実はボクもアメリカで生活をするようになって、
一番最初に友人に指摘されたのが、
「シンイチロウはお金を払うときにモタモタしすぎる」
というコトで、その原因がやっぱり財布。
当時、典型的なA型几帳面気質丸出しの
仕切りやポケットがたくさんついた、
コインケース付きの三つ折財布をボクは持ってた。
しかもベルクロでカバーを留めるタイプだったから、
開けるたびにベリベリ凄い音が鳴り響く。
プレッピーなんて言葉が日本では当時流行ってて、
そうしたカジュアルで機能的に思えるモノが
おしゃれと信じていたのであります。
ただ、日本で
「アメリカの若い人たちは
みんなこんな財布を持っているんだ」
って思い込んでいた財布を、
ボクの周りでは誰も使っちゃいなかった。
だって、そんなのキャンプをしたり、
どんなことが起こるかわからない
長旅なんかに出かけるときに持ってくもんだ。
まぁ、平和な日本からアメリカにやってきた君にとっては
ココはどこでも
アウトドアみたいなものかもしれないけれどな‥‥、
って笑われる。
何が必要で、何が必要じゃないのか
財布の中身を整理しようじゃないかと言われて、
ひっくり返して全部を出してみたらば爆笑。
アメリカでは使うことができない
日本の百貨店のハウスカードやら、
有効期限の切れたフィットネスクラブの会員証とか。
これじゃぁ、財布と言うよりも
君の「思い出のファイルブック」のようだねぇ‥‥、って。
日常的に必要なモノ。
100ドル足らずの紙幣にコイン。
若輩者にしてなぜだか奇跡的に審査が通過してしまった、
アメリカンエキスプレスの金色カードと、
身分証明証がありさえすれば、
日常生活に支障はきたさず、なんとでもなる。
ならば大げさな財布は不必要。
思い出のファイルブックの役目を果たす、手帳をひとつ。
そしてマネークリップがあればいいんじゃないか、
というので、
ボクは手帳とマネークリップを買うことにした。
これがボクがアメリカで、初めて買ったモノだったわけ。
ニューススタンドでガムを買ったり雑誌を買ったり。
タクシーに乗った代金を払ったり。
ちょっとした支払いをするたび
大きな財布を出さずにすむ快適に、
ボクはしばしウットリしました。
そしてなにより、ボクのそうした支払う姿が、
映画でずっと見慣れてた
アメリカの人たちの立ち居振る舞いに限りなく近く思えて、
再びウットリ。
そしてそうした格好良さが、
最大限に引き出されるのがバーという場所。
さて来週にいたしましょ。
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