モデルのKanocoさんとほぼ日がコラボ。
あたらしいブランドを立ち上げます。
「Cacco」という名前は、
Kanocoさんがこどものころに
ご家族や友人から呼ばれていた愛称のこと。
Kanocoさんが好きなもの、好きなこと、
記憶のなかの宝物を、
少しずつていねいにかたちにしていきます。
第1弾は、Kanocoさんが大好きな
黒いリネンのワンピース、
ボーダーシャツ、
そしてガラスのイヤリング。
生活のたのしみ展で先行発売し、
ほぼ日ストアでは6月に販売予定の
これらのアイテムについて、
Kanocoさんにお話をうかがいました。
Cacco
Kanoco × Hobonichi
Cacco [ kʌ'ko ]
- ――
- ほぼ日のあたらしいコンテンツとして、
Kanocoさんのブランドがスタートしました。
「Cacco(カッコ)」といいます。
Kanocoさんが子どもの頃に呼ばれていた、
その名前をブランド名にしたんですね。
いいネーミングですよね。
- Kanoco
- でもまだ、聞きなれなくて(笑)。
- ――
- 「Cacco」で最初に発表するものは、
ブラックリネンドレスと
ラッセル編みのボーダー。
そして、HARIOランプワークファクトリーの
ガラスのイヤリングです。
そもそも、Kanocoさんの好きなもの、なんですか?
っていうお話から始まったんですよね。
- Kanoco
- 私、好きなものが増えてきたんです。
昔、といっても10年ぐらい前ですが、
友達や、新しく知り合った人なんかに
「なにが好き?」って聞かれることありますよね。
そのときに答えられなかったんですよ。
気軽な質問なのになんにも言えなかったことが、
すごく情けないなと思って。
それがいまだに、ずっと残ってるんです。
自分のことがわからなかったんですね、きっと。
でも、お仕事をしていくうちに、
自分の好きなものが明確になっていったみたいで。
- ――
- それは、自然に?
- Kanoco
- そうですね。
ヘアメイクさんに自分自身もすてきにしてもらえて、
すてきなものに触れる機会も多くて、その中で
「あ、これ好き」って、フィットするものがあった。
ストン、ってなじむようなものですね。
- ――
- モデルさんっていうお仕事は、
ふつうの人よりもたくさんの服を着るし、
いろいろなものを見ることが圧倒的に多いですよね。
- Kanoco
- そうですね。
自分では選ばないようなものもたくさん着ますし。
それが、「あら、これ意外といい」とか、
「知らなかった」とかいうことも多いです。
派手なギャルが、黒を好きになって。
- ――
- ブラックリネンドレスは、
とてもKanocoさんらしいイメージがありますけれど、
黒はずっと好きだったんですか。
- Kanoco
- もとはめちゃくちゃ派手だったんです。私。
今は、黒、多いですね。
きょうも黒のワンピース。
黒を好きになったのは、専門学校のときかな。
そのころ私、ギャルだったんですよ(笑)。
たぶん若さゆえ、派手なものがかわいい、しか
わからなかったんだと思います。
着飾りたい、おしゃれしたいは
イコール派手にする、みたいな感じ(笑)。
- ――
- へぇー。
- Kanoco
- 同じ学校に、毎日黒い服を着てる子がいたんです。
その子がとても、すてきに見えたんですよね。
で、なんか気が合ったのか、すごく仲良くなっていって。
一緒に古着屋さんに行って、黒い服を探したりとか。
どんどん「黒って、なんか好きだな」って思い始めて。
そこがはじまりではありますね。
自分の知らなかった世界っていうか。
その子とは、いまだに仲がいいんです。
- ――
- 専門学校っていうことは10代ですよね。
- Kanoco
- 10代ですね。
そこから黒が好きになり、黒いワンピースへと。
- ――
- そのとき、住んでいたのは?
