ノリスケ |
一緒に住んでていいなと思うのは、
他人の目があるから、ちょっと聞けること。
この組み合わせどう? みたいなことは。 |
ジョージ |
例えば、女の人さ、ちょっとご近所に
買い物に行くのに化粧して着替えて行くよね。 |
つねさん |
ああ、そういう人もいるよね。 |
ジョージ |
いるよね、じゃなくて、
大抵そうなのよ? |
つねさん |
はい〜。 |
ノリスケ |
出かける距離によって
お化粧のしかたが変わる人もいるのよ。 |
ジョージ |
うわ〜! わかる!
そうだと思うよ。
一回、うちの両親が、大喧嘩して。
家を出る出ないの話になって、
親父から電話かかってきて、
「来てくれ」って言われたの。 |
ノリスケ |
うん。 |
ジョージ |
「お母さんには内緒だから」って。
行ったの。夜中に。
で、マンションの1階で呼び出して、
「今来ましたから」って
出たのが母だったの。
で、「ごめんなさいね、10分ほど待ってて」
「なんで?」「私すっぴんだから」って。 |
ノリスケ |
息子が迎えに来てるのに!
息子にも素顔を見せないの?! |
ジョージ |
10分くらいしてロック解除してくれて、
上あがってったら顔ができあがってんだよね。
で、「どうしたの、お母さん、
出て行くの?」って言ったら
「出て行きゃしないわよ。
私が出るんじゃなくて、
この人が出るのよ」って。
「なんで化粧したの?」って聞いたら、
「息子のあんたにも
見せられない顔があるのよ」って。 |
ノリスケ |
うははは。 |
ジョージ |
あ、そうか、亭主は人間じゃないんだと
思ったね(笑)。そん時に。
だって亭主とは平気で
すっぴんで喧嘩をしてるのに。 |
つねさん |
すげー!
「あなたの知らない世界」だ。 |
ジョージ |
買い物行く時も、必ず化粧するから、
「なんで化粧するの?」って聞くと、
「誰かに会うといけないから」って。
で、戻って来て、「誰かに会った?」
って聞くと、「誰にも会わないわよ?」って。
「じゃあ、無駄だったね」って言うと
「なんで? 化粧してる間、
私は綺麗になったんだから、
得したじゃないの」って。 |
つねさん |
おお! |
ジョージ |
そこはね、女の発想でもあり、
おかまの発想でもあるわね。 |
ノリスケ |
ほお! そうだ! |
|
ジョージ |
男って、例えば飲みに行くわけじゃん。
飲みに行く時はいいかっこしていくんだよね。
なんでかって言うとそこで
お姉ちゃんに褒められたいから。
で、せっかくオシャレして行ったのに、
目当ての女の子に評価されなかったら、
今日のオシャレは無駄だったと
思って帰るじゃない。 |
ノリスケ |
そうか(笑)。功利主義と言いますか。 |
ジョージ |
おかまもね、誰かの目があるから、
綺麗にしたいという気持ちもあり、
(恋が)できればいいなと思うんだけど、
できなかったからと言って、
今日着たオシャレな洋服は
無駄だと思って帰るおかまは
ほとんどいないよね。 |
ノリスケ |
いない、いない。 |
ジョージ |
お披露目ができたわけだし、
みんなにちやほやしてもらって! |
つねさん |
「あ、かわいい!」って言われたら。 |
ジョージ |
たとえ言われなくても、
視線を感じただけで、
「あ、よかった」って。 |
つねさん |
ウンウン。 |
ノリスケ |
逆にちょっと変なかっこしてるとね、
イヤだ! って、早く帰りたくなっちゃう。 |
つねさん |
おお。 |
ジョージ |
そうそうそうそう。なんで今日、
これ着て来ちゃったんだろうって。 |
つねさん |
ふんふん。 |
ノリスケ |
(つねさんに)今うなづいてるけど、
本当はうなづいてないでしょ(笑)!
あなた! |
つねさん |
いやぁ〜ん、ばれた(笑)! |
ジョージ |
この人は、この人なりに、
あるんだとは、思うよ(笑)? |
ノリスケ |
「つっかけでジャージの俺を見てくれ」
とでも言うの(笑)? |
ジョージ |
あっ、そういうのいるよ!
