怪・その46
「降りてから数歩で」
1か月ほど前に、夫の身に起きた出来事です。
夫は配送の仕事をしています。
その日も、いつもと変わらず
担当エリアの配送を行っていました。
ある集合住宅の最上階の6階へ、
荷物を届けた時のことです。
夫は一人でエレベーターへ乗り、
途中の階で乗ってくる方もいなく、
ノンストップで6階へ到着したそうです。
配送先は、エレベーターを降りた目の前のお宅。
エレベーターを降りてから数歩で、配送先へ到着。
置き配指定だったため、
玄関前へ荷物を置こうとしたその時、
「乗りますか?」
とエレベーターの中から、
おばあさんに声をかけられた夫。
「先に降りてください」
と返事をして、
配送完了の手続きをしている時に、
‥‥‥気がついてしまった。
エレベーターが6階に着いた時、
エレベーター待ちの人は誰もいなかった。
降りて数歩、ほんの数秒の間、
誰ともすれ違ってもいない。
エレベーターの扉さえも閉まってない。
それなのに、
エレベーターの中にその人はいて、声をかけてきた。
降りていくエレベーターの数字を見ながら、
夫は怖くなって、階段を使って降りたとのことです。
声をかけられたあの時、
「あっ 乗ります」と言って、
乗り込んでいたらどうなっていたのか‥‥。
その日、配送を終え集配センターへ戻り、
仲間へその話をしたところ
「あぁ〜、あそこね、ついに君もか」
「あそこの別棟は、もっとヤバイよ」
「乗らなくて正解だったよ」
などと出てくる、いわくつきの情報。
配送エリアのため、今後も配送はあるということ。
夫の無事を祈らずにはいられません。
(r)