ミュウゼ | 私ね、こう見えて 結構デッサンしてるんですよ。 |
糸井 | 手帳にいっぱい デッサンしてるんだね。 あ、これはごまちゃんだ。 |
ミュウゼ | そうです、ごまちゃんです。 一生懸命に描きました。 |
祖父江 | わあ、少女漫画のような犬ですねぇ。 |
糸井 | こういう犬がほんとうにいるんですよ。 |
祖父江 | へぇぇえ。 |
糸井 | ほら、ごらんください。 これがごまちゃんです。 |
祖父江 | ごまちゃん! |
糸井 | 顔が人間ぽいでしょ。 |
南 | うん。 |
糸井 | こういう顔した犬なんですよ。 |
ミュウゼ | すごくかわいいの。 目の光が異様に多くて。 |
祖父江 | なんだか成績よさそうですね、この子。 耳がぬいぐるみのくまみたい。 |
糸井 | 歩くぬいぐるみです。 |
祖父江 | うん。どう見ても ぬいぐるみにしか見えない。 |
南 | ほんとにいるの、それ? |
ミュウゼ | いるの。生きてるの。生きものよ。 |
祖父江 | 生きてるようにポージングさせたんじゃなくて? |
ミュウゼ | ウケを狙ってとか、 そういうことではないのよ。 |
糸井 | こんな顔してんだよ。 |
祖父江 | でもこれ、ぬいぐるみの顔だよね? そか、ぬいぐるみに進化しちゃったんだ。 |
ミュウゼ | ああ、そうね! |
糸井 | じつは、ごまちゃんは12歳なんですよ。 |
祖父江 | 見えない。意外と若作り‥‥。 人だとしても幼稚園に通ってる感じがするね。 |
糸井 | でしょ。 |
ミュウゼ | いやだ、幼稚園に行ってもらいたい。 |
南 | これ見ると、なるほど。 デッサンはよく描けてるなあ。 |
糸井 | ミュウゼは、ごまちゃんには お会いしてないんだけどね。 |
ミュウゼ | ええ。お会いしてないんです。 |
南 | ネットの、こういうのを見て描くの? |
ミュウゼ | はい。 面識がないのに描くことによって 勝手に動物とお友だちになることはあります。 |
南 | 動物の似顔絵‥‥。 犬のモデルがいるというのがおもしろい。 |
糸井 | そうなんだよ。 |
ミュウゼ | たいがい、実在しています。 |
糸井 | さっきの、はしびろこうもいるんですか? |
ミュウゼ | はしびろこうも、 上野動物園でパンフレットを買ってきて 描きました。 猫の「ぶりた・ん」 というブログがあるんですけど、 その「ぶりた・ん」の似顔絵を勝手に描いて トップページのテンプレートに お使いくださいねって、送ってます。 しかも季節が変わると そろそろ夏バージョンに変えてくださいねって また送ったり(笑)。 |
南 | ぶりた・ん? |
ミュウゼ | その子は、猫の某ウェブサイトのコンテストで 1位にのぼりつめた子です。 どんどん人気が上がって ずいぶん描かせていただきました。 ミミズクのような猫なんですよ。 |
糸井 | ゾウは関係ないですよね? |
ミュウゼ | え? |
糸井 | このゾウは知り合いじゃないですよね? |
ミュウゼ | ああ、それはね、 知ってる人がゾウの詩を書いてたの。 『ピンクのゾウ』っていう題なんだけど、 それを読んでボロボロ泣けちゃって ゾウを描きはじめました。 |
糸井 | 必ずきっかけがあるんですね。 |
祖父江 | あの‥‥前にお話ししたときに。 |
ミュウゼ | はい。 |
祖父江 | 人間を描けないって おっしゃってましたね。 |
ミュウゼ | はい、以前は人間を ものすごく描いていましたが 描けなくなりました。 これは自分の描き方の特徴だと思うんですが、 描かれた人間が心を持ってくるような気がして。 |
南 | うん、うん。 |
ミュウゼ | 夜中に絵を描いたりするじゃないですか。 できあがった絵を床に落としてくと、 その顔が下から私を見てるんです。 |
糸井 | うん、うん。 |
ミュウゼ | 怖くなっちゃうんですよ。 それはうまくなったということなのかも しれないけど。 |
糸井 | うん。うまいからです。 |
南 | そうだね。 |
祖父江 | その人たちは、何を言ってくるんですか? |
ミュウゼ | あなたはなんとかかんとか、 って言うんですよ。 |
糸井 | 言うんですか! |
ミュウゼ | 言うんです。 あなたは何者なの、 私なんか描いちゃって、 あなたはそういうふうなこと 言えるような立場じゃないでしょ、 あなたの人生は何なのよ。 そういうことを言うんですよ。 |
南 | ふむ。それはややこしいね。 |
糸井 | ややこしい。 |
ミュウゼ | 褒めるんじゃなくて蔑みの言葉ですね。 私が描いてあげたのに、ですよ。 |
(つづきます。このまま、つづきますよーっっ!) |
2011-07-08-FRI |