怪・その42

「川底のスタジオ」



主人の趣味は、
昔ながらのバンド仲間達とごくたまに、
スタジオを借りてセッションしたりすることで、
それを知ってはいましたが、
こんな話を聞くのは初めてでした。

拠点になっているスタジオは、
都内の繁華街の、
ある川沿いにある古いスタジオだそうです。

そこは、地下4階? っていうくらい
深く掘られたスタジオで、
まるで川底に居るようだと。

まだ主人が独身だった頃の話です。
数人のメンバーのうち一人の奥さまも一緒に、
演奏の様子を見学されていたある日。

セッションも終わり、
その深く長い階段を登り地上に出るのですが、
持っている機材が
いつもよりやけに重たく感じたそうです。

その後、打ち上げで飲んでいる時、
その一人の奥さまに

「肩の辺りに、居ましたね。」と、

はっきりと主人は言われたそうです。

その奥さまは所謂「みえる」方だったようです。

その後知ったこととして、
その川沿いのスタジオは、
実は出ることで有名だったそうです。
しかしそれを知った後も、
アクセスの良さのために、何度も使っていたと。

そしてついこの間も、
現存するそのスタジオを使ったと聞いて
驚いた私。

震災等で川にたくさん人が飛び込んだのだろう、
という謂われも知り、妙に納得しました。

私は行ったことのない
そのスタジオの空気感が伝わり、
絵も浮かんできました。

怖いからもう使わないで! 
わざわざ自分から行かないで!

とお願いしていますが‥‥、
さてどうでしょうか。

(AKKO)

こわいね!
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