怪・その51

「天井のヒラヒラ」



照明と差し込みプラグが一体になっている、
壁のコンセントに直接差して使うタイプの灯りを
寝室で使っています。

豆電球程度で地味に薄暗く、
その真上の天井を照らすだけなので、
眠りの妨げになりません。
夜中にトイレに起きた時には、
真っ暗な中を歩かずに済みます。
天井の、薄暗く照らされている部分は
1m四方くらいのサイズです。

さて、主人出張中のある夜のこと。
当時、まだ一緒に寝ていた息子と
あれこれおしゃべりをしていると、
何かが視界に入りました。

何気なく左手側の
その薄暗く照らされた天井に目をやると、
細長い布? 紙? のようものの影が
はためいています。

光源は、ほぼ真下の壁の照明。
その影の元は、光源と天井の間にあるはず。

しかし、何もないのです。

私には未知の科学の常識で、
不思議に思える光の屈折が起きてるとか?
などと思い、試しに、
寝ながら足を動かしてみましたが、
そのヒラヒラの影に変化無し。

そのうち、右側にいた息子も気づき、

「お母ちゃん、あれ、なぁに?」

ただでさえ怖がりの息子を、
これ以上怖がらせることはできません。

そこで、
謎のヒラヒラとはまったく関係ないのですが、
科学というものは、不思議に思えることでも
実はそれが不思議ではないということを
教えてくれるのだ、と伝えたく
共鳴や共振の話をしました。
息子はそれを子守歌代わりに、無事就寝。

一方、ヒラヒラは、
共鳴話の途中でも止まらない。
どころか、勢いを増し、ヒラヒラバタバタ。
動き自体は単純なのですが、
必死とでもいうような激しさです。

しかし、あまりにもハッキリとしているせいか
逆に怖くはなく、ただただ不思議で、
不思議だけれど
説明がつく現象なのだろうと思いました。

翌朝、
ある方の訃報を受けとりました。

たぶん、息子に会いに来たんだろうと思います。

すごく寂しがりやの方だったので
気づいてほしかったんだと思います。

いつか息子に
「亡くなる前にあなたに会いに来たんだよ」って、
教えてあげようと思います。

(J)

こわいね!
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