よっつめのどうぶつ ねこ
ねこだね。
ねこだ。
アッコちゃんの、
ねこの出てくる歌は
何曲くらいある?
わかんないねぇ。
とにかくねこは、ふだん見てる回数が多いし、
歌も多いよね。
ねこは、もしかしたら
ほかの人の歌のなかにもあるかもしれないね。
きっとあるね。うん、ある。
俺は「ねこがかくしているもの」という歌を
書いたことがあります。
『reverb』収録曲)
ねこって、犬とかと比べて
隠しごとがありそうじゃない?
そうね。
犬の隠しごとって、たいてい
「ほねのかたち」をしてるけど(笑)。

すぐわかっちゃう。
ねこのかくしごとはもうちょっと不定形で、
深い。
これだけ長いあいだ人間といっしょにいるのに
ねこの「ゴロゴロ」がどこで鳴ってるか
まだわからないらしいよ。
そうなんだ。
うちの獣医さんがそう言ってた。
犬のことは、ほとんどなんでもわかってるらしいけど。
ねこには、くめどもつきぬ謎があるね。
これからもアッコちゃんとねこの関係は
どんどん森の奥深くに入っていくんだね?
そうかもね。
いまニューヨークにいるのは1匹?
うん。だいぶお年です。
腎臓病で高血圧。おそらく17か8かな。
じゃあ、看取れるね。
看取らざるをえないね。
そうじゃなきゃ老々介護になっちゃう。
それはダメだ。
ね。

あのね、話は少し飛ぶんだけど‥‥
よく、家の近所とかに
「ねこおばさん」のような人いるでしょう?
ねこにエサをあげてる人?
うん。そして、自分ちのドアをあけりゃ
10匹ぐらいねこが出てくる状態に
なってたりする人。
いるね。
ああいう人たちもいれば、
わたしのような者もいて‥‥
つまり、「動物と自分」の関係、
距離の取り方、それは
人によってすごくちがう。
ちがう(深く頷く)。
しかし、その「距離の取り方」は
その人の人間全体の評価につながったりするね。
するね。
しかも、それは
どうぶつが好きな人どうしであっても
みんなちがう。
そうなんだよね。
「だいたいはわかるけど、
 ああいうところがちがうよね」
なんて言い合う。

ましてや、それは、
どうぶつに興味がない人からしたら、
ねこおばさんのやっていることは
変なことになっちゃう。
どうぶつとの関係の結び方の
「ちょうどいい具合」「いいあんばい」ってのは
いったいどこにあるんだろう。
ないね。
ないかね。
ないと俺は思う。
みんなが「変」なんだと思う。
そっか。
たとえば、食べものの好みが
ほとんどいっしょの人でも
納豆のところで「えー!! あれを食うの?」
ということになったりします。
どうぶつとの関係では、特に、
人をおかしくさせるホルモンが
出るようになっているんじゃないかと思う。
どうぶつから?
いや、どうぶつとの関係を考えることで
人間の側から出るものがある。
人を「行かせてしまう」んです。
どうぶつとの関係ではとかく、
左脳が働かなくなるんじゃないかな。
あのね。
うちにはもともと2匹のねこがいました。
そこに、さらに2匹引き取ることになったから、
ひところは4匹のねこがいたんです。

それまでは「多頭飼いするのはよくないね」なんて
言っていたにもかかわらず、です。
引き取り手がいなければシェルターに入れるという人が
いたから、そうなっちゃった。

引き取ったのはいいけど
ただでさえ、すでにうちにいた2匹は仲が悪い。
そこに、さらに若いアメリカ人が2匹来た。
アメリカ人のねこが(笑)。
4匹になったおかげで
人間が生活を変えざるを得なくなった。
そのうちなんとなく
うまくいくようになったんだけど、
今度はそのうちの1匹が、がんになったんです。

(明日につづきます)
イラストレーション:東久世
写真:松本昇大
2013-12-05-THU
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