‥‥というニュースを
もう、すぐに詳しくお知らせしたいのですが、
ちょっと呼吸をととのえて、
まずは、この『はたらきたい。』という本のことを
あらためて紹介させてください。
(この本のことをよく知らないという読者も、
いらっしゃいますものね?)
『はたらきたい。』とは
2008年3月に発売された「就職論の本」です。
「ほぼ日の就職論」という連載を書籍化しました。
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写真家・石川直樹さんが
南米・パタゴニアの洞窟で撮影した壁画
「ネガティブハンド」の写真を
全面に使わせていただきました。 |
就職についての本ですから、
当然、就職の専門家が出てきます。
民間の人事のエキスパート(河野晴樹さん)や
キャリア論の第一人者(神戸大学・金井壽宏先生)など
「就職」や「仕事」のプロフェッショナルに
(あえて、この言葉を使うとすれば)
いまの「就職」にとって
本当に必要な「傾向と対策」をおうかがいしました。
学生と企業の双方をつなぐ立場から「就職」について話す金井先生。
その一方で、この本には
お笑い芸人(板尾創路さん)や漫画家(しりあがり寿さん)、
ミュージシャン(ピエール瀧さん)、
イラストレーター(みうらじゅんさん)‥‥、
さらには「矢沢永吉」なんて人まで登場してきます。
矢沢永吉さんが「はたらく」を語った対談『上がりたかったんだ。』より
撮影:富永よしえ(Mild.Inc)
え、永ちゃんの就職論!?
‥‥と思われるかたも、いらっしゃるかもしれません。
でも、れっきとした(?)「就職の実用書」として
多くの人に読んでもらうことができました。
このように、他では決して見ることのできない
個性豊かな「就職論」の合間には、
約10年(当時)におよぶ
膨大な「ほぼ日」アーカイブのなかから、
100個の「『はたらく』についてのことば」
を選り抜き、
ちりばめるようにして、掲載しました。
任天堂社長の岩田聡さん、岡本太郎さん、タモリさん、谷川俊太郎さん、
マクドナルド社長の原田泳幸さん、萩本欽一さん、吉本隆明さん‥‥。
こんな人たちの、覚えておきたい「ことば」を100、掲載しています。
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そもそもは「就職活動している学生」のかたを
読者として想定していましたが、
すでにはたらいている社会人のかたからも
多くの反響をいただきました。
2009年11月には「第3刷」を完売しています。
(この本の「内容」や「書籍化の経緯」など
もっと詳しいことは、こちらのページをごらんください)
ざっと、以上のような構成の『はたらきたい。』ですが、
第3刷を完売したところで、少し立ち止まって、考えました。
というのも、2年前、この本ができたときとは
社会のようすが、ちょっと変わってきていたからです。
報道されているような「経済状況の悪化」をふくめ、
2008年とは違う、新しい時代になってきている。
そのまま「第4刷」をつくることもできたのですが、
そうせず、少し手間と時間をかけて、
新しい時代にふさわしい、
新たな『はたらきたい。』をつくりたいと思いました。
そのほうが、この本に合っている気がしたのです。
こうして「新装版」プロジェクトが、動き出しました。
新装版にあたり、まずは内容を増やしました。
この2年の間に「ほぼ日」に掲載された「ことば」を
新たに「28」選り抜き、採録しました。
プロ野球選手の田口壮さん。
脚本家の三谷幸喜さん。
実演販売人のマーフィー岡田さん。
俳優の本木雅弘さん。
ハードボイルド作家の大沢在昌さん。
黒柳徹子さん。
そしてふたたび、吉本隆明さん‥‥。
増えたのは「28のヒント」と言っていいかもしれません。
ページ数にすると、旧版より40ページ多くなっています。
旧版と異なり「対話形式」のまま、掲載したことばもあります。
なお、旧版で「白」だった本文用紙はクリーム色に変えました。
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そしてもうひとつ、とても大きな変更点があります。
カバー写真を、新しくしたのです。このように。
見た目がまったく変わりました。グリーンです。
写っているのは、カナダのクイーン・シャーロット島の森に
長く生き続けている「巨木」の姿。
旧版と同じく、石川直樹さん撮影による写真です。
太い幹、大地にどっしりと張った根。みずみずしい生命力。
スパッと説明できるような理由はないのですが、
この名もなき巨木の写真は、
新しい『はたらきたい。』のイメージに、
ともかくピッタリだと思って、お願いしました。
なお、増やしたページのなかにもう一枚、
石川直樹さんの写真を、使わせていただいています。
それは、同じクイーン・シャーロット島に住むハイダ族の
「トーテムポール」の写真。
それも、朽ち果て、どこからか飛んできた種子が花を咲かせ
いまにも森へ還ろうとしている、とても印象的な姿です。
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彼らハイダ族は、
トーテムポールを「大切なもの」として考えていますが、
無理に「保存」しようとはせず、
あくまで「自然のサイクルの一部」としてとらえました。
そのため、長期間、風雨にさらされたトーテムポールは、
このような姿となり、森へと還ってゆくのだそうです。
そして、これらのトーテムポールは、
カバーの「森の巨木」から、つくられたということです。
イメージを一新し、ページ数も増やしましたが、
本の「幹」の部分、
つまり旧版から引き継いでいる内容そのものには
まったく手を加えませんでした。
それは、この『はたらきたい。』という本が、
時代がどう変わろうとも古びない、
普遍的な「はたらく論」を語っていると思ったからです。
ですから、河野晴樹さんの「面接試験の本当の対策」も、
金井壽宏先生の「夢と希望の就職論」も、
みうらじゅんさんによる
おかしくも実はためになる就職アドバイスも、そのまま。
もちろん「永ちゃんの就職論」も、そのままです。
‥‥というニュースを、お知らせしてきました。
就職活動を控えた、
もしくは「真っ最中」という学生のかただけでなく、
すでに、はたらいてる社会人のかたや
いわゆる「専業主婦」のかた、
そして「はたらく」を終えたおとうさん世代のかたにも
ぜひ、読んでいただきたいなと思います。
そういえば、最近、こんなメールが届きました。
一昨年「ほぼ日の就職論」を読みながら就職活動をして、
今日(4月1日)から入社2年目に入った者です。
就職活動しをていたとき、入社1年目のときと
「今」とでは、見えるものや感じかたが
ぜんぜん違うなぁと思って、ふと、メールをしました。
以前は「参加する側」だった採用説明会に
「説明する側」として行って、
スーツの色形なんか見ちゃいないことを知りました。
1年目に感じていた
「なんで業務時間終わってんのに仕事が続いてるんだ」
という気持ちも、
2年目になって「あぁ、若かったなぁ」と知りました。
だからなんなのかはわかりません。
でも、感慨深いなぁと思いました。
(くまこ)
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新装版の『はたらきたい。』にも
たくさんの感想をいただけたら、うれしいです。
2010年4月7日
ほぼ日刊イトイ新聞『はたらきたい。』編集プロジェクト
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