|
糸井 |
タモリさんにとって、
唯一「わからなかった音楽」が
ジャズだったんですよね、たしか。 |
タモリ |
うん、ジャズが最後だったんですよ。
他の音楽は、ことごとく聴いてましたから。 |
糸井 |
アートな人生ですねぇ。 |
タモリ |
まぁ、よく言やぁね。
|
糸井 |
で、さまざまなルールや様式に対して
適宜、批評を加えてきた、と(笑)。 |
タモリ |
うん、知らないくせして。 |
糸井 |
で、リズムは大好き。 |
タモリ |
うん、リズムは大事、ルールはキライ。 |
糸井 |
今やってることと、そのままじゃないですか。 |
タモリ |
そのままですねぇ。 |
糸井 |
できたら、省エネもしたいんですよね? |
タモリ |
音数も極力、減らしたい方向です。 |
糸井 |
1曲のなかで
「プゥ〜」のひと吹きだけで済むんだったら。 |
タモリ |
それに越したことはない。 |
糸井 |
「あの、タモリのプゥ〜がさー」なんて。 |
タモリ |
たまんねえんだよなって(笑)。
‥‥理想です。
|
糸井 |
もう、できることなら音すら出さずに‥‥。 |
タモリ |
拍手がほしい。 |
糸井 |
こう、ラッパ構えただけで。 |
タモリ |
客から大喝さいが(笑)。 |
糸井 |
リズムってのは、何なんですか。 |
タモリ |
何なんでしょうね、うん。
まぁ、人それぞれ、
自分のなかに持ってるというものですよね。 |
糸井 |
だから、さっきの話で、
同窓会の席でちゃんとした挨拶しちゃった人って
場のリズムに合ってなかったんですね。 |
タモリ |
うん、リズム感がないというより、合ってない。 |
糸井 |
ルールの場合、
守らない人は罰則を受けなきゃならないけど。 |
タモリ |
リズムの場合は、合うか合わないかですから。
だから、違ってるのは、別にいい。 |
糸井 |
ああ、その考え、すごく賛成ですね。
リズムがちょっと違っても
お互いに合えば、ともだちになれますからね。
|
タモリ |
いまだに付き合いのある
高校時代からの仲間が4〜5人、いるんですけど
それぞれのリズム、ぜんぜん違うんですよ。
で、ひとり、聞いてるようでいて
なんにも聞いてないし、反応すらしないという
特異なリズム感をもったやつがいて。 |
糸井 |
特異な(笑)。
|
タモリ |
でも、そいつにはそいつなりのリズムがあって、
オレたちにとっては、それがおもしろい。
だから、いてくれなきゃ困るんです。 |
糸井 |
合ってるんでしょうね、リズムが。 |
タモリ |
ええ、いわゆる「癒し系」とは
ちょっと、違うんですけれども。 |
糸井 |
それとはまた、別のリズム。 |
タモリ |
うん、なんというか、こう‥‥
30小節に1発くらい低い音で「ドン!」と。
そんな感じのリズムで生きてる(笑)。 |
糸井 |
波長というか、間隔がやたら長いんだ。 |
タモリ |
でもね、たまーに鳴らす「ドン!」で
すごく重要なことを言うやつなんです。 |
糸井 |
それまで、無反応なのに(笑)。 |
タモリ |
みんなが困ってる状況をね、
その「ドン!」で解決しちゃうような‥‥。
<つづきます> |