怪・その48

「可愛いパジャマ」


今から10年以上前、
子どもが幼稚園に入るか入らないかくらいの頃の
出来事です。

その日は夫が泊まりで出張。
子どもは昼間の公園遊びで疲れたのか、
夜にはぐっすり眠っていました。

「映画でも見ようかな」と、
リビングのソファに座り、
一時間程過ぎたくらいでしょうか。

ソファの後ろ、
リビングとふすまでひと続きになっている
寝室を兼ねた和室から、
我が子が飛び出してきたのです。

「しまった、テレビの音、大きかったかな。
起こしちゃったー」

などと咄嗟に思い、我が子に視線をやると
おかしいのです。

寝室から走り出てきた、
確かに今日私が着せたのと
同じパジャマを着ている子どもには、
首から上がありませんでした。

「?!」

びっくりしている間に、子どもは消えていました。

動転しながら寝室を確認すると、
我が子は変わらず眠っています。
おかしな様子もありません。

思い出してみると、
子どもが飛び出してきた時に、
和室のふすまを開ける音は
していなかったように思います。

今でも、
あの日子どもが着ていたパジャマの柄を
覚えています。
もうとっくの昔に手放してしまいましたが、
お下がりの、そのまたお下がりのような
手作りの可愛いパジャマでした。

今でも誰かが着てるのかなぁ。
(a)

こわいね!
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2024-09-05-THU