怪・その50
「オレンジ色のボール」
母に聞いた話です。
昔、古いアパートの2階に住んでいた頃、
夜中に眠れず、
窓を開けて夜空をぼんやり眺めていると、
ふと、
どこからかミカンのような
オレンジ色のボール状の物が
宙を飛んできたと思ったら、
隣の平屋の瓦屋根の上で
パチンと弾けて消えてしまったそうです。
「あれ、今のはなんだろう」
と思っているとその家に灯りが着き、
中で忙しく人が動いている感じがした、
とのことでした。
後日、隣家のおばあちゃんが
ちょうどその時刻に亡くなったと、
回覧板で葬儀のお知らせが来て
驚いたそうです。
母はその時まで、
隣家に寝たきりのおばあちゃんが居ることは
知らなかったそうです。
オレンジ色のボールのことを思い出し、
天国からお迎えが来たのではないか思う、
ホントにミカンみたいな色だった、
と話していました。
(S)