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「ほぼ日」のオフィスから、青山通りを渡って徒歩数分。
仕事のあいまにふらりと訪れたり、 お店にたどり着く手前、数十メートルのところから、
階段をのぼって扉を開け、カウンター席に座り、
コーヒーを自分で淹れる方であれば、 注文を終えると、抽出がはじまります。
言葉すくなに、なめらかな一連の動きで。 注がれるお湯は、糸のように細く。
「お待たせしました」
カップを持ち上げ、ついっと傾けると、 ‥‥いまだに青山通りを渡ってすこし歩けば、 38年の営業に幕をおろすにあたり、 お店を訪れるお客さんや、大坊さんの知り合いなど、 本のくわしい内容については、
この本の出版を記念して‥‥ 申し遅れました。 さて、
カウンターと椅子です。 壁に、いちまいの絵を飾ります。
コーヒー仲間のイラストレーター・福田利之さんが、
すばらしい‥‥。 福田さん、ありがとうございます。
せっかくなのでその福田さんにも、 ふたり、カウンターで待つことしばし。 大坊さんの到着からはじまる、糸井重里との対談です。
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大坊 |
これは‥‥? |
山下 |
カウンター席のようなものを用意してみました。 |
大坊 |
今回のために、ここまでしてくださったんですか? |
山下 |
はい。 大坊さんがコーヒーを淹れてくださるのだから、 喫茶店のような雰囲気にしたいと思いまして。 ‥‥あ、ご紹介します。 こちらはイラストレーターの福田利之さんです。 |
福田 |
お店には何度かうかがっているのですが、 はじめまして。 |
大坊 |
はじめまして。 |
山下 |
そこの壁にかかっている絵を、 福田さんに描いていただいたんです。 |
大坊 |
ああ(絵に近づき)‥‥これも今日のために? |
福田 |
はい。すみません、勝手にお姿を。 |
大坊 |
この部屋に入ってきてですね、 最初にちらっと目にしたとき、 なんだかよく似てると思ったんです。 |
福田 |
そうですか(笑)。 |
大坊 |
どこが似てるかと言いますとですね、 肩から腕にかけて、 ポットを持つ手とフィルターを持つ手の この角度が、よく似てると思ったんです。 |
福田 |
よかったです。 カウンターの上に、ちいさな木を描きました。 ぼくのなかでの大坊さんのイメージが、 「きれいに立っている木」だったので、 絵の中に入れさせていただきました。 |
大坊 |
ありがとうございます。 |
糸井 |
おおー、なになに、このセット。喫茶店?(笑) |
山下 |
あ、糸井さん。 |
糸井 |
大坊さん、ようこそいらっしゃいました。 |
大坊 |
お邪魔しています。 なんだか、こんなに準備をしていただいて。 |
糸井 |
ぼくもいま、はじめて知りました(笑)。 そこの壁にかかっている絵は? 福田さんが描いたんですか。 |
福田 |
はい。 |
糸井 |
いつ描いた絵ですか? ‥‥あ、今回のために? |
山下 |
そうです。 |
糸井 |
はぁー、福田さん、いいことをしましたね。 |
福田 |
はい(笑)。久しぶりにしました。 |
糸井 |
じゃあ、まあ、立ち話もなんですし、 喫茶店のセットですから座りましょうか。 |
山下 |
座りましょう。 |
糸井 |
ええと‥‥大坊さんはこの場所で コーヒーを淹れてくださるんですか? |
大坊 |
そのことなのですが‥‥すみません。 ここで淹れたいのですが、 ちょっといまは無理かもしれません。 |
山下 |
あ、そうですか。 |
大坊 |
見ていただくのはぜんぜん構わないんですよ。 構わないのですが、 やはり半年間、仕事から離れていますので、 上手にできないと思うんです。 ですからちょっと、自分が恥ずかしいというか。 |
糸井 |
大坊さん、ここで淹れなくてまったく構わないです。 自由になさってください。 |
大坊 |
キッチンをお借りして、隠れて淹れて、 ここへ持ってくるという、 そういうことでよろしいでしょうか。 |
山下 |
もちろんです。 |
大坊 |
せっかくこんなセットを用意していただいたのに、 すみません。 |
山下 |
いえいえ、お気になさらないでください。 |
糸井 |
おそらく大坊さんは、 お店をされていたときも 見られるのが得意ではなかったですよね。 |
大坊 |
そうですね。 あのころは仕方なくだったんです。 もう、一所懸命、視線に耐えながら。 |
糸井 |
仕方なく(笑)。 |
大坊 |
お店の見えないところで何かをやるのは なしにしようと決めたんです。 ぜんぶ、見えるところでやろうと。 隠さずにやろうという気持ちと 自分の気弱なところが矛盾するのですが、 最初に決めたことなので。 見られることは、ずっと我慢していました。 |
糸井 |
そうしようと企画したのは自分で、 実演するのも自分なんですもんね。 決めた約束を守らなければならなかった。 |
大坊 |
はい。 |
糸井 |
きょうはお店の営業じゃないですから、 なんにも我慢しないでください。 ぼくらも「見せてくれ」って言いません(笑)。 |
大坊 |
ありがとうございます(笑)。 では、向うでコーヒーを用意してきます。 |
(つづきます) |
著者:大坊勝次 このコンテンツのきっかけになった一冊です。 |
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表参道の交差点にほど近く、 【寄稿者】 |