いいもので、いい時間をつくるシリーズ① 佐伯 敦子 × HIKE ソファみたいなスリッパ
「ソファみたいなスリッパ」ができるまで。「ソファみたいなスリッパ」ができるまで。
いいソファがそうであるように、
使っていて気分がよく、じょうぶで長持ちして、
部屋の一部として永くつき合っていける。
これまでありそうでなかったこのスリッパは
どんなふうにつくられたのでしょう。
企画したスタイリストの佐伯敦子さんと
「HIKE(ハイク)」の須摩さん、
そして実際につくってくださった
東京産業株式会社の丹羽さんに、
製作にまつわるエピソードを話していただきました。
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Ⅲ.理想の「まっとうな
スリッパ」ができました。

佐伯
なんだかんだで、
これ、1年くらいやってましたよね。
ーー
すごいです。
1年かかって完成。
丹羽
最初にお電話いただいてから、
1年以上経ちましたね。
最初、ぼくはこういうふうになるとは思わなくて。
いろんな人の視点が入ることによって
違う切り口がこんなに見えてくるんだな、
と勉強になりました。
佐伯
思った以上に、いい感じにできたし、
とくに横からのフォルムがきれいです。
丹羽さんに苦労していただいて。
丹羽
何度も微調整しましたね。
須摩
イメージどおりに進まないときは、
「丹羽さん、型紙送ってください。
私が好きな形に切りますから」なんて言って(笑)。
それで送ってもらったら、
「あれ? これどうやって切っていいの?」って。
丹羽
で、結局来ていただいて、
その場で測って、一緒に切って。
「えーと、17.5センチだから
5ミリ短くしましょう」
とか言って、やりましたからね。
須摩
タグの位置も、
「5ミリ手前にずらしてください」とか。
私たち、細かい。
ーー
(笑)
丹羽
タグは、はじめはなかったんです。
うちのブランドの
「七匠」がたまたま右側につけてるので
そこをお見せしたら、
つけましょうということになって。
あった方が絶対に、きれいですから。
佐伯
丹羽さんには、
そういうことに全部おつきあいいただいて。
ーー
おもしろいです。
スリッパ一筋の技術と、
おふたりの思い描いていたものが融合していく感じが。
佐伯
生地もいろんなものを試しました。
生地そのものを見ているときと、
スリッパになったときの表情が、ちょっと違う。
「あ、こういうふうになるんだ」というような。
丹羽
全く違いますね。
須摩
大きい家具に生地を貼るのは、
私も慣れているのでイメージがわくんですけど、
こういうちっちゃいものに
椅子張りの生地を使うというのは初めてだったので、
貼ってみたら
「すごいいい生地だったのに、スリッパになると変」
みたいなこともありました。
ーー
面積が小さいから、
見方も変わるんでしょうか。
丹羽
表面積が小さいんで、
大きいもので見てスリッパが合うと思ったら
全然ダメだったりとか、それは往々にしてありますね。
佐伯
あとは色ですよね。
イエローもかわいくないですか?
そんな真っ黄色じゃないもんね。
須摩
柔らかい色。
コットンとリネンの入ってる生地なので、
1回織ってから、ウォッシャブル加工っていって、
ちょっと表情が出るような加工をわざとしているので、
一足一色、それぞれ表情が違ってくると思います。
ーー
こうやって完成したものを見ると、
なんていうんでしょう、
落ち着きがあるから、
昔からあったみたいにも感じるぐらいなんですけど。
こういうインテリアファブリックを
使ったスリッパ自体は、
そもそもあったものなんですか?
須摩
あると思います。
でももう少し簡易的で、
大量生産のつくり方をしているかなと。
こういうクラシックなつくり方じゃないと思います。
ーー
そのあたりを1年かけて
真面目につくった、というのも、
特徴かもしれないですね。
須摩
一見、特徴がわかりづらいかもしれない(笑)。
佐伯
意外とこういうものは
普通でいいんですよね。
ーー
なんか靴みたいにも見えます。
形がしっかりしていて。
丹羽
あ、そうです。
通常はぼく、スリッパには
型くずれ防止のボール紙って入れないんですけど、
今回のは全部に入れてます。
それも、この甲が長いというのが理由で、
最終的にお客さまがはくまで、
しっかり形が残っていなくちゃいけないので。
たとえ何百足とつくっても、
買っていただく人は1足なので、
その1足が誰かに行っちゃったら、と思うと‥‥。
だから、しっかり入れてます。
ーー
使い込んでいったあとも、
ある程度はこの形が保たれるんでしょうか。
丹羽
そうですね。もしくは自分の足に馴染みます。
そしてフローリングでずっとはいていると
底のフェルトがテカテカになってきます。
そうするとそれが逆に強度を増すといいますか、
長くはいていただけるうちに、
繊維も締まってくるので、
そうするともっと長持ちします。
ただ、お客さんによっては、洗濯機にポンと入れて
洗っちゃう方もいらっしゃるんですが、
これは底がフェルトなんで、絶対洗えないです。
はがれてしまう可能性があるので。
ーー
あ、そうなんですね。
「洗ってはいけない」。
丹羽
水分に触れるのはだめです。
そこだけは気をつけてくださいね。
佐伯
こういうおしゃれなスリッパができたよ、
ということになったら、
もうちょっとスリッパというもの自体に
着目する人が増えるといいな。
私、普通のスリッパが
好きなんでしょうね、たぶん。
ーー
そんなにお好きなんですね(笑)。
佐伯
延々スリッパ探してきましたから。
日本のスリッパ事情みたいのを、
ずっと見てきましたから(笑)。
ーー
丹羽さん、こんなに
何度も試行錯誤されたのは初めてですか?
丹羽
はい。
ここまでいろいろやったのは初めてです。
佐伯
たぶんめんどくさかったと思います。
タグの位置とか、細かいことまで
私たちすごくいろいろ言いましたし。
須摩
ほんとに。ごめんなさい。
丹羽
いえいえ、
ぼくのほうも、生まれたときから
スリッパ屋にいたので
スリッパってこういうものだ、という
固定観念を持ちすぎていたかもな、って。
須摩
最初にお話したとき、
「え?」という感じでしたよね(笑)。
丹羽
そんな形だと、
はきづらいんじゃないかなとか思ってしまって。
それはいけなかったです。
本当にうまくできたんで、満足です。
須摩
じゃあ丹羽さんから見ても
これはお墨付きでしょうか?
丹羽
はい。本当に、理想の形の
スリッパができたと思っています。
佐伯
まっとうなスリッパができた気がします。
ーー
みなさまに届けるのがたのしみですね。
今日はどうも、ありがとうございました!

2020-04-08-WED

販売インフォメーション

販売開始
2020年4月10日(金)午前11時
販売方法
数量限定販売
お届け時期
お申し込みから
3営業日以内に出荷(発送)