家族として犬を飼うという発想は、 昔はなかったような気がします。 犬はもともと、 猟犬や番犬としていたんだよ。 |
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子どもと同じで、 職業として存在していたんですね。 |
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うん。だから、 間違ってるとか、正しいとかいうことよりも、 社会にある考え方の一部を 人は心の中に持つものなんだね。 |
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心のいい悪いじゃなくて、 全体的にどういうふうに考えるのが ちょうどいいのかを、 探っていきたいとは思うんですが‥‥。 |
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この映画の監督も そんな感じですよね。 |
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うん。監督は訴えてないもんね。 ただ、「あ、そうか」って言ってる。 映画としてほんとうによかったと思うのは、 「なぜ作ったか」ということが 映画の中に入っていたことです。 |
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あのおばあさんが 最初に出てきたから。 |
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そりゃー、全然違うね。 |
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違いますね。 |
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もしも映画が 「私はそのことを知りたいと思った」 という監督の独白ではじまっちゃったら、 いい心とかいい映画を作るために 映画を撮った、みたいなことになります。 でも、この映画は見事に、 受け身からはじまってるんです。 最初さ、観るの、 ちょっと気が重くなかった? |
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重かった。 |
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重かったです。 |
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オレも。でも、 最初におばあさんが出てきちゃったから。 |
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うん。監督に映画制作を頼んで 私は人を見る目はありますから、って おっしゃってました。 |
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映画を作った人も頼まれたんだなぁ、 と思ったら、 ものすごく楽になったよね。 |
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それで、監督は とりあえず町に出て、 野良猫にズームインしたりして、 フラフラ歩いてみた、みたいなこと言って。 |
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私たちと、おんなじ気持ちで。 |
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探っていく感じでした。 |
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特にくわしいわけでもなかったんだよね。 |
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そうそう。 |
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最初に夢と希望ありきではじまってたら、 それに合わない現実に対して もっと怒る映画になっていただろうと思います。 だけど、この映画は、 「どうしたものかね」という感じで はじまったから、ありがたかったです。 それに、徹底的に優しいです。 |
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監督、画面に映ってましたもんね。 マイクとかも 画面に入っちゃったりしてたような気がする。 |
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インタビューして、ふつうに 「そうですか」とか おっしゃってたし。 |
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自分と近い気持ちなんだということが、 悲しいとか辛いとかはあるけど暗くならない、 大きなポイントだったと思います。 |
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映画観て、笑ったりもしたもんね。 |
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(笑)動物たちがね、 それぞれがちょっと、愛くるしくて。 |
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「しろえもん」 |
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ああ、「しろえもん」(笑) |
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「にゃんだぼ」(笑) |
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「にゃんだぼ」、よかったね。 ノートの下とかに、 フニャッとなったりしてるのがかわいかった。 |
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野良なんだけどね。 |
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そう(笑)。 自分でドアとか開けてましたもん。 |
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あと、夏になると 毛狩りされるやつらとか。 |
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そうそうそう(笑)。 あとは、出てくる人たちが すごいおもしろかった。 |
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そう。 こんな人いる? って感じで いっろんな人たちが出てきました。 山梨の、犬を保護するところに協力している マルコさんとか‥‥ |
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ああ、マルコさん! そうだねぇ。 |
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うん。 |
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多摩川の近くに住んで 猫たちのめんどうを見ていらっしゃる カメラマンさんと、奥さん。 |
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うん、うん。 傍にいたら、 「はい。手伝います」 という感じがする人たちだね。 |
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うん。 |
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‥‥なんだろう? この映画に出てきた人たちに 共通する部分がある気がします。 つまり、みんな、 考え方を言ってるんじゃなくて、 実際にやってるんだ、ということなのかな? |
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うん。現実に向き合ってる。 そういう人たちが次々と、 犬と猫の世界をめぐって 登場してきた。 そこにすごく 引き込まれていきました。 |
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(つづきます!) |
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2009-11-17-TUE |