怪・その11
「真っ白な手」
親友が体験した出来事です。
とある商業施設のトイレを使用したそうです。
個室に入って用を足している時、
本当に特に意識もせず、
何気なく上を見上げると
ドアと天井に空いた僅かな隙間から
人間の10本の指が垂れ下がるように出ていました。
気味悪い程にやたら指の長い、真っ白な手。
その爪にはまるで血のような
赤黒いマニキュアが塗られていて、
赤と白のコントラストがとても強烈だったそうです。
用を足していた最中にも関わらず、
脊髄反射で次の瞬間には個室から飛び出していました。
何をどう処理して出たか記憶には無いとのことですが、
そのトイレには人気がなく
個室から飛び出した際には、彼女ひとりでした。
たった数秒の出来事なのに、
めちゃくちゃ怖い話を聞かされ、
以来、個室が並ぶ施設のトイレが苦手になりました。
(弁慶)