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タモリ |
あるクラス会のときにね、朝飯を食ってたら
自分の女房のじまん話だけを
えんえん、しゃべり続けるやつがいたんですよ。 |
糸井 |
迷惑ですねぇ(笑)。 |
タモリ |
まぁ、ちょっとくらいならいいですよ?
でもね、なんで、
こんなにも聞き続けなきゃならない?
いい加減、みんなウンザリしてたんです。
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糸井 |
ええ、ええ(笑)。 |
タモリ |
で、どう切り上げようか、この場を‥‥と。
そのとき、その「ふだんは無反応なやつ」の
「30小節に1発」が、出た。 |
糸井 |
出ましたか。 |
タモリ |
いいタイミングで、ポソッと
「ちょっとオレ、うんこ行ってくる」。
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糸井 |
ははははは(笑)。 |
タモリ |
そしたらみんな、いっせいに立ち上がって
「おーおー、オレもオレも!」っつって。 |
糸井 |
堰を切ったように(笑)。 |
タモリ |
そんな全員がね、同時にってありえないでしょ。
でも、そのひとことが、みんなを救った。 |
糸井 |
いい話だなぁ(笑)。 |
タモリ |
ちなみに、この「30小節に1発」のやつは、
もうずーっと長い間、なぜか
飲み会で一銭も払わないことになっている。
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糸井 |
す、すごいねー(笑)。 |
タモリ |
もう、何十年と飲んでんですよ?
その間、ビタ一文も、払わない。
ぜんぶで5人の仲間なんだけど、
会計は、もう「はじめから4で割る」と。 |
糸井 |
ふだん、その人は
どんなことをなさってるんですか? |
タモリ |
コピーライターですね。 |
糸井 |
あ‥‥そうですか(笑)。 |
タモリ |
で、電話をしてもね、朝から夜の10時くらいまで、
ずーっと会社にいるんです。
同い年なんですけどね、そいつは。
何をそんなに、やることがあるのかと。
で、そいつの奥さんに
「仕事、すっごく忙しいんだね」って聞いたら、
完全に博多弁で
「さばけきらっしゃれんと、あん人は」(笑)。
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糸井 |
「さばききれないだけだ」と(笑)。 |
タモリ |
他にも、同じようにテンポは遅いんだけど、
それに加えて「強弱の激しいやつ」とかもいて。 |
糸井 |
(笑) |
タモリ |
その「強弱の激しいやつ」は
これまた別の「ヘンなリズムを刻むやつ」を
ずーっと攻撃してたりしてるんです。 |
糸井 |
それを見てるんだ、みんなで(笑)。 |
タモリ |
そう、キャンキャンやってんのを、みんなで見てる。
「おまえはいつも口だけで何にもしないじゃないか、
むかしからそういうやつだったよ、
今回も結局、ぜんぶオレに押し付けやがって、
高校時代から、ほんとに変わってないな‥‥」と。 |
糸井 |
責め立てるわけですね。 |
タモリ |
言われてるほうも「ヘンなリズム」ですから、
「うん、うん、うん」って
ちょっと笑いながら、聞いてるんですよ。 |
糸井 |
かなりヘンな状況ですねぇ、それは(笑) |
タモリ |
で、じぃーっと聞いてて、最後にひとこと、
「今日はいつもより厳しいな」って(笑)。 |
糸井 |
いい、いい(笑)。 |
タモリ |
あっちのほうでは、
「30小節」ごとの「ドーン!」が、入り。 |
糸井 |
いいですねぇ‥‥その会。 |
タモリ |
いやいやいや‥‥、
全員、60越えてんですよ!
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糸井 |
でも、なんだか
楽になれそうじゃないですか(笑)。 |
タモリ |
まぁ、楽にはなれるけども(笑)。
<つづきます> |