |
「どうも、タモリです」とか。 |
タモリ |
うん、で、そのときに、きちんと立ち上がって
ものすごいマトモに挨拶したやつを
何だか、キライになったですもんね。
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糸井 |
(笑) |
タモリ |
「えー、ワタクシ、本日のクラス会に来るとき、
3つのことを考えて来ました」とか。 |
糸井 |
そこんちには、あんまり
婿入りしたくないなぁという感じですね(笑)。 |
タモリ |
うん、そうそう、そういう感じ(笑)。
<つづきます> |