注文をとるぐらい誰にでもできる‥‥、と思う。
誰にでもできることをわざわざやるのは面倒くさい。
合理的に注文をとることができれば、
少ない人数で店を回すことができる。
利益が出るに違いない。
あるいは、利益を今のままで我慢すれば、
安くできるに違いない。
つまり「注文をとる」ことは節約できるサービス。
そう考えるお店の究極の工夫が「券売機」。
便利なシステムです。
注文を勝手にとってくれるうえに、
代金まで回収してくれる。
お店に入ったときにはすでに注文が決まっているから、
注文場所の前やテーブルで悩まれることがない。
実はこの「メニューが決まらないで悩む」時間は、
回転率を上げることで
売上を増やさなくちゃいけない店にとっては
致命的な迷惑行為。
だからまず食券を買ってネ‥‥、
そこからサービスをはじめますから、
って券売機システムはとても便利なシステムなのです。
メニューブックを作る必要もないからコストも削減できる。
しかも当然、人手もかからないから
少人数でやらなきゃいけないお店には
必須のシステムと言っても過言じゃない。
ところが、この券売機。
置いた途端に売り上げがさがっちゃった‥‥、
っていう店も少なからずあるんですネ。
それは地方都市や郊外で人気のお店が多かったりする。
そういうお店は、若い人からお年寄りまで
幅広い層のお客様に利用されないと
繁盛することがむつかしい。
そういうお店が券売機を導入すると、
お年寄りのお客様が戸惑って
「わたしたちの店じゃなくなったのね」
と思って気持ちがはなれる。
そして売上が下がってしまう、
ということがよく起こるのです。
だってボクだって券売機は苦手だもの。
券売機の前に立つと、
早押しクイズに出ているみたいな気持ちになる。
食べたいものが決まっているのに、
その商品に対応するボタンがどこにあるのかわからず、
イライラしてくる。
後ろに次の人がたって待っていたりしたら焦ってしまって、
食べたくもなかったもののボタンを押してしまったりする。
だから初めて行った店が券売機スタイルの店だと、
ちょっと工夫することに最近しました。
券売機の前に立って
スマホでパシャッと写真を撮るのです。
写真を撮ったら一旦、そこを離れてお店の外に出、
撮ったばかりの画像を見る。
最近のスマホのカメラは優秀です。
指でつまんで広げると拡大されて、
どういう商品がどういうふうに並んでいるのが一目瞭然。
自分の食べたい料理を決めると、
そのボタンがどこにあるのかも確認し、
そこで改めて券売機の前に立って食券を買うようにする。
焦ることもなく、
自分の気持に素直に注文ができるのって
なんてステキ、と悦に入ります。
とはいえ券売機の前に誰かが並んでいると
待たなきゃいけない。
お店の中に入ってまた外に出るという、
お店の人から見れば挙動不審なおっさんだと
思われるのもなんとも面倒。
できれば券売機の写真やイラストを
お店の前に貼り出してくれたら本当に便利なのに‥‥、
ってずっと思っていたら先日、
とある人気で繁盛している立ち食い蕎麦のお店の前に、
「店内の券売機と同じ配列で商品名を並べています」
と但し書き付きの大きなメニューボードが立ってて、
なんてステキなサービスなんだろうと感心をした。
では、テーブルの上に置かれた
注文をするためのタブレット端末を
どう評価するのかとなると、
もうこれは人手不足の苦肉の策でしかなくて、
それを置いてるお店で
気持ちがよくていい店ってあったかなぁ‥‥、
と一生懸命思い出そうとするのだけれど、思い浮かばず。
仕事でよく「タブレットメニューの
上手な作り方を教えて下さい」という
相談を受けることがある。
けれど、どんなに上手に設計されたタブレットメニューも、
紙のメニューとお店の人の上手なお勧め、
メニューどりにはどうにも絶対かなわない。
なんだか愚痴っぽくなってきちゃいます。
また来週。