それはないよな。
darling
こういうことって、みんな、
やりたいからやってるんじゃないと思う。
「悪い人」とか「いい人」とかいうことを超えて、
やっちゃうときがある。
そのときに、必ず被害者が出るわけです。
山川
そっか‥‥。
ゆーないと
誰にでも起こりうるし
誰でもやっちゃうこと‥‥。
darling
そう。家庭のこともそうだよ。
親が喧嘩したりしても、
子どもは被害を受けるわけでしょ?
でも、そうやって全部を考えてたら、
自分なんか、いなくなっちゃう。
 スガノ
そうなんですよね。
darling
むずかしいところなんだよ、ほんとにね。
この映画のタイトルって、
よくできてると思うんだ。
ゆーないと
『犬と猫と人間と』。


darling
うん。
犬や猫のことを考えるのは、
きっと、人間を考えることより、
少しだけシンプルなんだ。
でも、ほんとうは、この映画は
「オレは人間を考えてるんだよ」
ってことなのかもしれない。
この入口から入っていくと、
いろいろわかるんじゃないかな?
 スガノ
私もけっこう、いろんなことを考えました。
知らなさすぎてやっちゃう、ということも
あるとは思いますが、
多かれ少なかれ、
自分に「しまった」と思う経験がないと、
私たちは大人になれないと思うんです。


ゆーないと
ああ、うん、うん。
 スガノ
失敗してあんなことやっちゃった、
という経験があるから、優しくなる。
それは、とても辛いし痛いことだけど、
やっていかなくちゃいけないのかなぁ。
darling
昔はやっぱり、
犬猫のことを考える前に、
人間が生きるほうが大変だったといわれてるから、
より弱いものが粗末にされていたよね。
自分が幸せじゃないほうがいいのか、
といったら、そんなことはない。
この映画は、
答えが出ないタイプのことを含んでるんだけど、
答えが出ることも含んでます、という気がします。
まずは、捨てないことだよね。


 スガノ
はい。
darling
日本のペット市場は、まだまだ
昔の考えのまま成り立っている部分が多いけど、
ヨーロッパあたりでは、
ペットは「買う」のではなく
「もらう」のが基本だと聞いたことがあります。
 スガノ
「買う」場合でも、
犬や猫を店頭に並べるのは
禁止されてるようですね。
darling
ヨーロッパは、ぼくらより少し先に
そういう問題に
ぶつかったんじゃないでしょうか。
 スガノ
動物愛護という考えが生まれたのも
確かに早いんですが、
虐待の歴史も長かったようです。
街なかで動物を決闘させて
それを人が見る、
というようなこともあったみたいです。
darling
そういう経験がヨーロッパにはあった、
ということなんですね。
 スガノ
1822年に家畜愛護法ができたそうですよ。
ゆーないと
うわ、早いですね。
darling
虐待の歴史もあったし、
豊かになるのも早かったし、
両方なんだろうね。


 スガノ
ヨーロッパでは、
19世紀に「子ども」という概念も
再発見されたのだそうです。
まず最初に認識前の状況があって、
その後に、きちんと尊重していこう、という
動きがあるようですね。
darling
「子ども」が、概念として
ない時代があったというのは、驚きだよね。
山川
なかったんですか?
darling
うん。役立たずな小さい人、
という考えだったみたい。
ゆーないと
そうか、そうか。
山川
足手まとい?
darling
飯も食うし、何も知りやしない人たち、
という認識だったんですね。
産業革命の時代には、子どもたちは
炭鉱で働いてたみたいだよ。
山川
あ、そういえば、
その時代の子どもたちは
炭鉱の小さな穴に入れるから役にたった、
と、習った気がします。
 スガノ
「家族」という概念も、もっと
職業的なつながりとして考えられていたようです。
生まれて、子どもが乳離れしたら、
家業をできるだけ手伝わせたり
丁稚奉公で外に働きに出しました。
「子ども」という考えを再認識したことで、
家族のとらえ方もずいぶん変わったようです。
darling
日本でも、万葉集の時代には
子どものことを宝物としてうたった歌があるから、
ヨーロッパでも、うんと昔は
子どもを子どもとしてそのまま
大切にしていた時代もあったんだと思います。
 スガノ
産業が急発展したこともあって、
人がすべて働き手になっていったんですね。
状況によって、いろんなことの
認識が変わっていくのかなぁ。
darling
それは、女性についてもそうだったもんね。
人間は順番に、
「これはだめだよね」というのが
わかってきたのかもしれない。
山川
「それはないよな」
ということに気づく人が
それぞれの時代にいるんですね。



(続きます)
2009-11-15-SUN

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今回の感激団メンバー
darling 山川 ゆーないと
スガノ    

感激団による
『犬と猫と人間と』の
おおまかなあらすじ
くわしくは、こちら

日本版公式サイト
ユーロスペースにて上映中
(〜2009年11月20日)
横浜シネマジャック&ベティ
(11月28日〜)
川崎市アートセンター
(12月5日〜)
など
全国順次公開