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タモリ |
やっぱり、だんだん減ってきてるんでしょうか、
スロー人の数というものは。 |
糸井 |
会社員とかには、向かなそうですしね。 |
タモリ |
せち辛くなってますからね、世のなかが。
希少種。
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糸井 |
うちの会社にだって
さすがにスロー人は‥‥いないなぁ。 |
タモリ |
だからもう、幼稚園とか小学校とか
はやい段階から矯正されちゃうんでしょう。 |
糸井 |
でも、コピーライターはやってたりする(笑)。 |
タモリ |
朝から夜の10時まで。なにをやってるのか。 |
糸井 |
そのコピーライターの奥さんは
スロー人として接してるんですかね、夫に? |
タモリ |
おもしろいことに、われわれのグループは
家族ぐるみの付き合いがまったくないんですよ。 |
糸井 |
家庭生活については、いっさいナゾなんだ。 |
タモリ |
そう、で、このまえ帰ったときに、
たまには奥さんも一緒にってことになって、
集まったんですよ、みんなで。 |
糸井 |
ええ。 |
タモリ |
そしたら、
「あらー、久しぶり、結婚式以来ですねぇ」
とかなんとか言ってる。
‥‥もう60歳の人たちがですよ。 |
糸井 |
いったい何十年、会ってないんだと。 |
タモリ |
久しぶりってレベルじゃないのよ。 |
糸井 |
(笑) |
タモリ |
で、そのうちのひとりが、
「ずっとしかられてる」スロー人の
奥さんと娘さんに、
別のところで、たまたま会ったらしいんです。
そしたら、
ずーっと「うちのお父さん」についての
質問責めなんだって(笑)。 |
糸井 |
あれはなんなんですか、と。 |
タモリ |
そう、理解できない行動の意味を問われたり。
旧友を通じて、何とか「わかりたい」んです。 |
糸井 |
ああ、愛されるんですね‥‥スロー人は。 |
タモリ |
うん、それだけの興味を
奥さんと娘から持たれてるってことですから。 |
糸井 |
探せば、どっかにまだいそうだなぁ。 |
タモリ |
あ、芸人の「中川家」がそうですね。
スロー人だわ、あれ。 |
糸井 |
どっちのほうですか? |
タモリ |
兄(中川家剛さん)のほう。超スロー。 |
糸井 |
M-1グランプリで
優勝したりしてましたよね、たしか。 |
タモリ |
たぶん、あの兄じゃなきゃダメなんですよ。
あのコンビは。 |
糸井 |
‥‥あ、このあいだ、うちの「睡眠論」に
出てもらったんですけど、
スチャダラパーのアニくんも、かなりだわ。
いかにして
少しでも「よけいに寝れるか」ということを
ずーと考えてる人のようで(笑)。
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タモリ |
そんなに眠いのか。 |
糸井 |
その座談会の最中も、知らないうちに‥‥。 |
タモリ |
寝てるんだ(笑)。 |
糸井 |
いや、何かちょっと見えてきたような‥‥。
みんなを助ける、愛すべきスロー人。 |
タモリ |
うん、いま、スロー人が必要です。 |
糸井 |
スチャダラのアニくんか。 |
タモリ |
中川家の兄か。
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糸井 |
・・
‥‥つまり、スロー人の素質とは
「アニ性」である、と(笑)。
<つづきます> |