ジョージ |
でね、おもしろいなと思ったのが、
たとえば「龍吟」が星をとってるけど、
「青柳」がついてないんだよね。 |
ノリスケ |
つまり、出身の老舗じゃなくて、
独立した若い料理人のお店が
評価されたということね。 |
ジョージ |
で、これね、
親子の関係で出てるとこもあるけど、
子だけ出て、親が出てないとこ、
結構あるの。 |
ノリスケ |
本当?! |
つねさん |
ああ、なるほど。 |
ジョージ |
「分とく山」さんだって元々は
「とく山」さんだからね。
で、「とく山」さんは出てないわけで。 |
ノリスケ |
でもそれはまあ、料理人の勢いって
そういうことだということなんじゃないのかしら。
今という時代のガイドブックとは、
そういうことだってことじゃない? |
ジョージ |
そうね、ただの権威じゃない、
っていうことかしらね。
僕、この本はすごくいい本だと思うよ。
あの、一軒一軒のレビュー記事、
レビューの項目を見ていくと、
視点がグルメじゃないのよ。 |
ノリスケ |
グルメではない? |
つねさん |
ふうん。 |
|
ジョージ |
つまり、どういうんだろ、
食材のことは書かれていても
料理の“味”って
ほとんど言及してないのね。 |
ノリスケ |
へえ。 |
つねさん |
それよりも居心地とか? |
ジョージ |
居心地とかサービスのこととか、
例えば、そのお店に行くと
マダムが素敵だから
その人の言うことを聞くべきであるであるとか、
要はその、実際に一度でも
行ったことのある人がこれを読むと‥‥ |
つねさん |
なるほどと思う? |
ジョージ |
ああ、確かにそうだと思うでしょうし、
これから行ってみようかなあと思うときに
これを見ると、ああ、なるほど、
こういうふうにすれば、
初めての人でも常連の人のように
楽しむことが出来るのかもしれないな
っていうふうなヒントが書かれてる。
なんか結構好きよ、これ。 |
つねさん |
おもしろいね、なんかね。 |
ジョージ |
逆にあまりに誠意に満ちているんで、
もう少しオカマ魂が
スパイスで入ってると
面白くなる‥‥と思ったりはする。 |
つねさん |
ハハハ! |
ノリスケ |
いたらいいのにね、審査員に。 |
ジョージ |
う〜〜ん、まあ、少なくとも
僕は審査員じゃなかったのよぉ。 |
ノリスケ |
たしかに冷静な文章よね。 |
ジョージ |
穏やかな書き方でしょ。 |
ノリスケ |
偉そうでもなんでもないし! |
ジョージ |
で、別に持ち上げてるわけでもない。
誇張がなくってね。 |
つねさん |
なんか、レポートみたいな感じだよ。 |
ノリスケ |
もうちょっと褒めたら?
ぐらいに思えますよね。 |
ジョージ |
そうそうそうそう、そう。それでね、
無理やりページを埋めようとしてないの。
記事の下に余白の部分があってね、
なんか僕らに埋めさせたいのかなあって
いうような感じがするのも、ある意味大胆。 |
つねさん |
なんか書き込めるくらいあるね。 |
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ノリスケ |
で、オカマ魂としてはいかがなの。 |
ジョージ |
うーん、ちょっと意地悪に言うならば、
もうすぐなくなるに違いないでしょ、
って店が出てたりとかするの。
逆に何で入ってないかなっていうのも山ほどある。 |
つねさん |
ふうん。 |
ジョージ |
レストランにしてみれば、
ああ、入ってなくってよかったな、
っていう人もいっぱいいると思うよ。
例えば、これで星を与えることで、
暴力的なことをしてしまってる、
っていうのがあると思うんだ。
例えば、カウンター席だけでもって、
10席ぐらいで満席になっちゃうようなお店に
星を与えてしまったら、
「半年先まで予約は取れません」
ってなるかもしれないでしょう。
そんなふうに言われたら、
お客さんも嫌気がさしちゃうよねえ。 |
ノリスケ |
そうね。 |
ジョージ |
だから、あのお店とかあのお店とか、
星が付かなくてよかったなあって思うもん。
逆に、空いててよかったのにってお店が
取っちゃって、ちょっとフクザツ?
とかあるけど。
‥‥この本、いろんな活用の仕方はあると思うよ。
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ノリスケ |
鵜呑みにしてもしょうがないっていうこと? |
つねさん |
でもそれって、グルメ本、全部そうだよね。
鵜呑みに出来ないていうのは。 |
ジョージ |
うん。 |
ノリスケ |
気になる方は気になる店だけ、
行ってみたらいいのよね。 |
つねさん |
うん。 |
ジョージ |
そう。例えば、これを片っ端から、
食べてみましょうっていうのは、
しなくてもいいことだと思うし。 |
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