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ある日の日記(4)

朝7時に開場する東イングランドの骨董市へ行くため、
4時半に起床して魔法瓶に温かいお茶を入れ、
暗闇のなか車でひとりロンドンを出発した。
紅葉のすすんだ秋のロンドンは、早朝身震いするような寒さ。
私はこの「眠い、暗い、寒い」の3拍子に
毎回ちょっとめげそうになるのだが、
テムズ川にかかるタワーブリッジを通過するときだけは、
にわかに元気になる。

ライトアップされた夜明け前のタワーブリッジは
おとぎ話の城のようで、
車で走り抜けると左前方には
1000年近い歴史の中で国王の住居や監獄に使われてきた
おどろおどろしい雰囲気のロンドン塔が現れる。
対照的に、
ロンドン塔の後方にそびえたつ高層ビル「ガーキン」は、
まるで今にも星空へ飛び発ちそうな、きらびやかなロケットだ。
どれも昼間とは違う顔をしていて、
異世界へ迷い込んだ気分になれて面白い。

その後、2時間ちかく高速道路を運転して私は会場に到着した。
同じように続々とバイヤーたちの車が駐車場へ流れ込んでくる。
今回のは1年に2回だけ開催され、
毎回1,700組をこえるアンティークのディーラーが出店し、
およそ15,000人が来場するという大規模な骨董市だ。

キャスターがついたバスケットや荷台を引っぱっていく、
買う気満々の人々。
私も買う気は満々だが、
ジュエリーの仕入れなのでトートバッグだけで一見軽装である。
バッグの中には品物を分類するための袋やケース、
ディーラーとの会話の内容や値段を記録する紙、
ペン、ルーペなどが入っている。

いざ、買い付け開始。
骨董市会場の建物のひとつ。この建物の中に入ると‥‥

ディーラーのストール(出店)が並んでいる。


珍しいものを見つけた。
大人の背丈くらいの高さの手作りのメリーゴラウンドと人形のセット。

ここで1930年ごろに作られたブローチを購入。

他の建物へ移動。
太陽がのぼり、明るくなってきた。朝8時くらい。


アンティークジュエリーを売るディーラーと、バイヤーたち。

ジュエリーのコレクションが素晴らしかったストール。私も3点ほど購入。

昼の12時ごろ。ひととおり会場をまわり、買い付け終了。
駐車場へ戻ると、向こう岸が見えないくらい車の数が増えていた。


駐車場にて。(運転手?)


ジュエリー以外に仕入れたもの。
イギリスの古本と、ドイツ製の1930年代の陶器人形、
エリザベス2世が戴冠した1953年に記念グッズとして売られていた王冠ゲーム。
宝石に見たてた銀の玉がいくつか入っていて、
それぞれを王冠のくぼみに乗せて遊ぶ。

この日に買い付けることができたジュエリーは約20点。
良い品がたくさん見つかって、早起きした甲斐があった。
それらの一部は「ブローチを探すイセキアヤコ」の本編でも
追々ご紹介する予定。

(ある日の日記(7)につづきます)


2013-10-19-SAT

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