伊丹さんといえば、
食べものについてのエッセイが有名です。
マヨネーズのCMで料理の腕を披露したり、
監督第二作の映画は
食べものにまつわる作品『タンポポ』だったり。
料理は伊丹さんにとって
生涯にわたるテーマのようです。
エッセイに登場したレモン搾りや
参考にしていた料理本、日常愛用していた
料理道具などをここで見ることができます。
中 村 | ここは料理通のコーナーなので、 台所っていう感じにしつらえてあります。 |
糸 井 | あ、そうですね! ここも、ここも台所(笑)。 |
中 村 | そう、台所なんで白いタイル張り(笑)。 |
糸 井 | こういう遊び心はやっぱり 読者だった中村さんならではですね、きっと。 |
中 村 | ああ、そうかもしれないですね。 そういう影響を 伊丹さんからたくさん受けていますから。 |
糸 井 | この生活者の部分を入れてるのが、 見る側は、助かりますね。 |
中 村 | そうそう。それがあるから 伊丹さんという人間を 身近な人として感じられると思うんです。 |
車なんて、単なる実用品、
とエッセイで書いていた伊丹さんですが、
それを楽しむことについては人後に落ちませんでした。
この展示の台には、伊丹さんが乗っていた
車のボディの色が再現されています。
糸 井 | お、急に。 |
中 村 | 「乗り物」。 それ、子どもの時に自転車に乗っている格好と バイクに乗っている格好がそっくりなので、 二重写しで見えるようにしました。 |
自転車とバイクのトライアルの二重写し。動きも感じる。 |
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糸 井 | 本当だ。 伊丹さん、トライアル、 やってたんだよな。うーん・・・・。 |
玉 置 | 糸井さん、ほら。 わかりました? 館内に入る前に、 ガレージに書いてあった番号。 |
糸 井 | わかった! |
中 村 | わかった? |
糸 井 | わかった! なるほど! |
中 村 | 心ある人でないと なかなかわかってもらえないんですよ、 こういう遊びがね(笑)。 |
糸 井 | つまり、あの、 ベントレーが展示されていたガレージは、 この展示の飛び地なんですね(笑)。 |
中 村 | そう、飛び地です。 でね、この展示の背景は、 鉄板を曲面に折り曲げて 車体塗装してあるんです。 クルマ屋さんに出して、やってもらった。 しかもヨーロッパ車仕様の塗装でね。 日本の車体塗装と全然違うらしくて。 |
糸 井 | パール入れて。 |
1971年より、伊丹さんはテレビマンユニオンと組んで、
次々と画期的なドキュメンタリー番組を作りました。
ここでは貴重な当時の番組を見ることができます。
また、取材に愛用していたカメラやテープレコーダー、
米軍放出品のバッグなどが展示されています。
糸 井 | 今になっても僕にとって いちばんインパクトがあるのは 「テレビマン」の伊丹さんです。 |
中 村 | ああ、やはりそうですか。 |
糸 井 | あ、カメラ。 カメラでカメラを撮ろう。 |
玉 置 | 収蔵庫にもカメラはあるんですけどね、 カメラだけはね、あんまりいいものには こだわってなかったような感じですね。 |
糸 井 | 伊丹さんにとってのカメラは、 メモ帳なんだね |
玉 置 | 頂いたようなものも ちゃんと使ったりはしてましたし。 |
(つづきます) | |
2009-10-12-MON |
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図版:トリバタケハルノブ