そういうのが売りの、僕の同いどしの
すごいのが! |
つねさん |
あれか! すごいよね。もう。 |
ノリスケ |
なに、なに、なに? |
|
ジョージ |
かなりお金持ちのぼんだから、
金に苦労してるわけはなし、
一張羅着て来いって言うと
一張羅着て来るんだよ。
銀座で待ち合わせした時なんか、
スーツ着てステッキ持って
インバネスまで羽織ってやって来るんだよ? |
ノリスケ |
うおー! すっごいオシャレ! |
つねさん |
オシャレなのかな。受け狙い? |
ジョージ |
そう。受け狙いなんだよね。にも関わらず、
ま、フケ専と言いますか、
お爺様が大好きな人なんですけども、
金持ちのお爺様に会いに行く時は、
必ずジャージの上下に、下駄履いて来るの。
それは、お爺様が若い子に抱いている
幻想を彼は提供しているの。
‥‥素晴らしいよね! |
ノリスケ |
あー。若い子って(笑)‥‥
ジョージさんと同い年よね‥‥。 |
ジョージ |
だって、80のお爺様にとって、
40代は若い子よ。
80のお爺様にとって、はたちの子は子供なの。 |
つねさん |
そうだよね。坊やだもんね。 |
ジョージ |
うちの親父がね、一時期、
しっかりした彼女ができて、 |
ノリスケ |
はは! |
ジョージ |
でね、自分の彼女の店に行く時に、
ひっどい普段着して出て来てた時があって、
僕説教したもん。
「お父さん、やめなさい。
なんであんな普段着で出てくんの」って。
それこそ、歌舞伎町まで
車で5分の距離なのよ。
歩いても行けるの。 |
ノリスケ |
うん。うん。 |
ジョージ |
「歩いて来れるところに、
なんで、よそゆきで来なくきゃ
いけないんだ」って言うのね。さらに、
「彼女がいるのにいいかっこして出て来たら、
彼女に申し訳ないじゃないか」
って言うから、
「あんた、それは違うから。
女の感覚は、自分の彼氏は
やっぱりかっこよくいてほしいし、
誰が彼氏? って言われた時に
あのオヤジって指さしたら、
こんーな、もう、貧しいかっこしてたら、
首くくりたくなるからやめなさい!」
「じゃあ、どうすればいいんだ」
って言うから、じゃあ、
彼女と一緒に買い物行けばいいじゃん。
で、彼女が着てほしいというジャケットを
一枚買いなさい。
上から下まで揃えちゃダメよ、
ちんどん屋になっちゃうから。
ホストみたいに絶対なるから。
ジャケットでも一緒に買って、
それとお揃いの何か買ってあげるんだよ、
そしたら喜ぶからねって。 |
ノリスケ |
はははは! |
ジョージ |
なんかしんないけど、毎月ジャケットの数が
増えるって、うちのお母様はおっしゃるの。 |
ノリスケ |
わははは!
毎月ジャケット(笑)。 |
ジョージ |
ま、調子に乗るのも、
そこそこにしなさい、と。 |
つねさん |
乗るね(笑)! |
ノリスケ |
一つ覚えなんですね〜。 |
ジョージ |
今回ジャケット買ったら、
次はパンツとかにすればいいのにね? |
ノリスケ |
ねぇ(笑)? 靴買ったりねぇ。 |
つねさん |
頭の中で、ジャケットしか思い浮かばない。 |
ジョージ |
「あ〜ん、パパ!すてき!」
とか誉められるとね、
「おおー、そうかそうか」って(笑)。
‥‥ほんとはそれを、
うちの中でできれば、幸せなのよ? |
ノリスケ |
ウン、ほんとは一番いいね。 |
ジョージ |
ま、うちの場合は、母は母で別の道があり、
父は父で別の道があるから。 |
ノリスケ |
ちょっと特殊なケースね。 |
ジョージ |
そうそう。 |
つねさん |
でもやっぱり、誉めてくれる人が
いるっていうのは、すごい嬉しいと思うよ。 |
ジョージ |
うん。だと思うよ。 |
ノリスケ |
うん、うん。 |
ジョージ |
うちの母ですら、
特別なイベントか何かがあると、
仕立てたばっかりのスーツとか着せて
亭主出すからね。すぐ電話かかってくるの。
「お父さんが今、そっちの方行ったけど、
今日一張羅だから、
仕立てたばっかりだから、
なんか気がついたら誉めてあげて」
って言うもん。 |
つねさん |
ああ、さすがだなぁ! |
ノリスケ |
さっすが! |
ジョージ |
誉めてあげると、すっごい喜ぶし、
気合入るしね。 |
つねさん |
喜んで奥さんにも、
「今日誉められた」って報告もあるだろうし。 |
ジョージ |
そうそうそう。ま、それで、
「わかったわ、あなた、今度私、
舞台衣裳作るからよろしくね!」
って作るの。 |
ふたり |
うわははは(笑)! |
ノリスケ |
女優じゃないっつーの(笑)。 |
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今回もご愛読ありがとうございました〜。
次回もおたのしみに〜! |