怪・その14

「ホテルのリネン室」



私が高校を卒業し、
新卒で入った宿泊ホテルでの出来事です。

私はフロントの受付でしたが、
休館日はホテルの清掃も手伝っていました。

そのホテルは海沿いの6階建てのホテルで
夏になると学生が宿泊したり
一般のお客様も泊まるホテルでした。

休館日は従業員も少なく、
もちろんお客様もいないので
ガランとしていて独特の雰囲気をしています。

その日は1人で
5階のフロア4部屋の清掃をすることになりました。
お客様用のエレベーターではなく
従業員専用のエレベーターに乗り、
5階に到着し、
シーツなどを新しく変えるため
リネン室に入りました。

今まで何度もお手伝いをしていたため
いつも通り、リネン室の電気を付け、
新しいシーツをとろうとすると
凄く嫌な気配を感じました。

「うぅ〜‥‥う‥‥っ」

と低い男性の唸り声がリネン室に聞こえてきて、
最初は勘違い、もしくは
換気扇の音だと思いましたが、明らかに違う。

「あ〜‥‥」

「うぅ‥‥う〜‥‥」

だんだん背筋が冷えてきて、
もしかして‥‥と思うと同時に
恐怖でパニックになりながら
急いで1階にある調理場へ行き、
支配人へ説明し、
その日は清掃を断念しました。

あとから他の方に聞くと、
ホテルにはそういった出来事が多いそうです。

ある方は、整えた布団を襖に入れようと開けると、
おばあさんが襖の中で
正座していたのだとか‥‥。

しばらくしてそのホテルをやめましたが、
当時仲の良かった同期に
ホテルのその後を聞くと、
経営者の兄弟が
屋上から飛び降り自殺したのだそう。

今もそのホテルは営業しております。

(a)

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