(少し遅れて入室し‥‥) ‥‥いま、なんか、 おもしろそうな話、してましたね? |
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ああ、はい(笑) 「白い任天堂」と「黒い任天堂」の話を。 |
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ぜひ、その続きを。 | |
そんな大げさな話じゃないんですけど(笑)。 あ、その話をするまえに、ご紹介を。 今回の『とびだせ どうぶつの森』の ディレクターを務めたふたりです。 |
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毛呂(もろ)です。 よろしくお願いします。 |
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京極(きょうごく)です。 よろしくお願いします。 |
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よろしくお願いします。 ふたりとも、お若いですね。 チームが若返ったんですか? |
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前のプロデューサーの江口と、 ディレクターの野上は、 Wii Uの仕事をメインにやっていたので、 重大な方向性を決めるときとか、 客観的なアドバイスが必要なときとかに 相談役として入ってもらって、 基本的なディレクションは 彼らに任されたんです。 |
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これまでの『どうぶつの森』シリーズには かかわってらっしゃったんですか? |
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はい。私は、一番最初に関わったのは、 ゲームキューブの『どうぶつの森e+』のときで、 その後、DSの『おいでよ どうぶつの森』、 Wiiの『街へいこうよ どうぶつの森』もやりました。 |
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わたしはWii版がはじめてで、 今回が2作目になります。 |
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京極さんは、『ゼルダ』シリーズの シナリオなども書いてました。 |
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ああ、そうでしたか。 で‥‥「黒い任天堂」って? |
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一同 | (笑) |
あの‥‥なんというか、べつに、 ちゃんと定義されてるわけじゃないんですけど、 任天堂には「白い」成分と「黒い」成分が あるんじゃないかっていう話があって。 「白い任天堂」っていうのは、 明るくて楽しい、家族でたのしめる任天堂。 「黒い任天堂」っていうのは、 パッと見はかわいいんだけど、 商品を深く味わっていくと 意外とえげつない要素があるようなもの。 |
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ああ(笑)。 | |
たとえば、『ピクミン』というソフト。 キャラクターはかわいいけど、 ゲームのなかでは、不思議な生き物に ピクミンたちがわらわら食べられたりして、 けっこう残酷なことが起こっている。 |
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「黒い」ねぇ。 | |
どちらかというと(笑)。 『マリオ』シリーズは全体に「白い」ですよね。 で、『どうぶつの森』は見た目は「白い任天堂」に もっとも当てはまりそうなタイプなんですけど、 個々の要素をひとつひとつ見ていくと、 けっこう「黒い」部分があるんですよね。 家具や洋服とか、どうぶつたちの個性とか。 |
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ああー、いい話ですねぇ。 | |
それは、つくってる人たちがおもしろがって あえてそういうふうにしているところもあります。 入口はかわいらしい世界観なんだけど、 入っていくと、けっこう黒いところがある。 そのギャップも『どうぶつの森』の魅力になっています。 |
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いや、そのとおりですよ。 だって、ぼくはその「黒い」ところに 思い切り反応したんですから。 |
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ああ、まさにそうでしたね(笑)。 Wiiのときの『どうぶつの森』で ものすごい部屋をつくってましたものね。 |
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「恐怖の館」と言われてました。 | |
一同 | (笑) |
部屋に、タコとか人形とか 病院のベッドとか貝殻とか、 おかしなものをわざと乱雑に置いたりして。 で、本人はウェディングドレスを着て、 赤ちゃんのおしゃぶりをくわえて、 人が訪ねてきたときに 無言でオノを振り回すという‥‥。 |
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一同 | (笑) |
そしたら、ほんとに怖がられまして。 してやったりだったんですけど、 あんまり友だちがいなくなるのも困るので あとで謝りに行ったりして。 |
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ははははは。 | |
いやぁ、たのしかったぁーー。 あれはまさしく、 『どうぶつの森』の「黒い」ところがなければ 成り立たなかったんですよ。 |
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『どうぶつの森』って、やればやるほど、 「かわいいだけのゲームじゃない」 っていうことがわかるんですよね。 |
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そうですね。 とってもよくできてるなと思うのが、 このゲームの「色づかい」なんですけど、 ポップでカラフルなようでいて、 じつは「悪いこと」を表しやすい色なんですよね。 だから、ぼくが、不気味につくっていったときに、 どんどん、「よく」なるんですよ。 |
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たんに不気味になるだけじゃなく。 | |
「いい不気味」になるんです。 鮮烈な赤だったり、生き生きした緑だったり、 そういう色がすごく使いやすかったんですよ。 なんていうのかな、 平凡じゃないホラーがつくれるんです。 「たのしそうに見える」っていうホラー。 「メルヘン」にしかならない色使いだったら、 ぼくはあの世界をつくれないんですよ。 |
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ああ、なるほど。 | |
その、「全体の色設計」って ものすごく大事じゃないですか。 ジブリの映画にしても 映画全体にどの色をつかうかっていうのは 最初にきちんと計画しておくんですよね。 そういうのってゲームにもありますよね? |
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はい。 | |
だから、色の設計のときすでに、 「黒い成分」が入ってるんじゃないかと。 |
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うーん、いきなり核心に迫るような話ですね(笑)。 そのあたりはどうなんですか。 |
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そうですね。 色設計は決して「黒い」部分を出そうとして 決めたわけではないんです。 ただ、パッと見がかわいらしい世界なんで、 「かわいいかわいい」ばっかりにならないように というのは意識してます。 |
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色づかいに限らず、 ただの「かわいい」で終わらせないために どうすればいいのかというのは、 すごく意識してつくられてますね。 |
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はい。たぶん、そういうところが、 人間の根っこにある「黒い」部分に 反応したのではないかなという気がします。 それは、たんにホラーシリーズみたいな アイテムがあるということではなくて。 |
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そうなんです、 怖ろしい演出のアイテムだけが いくらあってもダメなんですよ。 それよりも、ウェディングドレスとか、 赤ちゃん用のグッズとか、 純粋無垢に思えるようなものを 悪い人が着たときのすごみ、 みたいなものを表現できることが、 すごく、なんていうか‥‥快感だった。 |
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一同 | (笑) |
やっぱり、ゲームを遊ぶ人が、 さまざまな形で自己表現ができるのが、 この『どうぶつの森』というゲームの 特徴なのかなと思います。 |
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いや、ほんとにそうですね。 |