- Kanoco
- 神戸です。
兄と住んでて、兄が古着がすごく好きだったので
古着屋さんに連れて行ってもらったりして。
初めて古着屋さんに行って、
扉を開けた瞬間の「何、この場所」みたいな、
あの感覚がほんとに忘れられないですね。
たぶんそういうの、好きだったのかな。
そのとき、初めて買った黒い革のバッグを
いまだに大事にしてるんです。
みんながおしゃれに着られる、工夫がいろいろ。
- ――
- 冬に着るリネンが好きっていう話も出ましたよね。
- Kanoco
- 麻って涼しいものだと思っていたので、
だから寒い、っていう印象があったんですけど。
じつは、あったかいんだ、って知って。
- ――
- リネンって繊維に空洞があって、
そこに暖かい空気がたまるんですよね。
だから保温性があるんだそうです。
夏は湿気を吸ってサラッとして、秋冬は体の熱を逃さない。
断熱剤みたいですよね。
- Kanoco
- それを知って、「新しいもの、見つけた!」
みたいな感覚でした。
私自身、暑がりっていうのもあって、
風通しはよく、あったかいものが欲しかったんです。
- ――
- ふだんも、冬でもリネンを着てますか?
- Kanoco
- 着てますね。はい。
ワンピースでもブラウスでも。中にタートル着て。
このワンピースも、一年中着てもらえたらいいな。
- ――
- ちょっと厚めのリネン生地でワンピースがつくれたら、
っていうお話から、これができました。
工夫したポイントを教えてください。
- Kanoco
- うーん。ポイント。
ぜんぶいいんですけどねー(笑)。
- ――
- そうですよねー。
じゃあ、上のほうから見ていきましょうか。
- Kanoco
- 襟は、最初はちょっと深めのVを考えたんです。
でもちょっとセクシーすぎるな、って(笑)。
だけど丸いクルーネックじゃなくて、
V感は残したかったんです。
- ――
- クルーネックに切り込みが入ったようなかたちで、
ここの角を残したことがポイントですね。
しかもその角は、丸みがある。
鎖骨に沿うようなかたちで、きれいですよね。
後ろの襟ぐりのラインも何度か検証して、
襟足がきれいに見えるようにしたんですよね。
- Kanoco
- そうですね。絶妙なんですよ。
この襟だと、中に合わせるものでカジュアルになったり。
ネックレスをしてもきれいに見えるかな、って思ったり。
- ――
- なるほど、なるほど。どちらもかなう襟あき。
襟元だけでも印象が変えられる。
ウエストのところに、共布のひもが通っていて、
シルエットが変えられる。
これも大きなポイントですよね。
いろいろな表情で着られるっていうのが、
Kanocoさんの狙い。
- Kanoco
- そうですね。カジュアルにも着たいですし。
きちんとした革靴とバッグを合わせれば、
ドレッシーな感じで。大人っぽく。
ひもを結ばずに垂らして着るのも好きですね。
ブラックって、カジュアルもドレッシーも、
どっちでもいけるかなっていうのがあって。
- ――
- 袖口がカフス仕立てになっていて、
キリッとしてるのもいいですよね。
ポケットも、ちゃんとついてますし。
- Kanoco
- ポケットは、大事です。
- ――
- 身幅がたっぷりなのに、
なぜか細身に見えるんですよね。
ストレートに落ちるラインで、
適度な重さの布のせいもありそうです。
スリットが入って歩きやすいですね。
大股でも歩けるという。
- Kanoco
- 私、すっごい大股で、早歩きなんです(笑)。
だから足さばきが大事で。
試作中は事務所の中、いっぱい歩きました。
- ――
- じつは着丈も2種類あるんですよね。
- Kanoco
- そうなんです(笑)。
まず長い丈で作ってもらって。
- ――
- Kanocoさん用に(笑)。
でもほんとに、着丈で苦労してるのは
小柄な人だけじゃないんですよね。
背の高いかたたちに、このワンピースは朗報です。
着丈で10センチ、差がありますから。
- Kanoco
- ロングワンピースとして、
おしゃれに着ていただけると思います。
すごくかわいいのができて、うれしいです。
(つづきます)