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ほがらかなミシュラン。その4
オカマ魂が足りないけどね。

ジョージ でね、おもしろいなと思ったのが、
たとえば「龍吟」が星をとってるけど、
「青柳」がついてないんだよね。
ノリスケ つまり、出身の老舗じゃなくて、
独立した若い料理人のお店が
評価されたということね。
ジョージ で、これね、
親子の関係で出てるとこもあるけど、
子だけ出て、親が出てないとこ、
結構あるの。
ノリスケ 本当?!
つねさん ああ、なるほど。
ジョージ 「分とく山」さんだって元々は
「とく山」さんだからね。
で、「とく山」さんは出てないわけで。
ノリスケ でもそれはまあ、料理人の勢いって
そういうことだということなんじゃないのかしら。
今という時代のガイドブックとは、
そういうことだってことじゃない?
ジョージ そうね、ただの権威じゃない、
っていうことかしらね。
僕、この本はすごくいい本だと思うよ。
あの、一軒一軒のレビュー記事、
レビューの項目を見ていくと、
視点がグルメじゃないのよ。
ノリスケ グルメではない?
つねさん ふうん。
michlin
ジョージ つまり、どういうんだろ、
食材のことは書かれていても
料理の“味”って
ほとんど言及してないのね。
ノリスケ へえ。
つねさん それよりも居心地とか?
ジョージ 居心地とかサービスのこととか、
例えば、そのお店に行くと
マダムが素敵だから
その人の言うことを聞くべきであるであるとか、
要はその、実際に一度でも
行ったことのある人がこれを読むと‥‥
つねさん なるほどと思う?
ジョージ ああ、確かにそうだと思うでしょうし、
これから行ってみようかなあと思うときに
これを見ると、ああ、なるほど、
こういうふうにすれば、
初めての人でも常連の人のように
楽しむことが出来るのかもしれないな
っていうふうなヒントが書かれてる。
なんか結構好きよ、これ。
つねさん おもしろいね、なんかね。
ジョージ 逆にあまりに誠意に満ちているんで、
もう少しオカマ魂が
スパイスで入ってると
面白くなる‥‥と思ったりはする。
つねさん ハハハ!
ノリスケ いたらいいのにね、審査員に。
ジョージ う〜〜ん、まあ、少なくとも
僕は審査員じゃなかったのよぉ。
ノリスケ たしかに冷静な文章よね。
ジョージ 穏やかな書き方でしょ。
ノリスケ 偉そうでもなんでもないし!
ジョージ で、別に持ち上げてるわけでもない。
誇張がなくってね。
つねさん なんか、レポートみたいな感じだよ。
ノリスケ もうちょっと褒めたら?
ぐらいに思えますよね。
ジョージ そうそうそうそう、そう。それでね、
無理やりページを埋めようとしてないの。
記事の下に余白の部分があってね、
なんか僕らに埋めさせたいのかなあって
いうような感じがするのも、ある意味大胆。
つねさん なんか書き込めるくらいあるね。
michlin
ノリスケ で、オカマ魂としてはいかがなの。
ジョージ うーん、ちょっと意地悪に言うならば、
もうすぐなくなるに違いないでしょ、
って店が出てたりとかするの。
逆に何で入ってないかなっていうのも山ほどある。
つねさん ふうん。
ジョージ レストランにしてみれば、
ああ、入ってなくってよかったな、
っていう人もいっぱいいると思うよ。
例えば、これで星を与えることで、
暴力的なことをしてしまってる、
っていうのがあると思うんだ。
例えば、カウンター席だけでもって、
10席ぐらいで満席になっちゃうようなお店に
星を与えてしまったら、
「半年先まで予約は取れません」
ってなるかもしれないでしょう。
そんなふうに言われたら、
お客さんも嫌気がさしちゃうよねえ。
ノリスケ そうね。
ジョージ

だから、あのお店とかあのお店とか、
星が付かなくてよかったなあって思うもん。
逆に、空いててよかったのにってお店が
取っちゃって、ちょっとフクザツ?
とかあるけど。
‥‥この本、いろんな活用の仕方はあると思うよ。

ノリスケ 鵜呑みにしてもしょうがないっていうこと?
つねさん でもそれって、グルメ本、全部そうだよね。
鵜呑みに出来ないていうのは。
ジョージ うん。
ノリスケ 気になる方は気になる店だけ、
行ってみたらいいのよね。
つねさん うん。
ジョージ そう。例えば、これを片っ端から、
食べてみましょうっていうのは、
しなくてもいいことだと思うし。
michlin

2008-02-19-TUE


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