とは言え‥‥。
お客様をお迎えしたら、
実はそのお客様がそこのお店の常連だった。
そんなことではもてなす側の面目丸つぶれ。
その点、出来たばかりのお店。
しかもまだ有名になってはいないところにお連れできれば、
その心配からまず免れる。
けれどここで問題がひとつ生まれます。
できたばかりのお店にお客様をワザワザつれていく理由を
どう説明すればいいのか。
その究極のステーキレストランに
お客様をご案内したときも、
先方のスケジュール調整を差配している秘書の方から、
「そのお店は当社の役員をお連れするのに
ふさわしい場所なのかどうか、心配なのですけれど、
大丈夫ですか?」と質問が来た。
自分一人で。
あるいは仲間内で出来たばかりのお店に行くのは
ワクワクするようなたのしいイベント。
そのお店が期待以上であろうが、
話題ばかりの失望モノであろうが
結局、たのしい思い出になるモノです。
ところが、そこにお客様をお連れするというコトになると、
それはハラハラ。
もてなす側も、もてなされる側も
ちょっとハラハラしてしまう。
できたばかりで本当に、
おもてなしをするのにふさわしいお店かどうかわかるのか?
と、そう聞かれたときに、説得力のある理由。
そこを選んだワケを用意できなきゃよろしくはない。
今回の接待において、出来たばかりのお店でありつつ、
そこがご接待にふさわしい場所であると思った、
あるいは思われた、理由はふたつありました。
ひとつは、老舗料亭がはじめたあたらしいお店だから。
有名な店が作ったばかりの新しい店‥‥、
そこにはおそらく好奇心にあふれた人たちが
物見遊山のような気持ちで押しかける。
接待の場にはいささか不都合。
「知る人ぞ知る名店の新しい店」という謳い文句。
納得できる言い訳でしょう。
それに、頼り甲斐のある紹介者がいてくれたから。
おいしいお店のことに精通した、
この道のプロのような人に勧められたのです‥‥、と。
そういえば、大抵の人はそれならいいかと納得をする。
だからそのときの接待は、
その入口の段階でほぼ完璧なる成功を
約束されていたのであります。
ならばどこが失敗だったのか。
来週、お話いたします。
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