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ある日の日記(11)

Anderton Houseの居間に置いてあった、Anderton Houseの写真のパズル。
ピースのいくつかが、鍵や建物や燭台の形になっている。
箱の裏には、これまでにパズルを完成させた宿泊客たちのサイン、日付、短いコメントが書かれていた。

親しい友人カップルと私たち家族で、
チャリティ団体のThe Landmark Trustが管理する
イングランドのAnderton Houseという家を借り、
久々に携帯電話とインターネットから切り離された3日間を過ごした。
丘の上に群れる、もこもこした羊を時折窓から眺め、
読書をしたり、家のまわりの小道を散歩をしたりするだけの
静かで穏やかな休日だった。

イギリスには古い建築物を積極的に保存、修復し、
キッチンやバスルームといった水回りは不便のないように配慮して
宿泊施設として提供するというチャリティ団体がいくつかある。
そのひとつがThe Landmark Trustだ。

The Landmark Trustが貸し出している建物は
イギリス国内外あわせて、現在194カ所にのぼる。
窓から一面の海を見渡せる灯台、16世紀に建てられたチャペル、
谷にかかる橋のたもとの水車小屋など、
宿にしては風変わりな建築物が多く
ウェブサイトからして見応えがあって楽しい。
ロンドンにも泊まれる建物があり、特に冬場のオフシーズンは
夏場よりぐんと値段が下がるので、おすすめである。
(ただ、人気でかなり早いうちに予約をしなくてはいけない)
私たちのAnderton Houseの滞在も、5人で行って1人あたり
1泊たったの£33だった。


Anderton Houseの建物内部。玄関から廊下のあたり。
 

居間。
 
 
書斎つきのシングルベッドルーム。
 
 
一緒に建物に泊まった友人のルイーズ。彼女も普段はロンドンに住んでいる。
 

読もうと思ってロンドンから持ってきたジュエリーの本。
 


 
もうひとりの友人、ニック。読書の合間に彼は木製スプーンを作っていた。

The Landmark Trustは、
フルカラー写真の建物一覧カタログをオンラインで事前に購入すると
カタログ代と同額の宿泊割引券がもらえる。
冒頭で触れたパズルにしても、
さりげなくその建築物に滞在している気分を盛り上げてくれる
粋な計らいだ。

イギリスのチャリティ団体の多くは、
組織が存続できる収益をきちんと得る一方で、
こうした良心的でスマートな工夫を凝らしていて見事だと思う。

私は昔から過剰なサービスが苦手で、
与える側も与えられる側も無理のない金銭の循環
というのはとてもほっとするし、心地がよい。

日々のなかで気構えることなくチャリティに参加できる場があるのは、
イギリスの良いところかもしれない。
時間ができたら、また別のユニークな建物にも泊まってみたい。

(三月の更新へ、つづきます)


2014-03-01-SAT

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