糸井 |
正月になると、
今年の抱負とか、きかれるじゃないですか。
でも、きかれる用に生きていないから、
ほんとは、抱負なんて、ないですよね。
ぼくは敏感だから
「そういうのにこたえるのはよくないな」
とかいちいち思っているうちに、
夢、なくなっちゃうんです。
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鶴瓶 |
そやけどほんまにね、
若いうちからこんな考えやったらあきまへんで。
やっぱり五十をこえないと。
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糸井 |
俺はビッグになってやる、みたいな?
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鶴瓶 |
そういう気持ちを、
少しは持っていかないとあかんと思うねんけどね。
まぁ、今日は今日というふうに、
ズルズルきてる人って、ほんまに……。
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糸井 |
ナマコのような人生?
ナマコは傷口が治るらしいよ。
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鶴瓶 |
ヤギ汁は、傷口が化膿しまんねんで。
山羊汁。宮古島の山羊汁。
どうしても取材やから、
高校生が作ってくれたから飲んだんですけど、
そんなん、食われへんやん。
ほんで、それで、その土地の人も、
もういまは、あんまり食べはれへんやって。
でも、しゃあない、もう、気ぃ使いやからね、
俺とマネージャー、ガーッ、食べて。
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糸井 |
気を使って、
「うまい」とか、言っちゃうんでしょう?
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鶴瓶 |
「これ、もっとくさいと思ってたけど」
と言うて……。
くっさいねんけど、すぐに食べたんです。
ほんだら向こうが、
もう1杯、バーッ!入れはったんですよ。
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糸井 |
(笑)
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鶴瓶 |
だけど、テレビあるし、俺の番組やし。
そもそも、俺が作ろう言うた番組なんや。
キャンプファイヤーみたいなのを
しよう言うたところに、宮古島やったから、
山羊汁が入ってきたんや……
それ、山羊はいらんでぇ、言うてるのに。
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糸井 |
「山羊はかわいいから、
食うのはやめよう」とか言うしかないか。
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鶴瓶 |
あのね、
土地の人が歴史的に食べてはるもんをね、
拒否できないやん。
それも、いまはもう、
おばあちゃんしか食べはらへんやつね。
高校生なんか飲めへんのやけど、
それを、バーッと入れてくれるわけや。
ほんだらもうしょうがないし、
プーとか吐かれへんし。
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糸井 |
慣れない人には、くさいだろうねぇ。
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鶴瓶 |
今日なんか、
ナマズのスープを飲まされたがな。
昼のさわやかなときから。
ミャンマーのスープなんやけど、
なに入ってるかわかんない。
ミャンマーの人には悪いけどね、
もうだめなんです。
だけどやね、おとなやから、
「うん、ちょっとクセがある」と言うて。
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糸井 |
(笑)鶴瓶さん、
たとえばフランス人が来て、
塩辛を食べなはれってなったとき、
食べたくないといわれても
平気じゃないですか。
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鶴瓶 |
それはね、
糸井重里はなんでもそれは言えます。
あなたは、はっきり言う人だから。
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糸井 |
(笑)
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(つづきます)
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