タモリ先生の午後 2008。 「スロー人」のすすめ。


第9回 リズムは大事、ルールはキライ。
糸井 その、学生のころのタモリさんって、
運動部の連中と
付き合いはあったりしたんですか?
タモリ 運動部は‥‥なかったですね。
糸井 そのあたりは、断絶があるんですね。
タモリ スポーツで興味があったのって、
ラグビーくらいですね。
糸井 あ、それは意外だなぁ。
タモリ 見てたら、やってみてぇなと思ったりして。
糸井 やってみることは、しなかったんだ?
タモリ いや、クラスのラグビー部のやつに、
「ためしにスクラムをやらせてくれ」って
頼んでみたことはあります。

糸井 ほう、ほう(笑)。
タモリ もしかしたら、
向いてるかもしれないからと思って。

で、「ドーン!」って当たった瞬間、
「あ、これはムリだわ」と。

糸井 向いてなかったんだ(笑)。
タモリ 首のあたりに、イヤ〜な音を立ててね。

で、「いや、ども、ども、ありがとう」っつって、
首の後ろがわを押さえながら
校庭の片隅へ消えていったという‥‥思い出が。
糸井 その後、興味はどうなったんですか?
糸井 興味はまだある。それは残った。
糸井 ラグビーって、
どういうところが、おもしろいんですか?
タモリ うーん、あれだけはね、試合を見ながら、
声も出るし、身体に力が入ってくるんですよ。

知らないうちに、グッと前に出てるというか。
糸井 ああ、それは、向いてますね。
タモリ うん‥‥いや、だから、
向いてなかったっての。
糸井 いや、あの、見るのがね(笑)。
タモリ ああ、見るのがね。

いまだに「いけー、そこだー」とか言っちゃうから。
糸井 ぼくも、ともだちがラグビー部だったんですが、
バンカラな学校だったせいなのか、
やつら、なぜかパンツを穿いてなかったんですよ。
タモリ 穿かないですよ。

糸井 え?
タモリ ショートパンツ的なものの下に、でしょ?
糸井 ラグビーってそういうものなんですか?
タモリ ラグビー部は、ほとんど穿いてませんでしたよ。
糸井 ホントですか!?
タモリ いや、穿いてない、穿いてない。
今はどうか知りませんけど、少なくとも当時は。
糸井 そうなんだ‥‥。

でも、それを知ったときに「なんでだ‥‥?」という
ものすごい疑問を感じたんですよね。
タモリ 動くときに気持ち悪いとか、
めんどくさいからでしょう。
糸井 だって‥‥気持ち悪いかもしれないけど
あらゆる場面で
パンツは穿いてるじゃないですか、われわれ。

なんで、ラガーマンだけは
そんなに解放してんのかと。
タモリ 特権なのか、と(笑)。
糸井 そう、そう(笑)。

‥‥それじゃあ、
運動の楽しさみたいなものについては‥‥。
タモリ 皆無でしたね。
糸井 様式とか、ルールとか、キライそうですもんね。
タモリ うん、キライです。
糸井 でも「リズミカル」ではありますよね、
タモリさんて。
タモリ うん、リズムは大事です。
糸井 リズムは大事、ルールはキライ。
タモリ ええ、そうです。
糸井 ああ‥‥だから、ジャズなんだ。
タモリ うん‥‥そうか、ジャズですね。



<つづきます>


2008-01-05-SAT