神楽坂の近所に住んでいた頃のコトです。
ブラブラを散歩をしていたら、
街のはずれに気になるレストランを一軒みつけた。
隠れ家っぽい小体で
上等なレストランが多く集まるその街に、
溶けこむように地味で控えめな店構え。
にもかかわらず凛とした空気感と、
見事に磨き上げられた清潔でうつくしいさまに
これはおそらくいい店に違いないと思って
それで店名だけを控えて家に一旦戻った。
電話番号を調べて、電話の受け答えがステキだったら
予約をしようと。
明るくステキな受話器の向こうの声にまずは心うばわれ、
丁寧だけれどテキパキとした応対に
ボクは早速、行ってみようと予約をします。
ただ、お店の中の雰囲気がどんな具合か聞いてみたくて、
こう聞きました。
「どんな装いでお伺いするのがいいですか?」って。
「カシミアのカーディガンなどが
ピッタリとするお店だね‥‥、
と言っていただけるようにと努力しておりますが」と。
ステキなヒント。
そしてそのヒントが、どういう意味なのかを
確かめたくなってこう聞きました。
くつろいだ雰囲気で上等なものをたのしんで‥‥、
という意味ですか?
それとも、カーディガンでふらっとくることができる、
ご近所の方に贔屓にしていただきたいのです、
という意味なのですか? と。
その両方の答えがYESで、この質問のおかげでしょうか。
はじめてにして、そのレストランの中で
とびきりのテーブルで、
気持ちのよいゴチソウを頂いたうえに、
シェフじきじきのご挨拶まで
せしめることができたのでした。
ちなみにボクの足元には、
華奢でたおやかなイタリア靴がありました。
さて、カシミアのカーディガンが似合う店。
それはどんなレストランで、そこに何を期待し、
どうふるまえばいいのかを来週、一緒に考えましょう。
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