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新しい工場が決まったそうですね!
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敬子さん |
はい、やっと!(笑)
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── |
これからが大変なんだとは思いますけど、
ここへこぎつけるまでに
とても、ご苦労されていましたから‥‥。
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敬子さん |
ええ、いちばんはじめの見積りでは
新しい工場を
ゼロから建てて「3億5千万」でしたし。
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── |
すごい金額です。
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茂さん |
セキュリテ被災地応援ファンド、
たくさんのみなさんに参加していただいて
とてもありがたく、
本当に心づよく感じていました。
でも、製麺の排水をきれいにする浄水槽だけで
「4千万円」かかると言われていて‥‥。
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── |
丸光さんの工場が
もともと建っていた沿岸部の私有地は
建築制限がかかっているため
土地から探さなければならなかったと。
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敬子さん |
いくつか候補地を見つけたんですが
そこを買って、工場を建てて‥‥の見積り額が
「3億5千万」だったんです。
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茂さん |
ビックリしましたね。
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敬子さん |
ぼーぜん、みたいな。
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ですよね‥‥。
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敬子さん |
しかも、製麺機のお金は「また別」ですから。
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── |
そうか、土地と建物だけの価格で。
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茂さん |
でも、昨年(2011年)12月の終わりに
以前、牛乳工場だった建物が
空いてるって、知り合いが教えてくれたんです。
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── |
それが、先ほど見せていただいた工場ですね。
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茂さん |
もともと牛乳をつくっていたので、
衛生面の設備も万全を期すことができますし、
なにより、
あの地震に耐えた建物ですから。
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── |
大きくて、見るからに頑丈そうでした。
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敬子さん |
浄水槽も、ついてるんです!(笑)
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── |
4千万円かけて、つくらなくっても。
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茂さん |
いちど見に行かせていただいて、
ここからなら再建できる、と思ったので
「ぜひ検討させてください」と。
その後は、とんとんとーんと話が進みました。
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── |
見つけたのが「12月の終わり」ですから
ものすごいスピードですね。
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茂さん |
関係するかたがたが
とても素早く動いてくださったおかげです。
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敬子さん |
ふつうは、倍くらい時間かかると思う。
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本当に、新しく工場を立てるのにくらべたら
時間的にも費用的にも、相当‥‥。
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茂さん |
まだ、資金が足りてなかったりするのですが、
でも、やっと「道すじ」が見えてきました。
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── |
‥‥よかったです。
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茂さん |
これから工場の改装の工事をすすめて、
製麺の機械を入れて‥‥
なんとか「今年の夏」くらいにまでには
操業をはじめたいです。
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はじめて機械を動かすときとか‥‥。
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茂さん |
ドキドキもんでしょうね(笑)。
もう1年以上ブランクがありますし、
機械だって新しくなるから、
操作や勘所なんかも「ゼロ」からなんでね。
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丸光さんの麺、復活するんですね‥‥。
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敬子さん |
わたしたちも、楽しみなの(笑)。
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ともかく、これだけ何度もお会いしているのに
丸光のオリジナル麺を
食べたことがないわけですから、
どんな味なのか、妄想だけが膨らんでる状態で。
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茂さん |
まぁ、そんなに派手なものではないですけど、
これまでやってきた商品を、
もういちど、精一杯つくっていくだけです。
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あの「海鮮ふかひれ生ラーメン」とかも
食べられるわけですよね!
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茂さん |
はい、いずれは。
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ほんと、楽しみです。
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敬子さん |
これまでは、「アルバムの整理」とか、
空いた時間に
やりたいこと、いっぱいあったんです。
でも、工場のめどがつくまでは
いくらヒマでも
そういうの、やる気になれなかったの。
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茂さん |
こんなことやってる場合じゃないよな、
という気持ちが、どうしてもね。
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心の余裕って、本当に大事なんですね。
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敬子さん |
だから、麺がつくれる状況になってはじめて、
少し安心できるんじゃないかなと思います。
お得意さまも被災されてますから、
麺はつくれても
「どうやって売上を確保していくか」という
大きな問題もあるんですけれど。
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── |
でも、まずは、つくれるようになる。
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敬子さん |
はい。
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茂さん |
本当に、みなさんのおかげだと思ってます。
気仙沼のいち製麺屋を
これだけ、応援してくれるかたがいるって、
本当に、ありがたかったです。
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敬子さん |
でも、麺がつくれるようになったら、
言いわけ言ってらんないし、
そっから先、
またがんばるしかないね、父ちゃん。
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茂さん |
商品さえあれば、がんばれるから。
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── |
出資者の立場からしても(笑)、
本当に、うれしいニュースだと思います。
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茂さん |
将来の見えない不安‥‥というのは、
精神的にも、きつかった(笑)。
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どこへ向かって行けばいいのか、と。
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敬子さん |
けっきょく、会社とか工場がないと
再建しようにも
具体的な行動を起こせないんですよ。
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そのことは、少し感じていました。
昨年11月、うちのオトヤと
東京ビッグサイトの催事のお手伝いに
行きましたけど、
丸光さんのブースには
商品が、ひとつも並んでいなくて‥‥。
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敬子さん |
ええ。
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── |
人気商品だった
「海鮮ふかひれ生ラーメン」の塩味のつゆを
お鍋ひとつであたためて、
バイヤーさんにお出ししてたじゃないですか。
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茂さん |
はい。
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ですから、いまから思い返すと、
あのとき、どんな気持ちだったんだろう‥‥と。
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敬子さん |
不安と苛立ち、です。
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── |
正直、となりのブースの企業には
立派なパッケージの商品が並んでいたりして。
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茂さん |
会社の先行きが不透明だから、
商談するにも、具体的な話にならないんです。
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敬子さん |
「麺、つくれるようになったら
連絡ください」
というような状態でしたからね。
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── |
なるほど。
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敬子さん |
だから、気持ちが落ち込んだりなんてことは
しょっちゅうでしたが
「向かっていくしかない」という気持ちで、
絶対、再建するんだと思って、進んできました。
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── |
はい。
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敬子さん |
あの日も、
「わたしたち
このスープしかないんですけど!」という状況自体を
逆手にとって(笑)、
みなさんに、足を止めていただいて‥‥。
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── |
ええ、ええ。
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敬子さん |
集めた名刺の数、トップクラスだったと思う。
<つづきます> |