まず、噂というモノの実体を考えてみましょうか。
ボクたちは「噂の中で生きている」。
例えば「どんなお店に行こうかなぁ」と悩むようなとき。
何気なくインターネットで検索をする。
「青山・イタリア料理・ワイン」
とかって気になるキーワードをパパッと入力。
すると、それに見合ったお店の情報が
ズラッとリストアップされる。
まさか、あんな小さなお店の情報は
さすがに見つからないだろう、と思って検索してみると、
あっけないほど簡単にみつかりビックリ!
なんてコトもある。
便利な時代。
けれどその情報のほとんどが
「誰かが発信した、お店に対する噂」だというのに、
ため息がでるような思いもします。
「誰か」というのは
「どこの誰かはわからない匿名の人」という意味ですネ。
「噂」というのは「何気ないひとこと」という意味。
つまり、ボクたちは「どこの誰だかわからない人の
何気ない無責任なひとこと」をたよりに、
お店を選んだり、評価したりしてしまうコトがある。
それが今という時代だったりするのです。
中には、噂だけで出来上がっている
サイトなんていうものもある。
ただの噂に信憑性を与えるために、
「点数」なんていう
一見、客観性をもった要素をふりかけて、
あたかもそれがみんなの総意のようにふるまう。
お店の人たちが一方的に発するメッセージや情報じゃない。
自分と同じ立場のように思える利用者の、
生々しいの声が聞けるからと、
公式のホームページの情報や
評論家とか雑誌とかのレビューよりも、
噂を信用する人たちが増えてもいます。
広告や宣伝に失望することが
あまりに多いからかもしれない。
そこには、良い噂もある。
けれど当然、お店にとって都合の悪い噂もあります。
もともと飲食店は人気商売。
しかも、実際に利用してもらってはじめて
人気を獲得できるチャンスを
手に入れるコトができる商売で、
そのため「人に知ってもらうコト」に腐心します。
お店の存在を知ってもらうために、
いくつかの方法があります。
宣伝をする。
宣伝をしなくていいように目立つ場所にお店を作る。
どちらも、それなりにコストがかかってしまう、
そのコストがお客様へのお勘定書きに
反映されてしまうコトを嫌う心ある飲食店の人たちは、
「口コミ」でひとりでも多くの人に
お店のよい評判を伝えてもらおうと努力をします。
口コミ。
それも噂のひとつです。
当然、ウレシイ口コミもあれば、
誹謗中傷のような心ない口コミもある。
飲食店で働く。
あるいは、飲食店を経営するということは、
心ない噂に一喜一憂せぬように、
いつも気持ちを明るくもって、がんばるコト。
そして悪い噂より、
いい噂の方がちょっとだけでも多くなるよう、
毎日、毎日、同じことを真面目に繰り返すというコト。
それは昔からずっと変わらぬことでもあります。
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