実は言葉や習慣に不慣れな外国人にとって、
実はファストフードとか屋台のようなお店というのは
ハードルがかなり高かったりするのです。
普通のレストランなら、
ユックリ時間をかけてメニューを読み解ける。
わからないコトがあれば
お店の人の力を借りることもできるし、
言葉が通じなければ
みぶりてぶりでなんとかしのぐコトもできたりするのです。
けれどファストフードやテイクアウトのお店では、
時間をかけずメニューを決める必要がある。
メニューに写真があったり、
現物がおいてあったりすれば
それを指さし注文もできるけれども、
そうじゃないとなかなか注文できなかったりする。
早く注文をきめなきゃいけない。
どうしよう‥‥、って思えば思うほど
焦って言葉がでてこない。
そんなときにはお店の人の顔をみて、
困った表情をすれば何かオススメのものを
差し出して見せてくれたりするのだけれど、
それも出来ずにうつむいて、
メニューをにらめっこしたりしてる人が結構、いたりする。
外国語に自信があっても、電話で会話をするのは至難の技。
話をしている相手の表情が見えずに
会話は成立しづらい‥‥、それとおんなじ。
彼らはほとんどメニューをみず、
屋台の人と目と目をあわせ、
とてもスマートに注文をしていくのです。
ワインはナパのロバート・モンダヴィで
許してあげるわ‥‥、と、
もう母は勝ったつもりでつぶやきます。
ところがオレンジジュースを手渡され、
お金を払うというときに、母が大きな声で
「あらあら!なんで?」といいつつ、深いため息をつく。
女性の方に手を出す男性。
女性は大きなカバンの中から財布をひとつ。
アルファベットの文字がびっしり模様となった、
ブランド製の分厚い財布を彼に手渡す。
夏のハワイにふさわしい、薄手のパンツにTシャツという
その装いを分厚い財布で台無しにせぬよう
女性のカバンに財布を入れてもらっていたのでしょう。
自分の財布を他人にゆだねる‥‥、というそのふるまいは、
愛情表現のひとつだとして見すごすことはできはするけど、
問題はその財布。
カード入れやら小銭入れやらが全部ひとつに同居している、
便利ではあるのでしょうけど不恰好なもので
それを開いてまずは1ドル紙幣を2枚取り出す。
オレンジジュースの値段は2ドル88セントでしたから、
まずはお札を2枚。
ところがこれがうまい具合でてきてくれない。
アメリカのお札は表面ザラザラしていて、
特に1ドル紙幣はくしゃくしゃ、
よれて互いにこすれあってくっつき取り出しづらい。
それでもたもた。
やっと2ドルを取り出すと、次は小銭を取り出す順番。
コインが落ちぬようにと用意されたフラップをあけ、
中に指を突っ込んでは出し、
コインの種類を確認しカウンターの上に一枚、
そしてまた一枚。
コインをおいていくのだけれど、
なかなか88セント分にならないんでしょう。
シンイチロウ‥‥、
シュリンプカクテルをあきらめなくちゃならないかもね。
あなた、何を今日はディナーに食べたいの‥‥、
と、もう母は半分あきらめ顔。
コインを出すのに手間取って、
挙げ句の果てに小銭がジャランとこぼれ落ち、
チャリンチャリンとボクらの方に転がってくる。
見ると中には50円玉や10円玉が混じってて、
拾ってあげたら「どうもありがとうございます」って、
ネイティブスピーカーらしき流暢な日本語で
お礼をするじゃございませんか。
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