- 絵本&映画『いけちゃんとぼく』編
さあ、あれだけ泣いたわけですからね、 その理由というか、 具体的に好きだったシーンを 挙げていきましょうね。 |
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はい。 でもねー、やっぱりぼくらは、 基本的に泣きすぎだとは思います(笑)。 |
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ふふふ。 |
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もう、いともカンタンに(笑)。 |
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ほんと。 わたしなんか、感激団に参加するたびに 泣きすぎて頭いたくなってる。 |
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スガノさんは 泣くと頭がいたくなるんですよね。 |
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そう、酸欠でがんがん。 |
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スガノの酸欠話はともかく、 『いけちゃんとぼく』の好きなシーン、 どうですか? |
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ぼくは全体的に「ことば」が好きでした。 絵本でも映画でも。 いくつかのポイントで、 こころに残るのがありましたよね。 |
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たとえば? |
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ええと、いけちゃんのセリフで、 「ヨシオくんはかっこつけむし」 っていうのがあって‥‥。 |
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「あのね、きみはね、 よわむしで、つよむしで、いじわるで、 やさしいの。 それで、かっこつけむし」 |
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すごい! |
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そらんじてる! |
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ふふふ。 |
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ふふふじゃないです(笑)。 なんでチナちゃんが笑うの! |
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ほんとうにりかさんは、 このお話が好きなんだなあと思って(笑)。 |
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もうっ! なによ! ほんとに、なんだろ‥‥ でも、そうかな? うん、だいすき。 ふふふ。 |
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りかさんの機嫌があっという間に直ったので、 つづけましょう。 ほかに、よかったところ! |
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はい!(挙手) 蒼井優ちゃんの声! |
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あー、よかったー! |
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淡々としてて。 |
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それ、はずせないポイントだわ。 |
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蒼井優さんは、いけちゃんの声で、 役者さんで登場しないのに存在感が。 |
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声色が変化していくんだよね、だんだん。 すこしずつ、女性の声になっていく。 |
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なった、なった、なってた! |
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そう。 |
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すばらしかったよねー。 スガノはどう? よかったところ。 |
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うん。 「人生のさいごに短い恋をしました」 っていうラブストーリーでしょ? 晩年の。 それがやっぱり、おっきかったなあ。 |
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ラブストーリーだからね。 |
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あとは、お母さんの要素が 映画にはたくさん入ってたから、 あたしはすごい、そこもよかったかな。 |
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ともさかりえさんのお母さん、 魅力的でしたよねー。 |
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絵本では、お母さんが あんまり出てこないですよ。 |
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うん、出てない、ほとんど。 |
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そのお母さんが、見えないはずの いけちゃんの存在を何となく感じて、 「ありがとう」ってお礼を言うんですよ。 |
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あれはいいシーンでした。 |
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監督のアイデアですよね、 とてもよかったです。 |
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もうひとつ、いいですか。 |
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どうぞ。 |
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ちょっと大きくなったヨシオくんが、 最後のほうに出てきますよね。 |
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ええ、大学生になったヨシオくん。 |
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そう。 ということはですよ、 あのお母さんは、 ヨシオくんを大学までちゃんと 出してあげたということですよ。 |
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あ。 |
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おー、そうか! |
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おーーー!!(拍手) |
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ほんとそうですね! |
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すごい、深い、深い! |
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えらいね、お母さん頑張ったんだね。 |
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お父さん亡くなったのに。 |
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女手ひとつで。 |
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そこにも、西原理恵子さんの 経験が入ってるよね。 |
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そうかー、そうですねー。 |
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よかったよねー、ヨシオくん。 忘れちゃうことなんだろうけど、 いけちゃんがそばにいてよかったよね。 |
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ほんと、ほんとうに! |
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りかさんにも、 いけちゃんがいてくれたらねー(笑)。 |
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え? なんですか、その決めつけ。 わたしにだって、いたかもしれないでしょ? もう見えなくなってるだけで。 |
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忘れちゃっただけですか。 |
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そうですよ。 |
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忘れちゃってるんだね。 |
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あのね、ぼくの子ども時代には 「すあま」っていうのは、いたよ。 |
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すあま?(笑)。 |
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すあまって、お菓子じゃないですか。 |
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ぼくのうち、和菓子屋だから、すあま。 |
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すあまが? |
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いつもいた。 |
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ま、まあ、深く追求するのは よしにしましょう。 とにかく、いたんですね、すあまが。 |
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うん。 |
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大人になると見えなくなる、すあま。 |
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そうそう。 |
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わたしはカギっ子だったから、 いけちゃんじゃなくて、 いつもテレビだった。 |
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じゃあ、テレビちゃん。 |
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テレビちゃんだ、あたし。 |
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子どもが、誰もいないところを見て 話してるっていうのは本当にあるのよね。 |
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ある、ある、ある。 |
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赤ちゃんのときはありますよね。 |
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うちのせがれは、 小学校低学年までありました。 |
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誰にでも、 いけちゃんがいるんじゃないですか? |
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うん、そんな気がする。 自転車ちゃん、とか。 |
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‥‥なんか、 いい話になってるよ、今! |
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うん。 |
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この映画、 どういうふうに読者のみなさんに おすすめしたらいちばんいいでしょう? |
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そうですね‥‥。 あれだけ泣いた映画はないんですよ、 ぼく、ほんとに。 |
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へえー、そうなんですか。 |
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あのね‥‥マッサージ行くと、 ものすごいうまい人にさ、 「ここでしょ?」とか言われて、 ギューッてやられると、 まいりました! ってなるでしょ? |
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うんうん。 |
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そこ押されたら確実に泣くっていう ツボを、もう、ぎゅうーっと。 |
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映画性とか芸術とか そういうことじゃなくて、マッサージ。 |
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そういう感じだった。 |
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へえーー。 |
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あくまで「ぼくの場合は」ですよ? でもやっぱり、すごく珍しい体験でした。 |
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そうかあ。 |
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なのでぜひ、 原作の絵本を読んでグッときたかたは、 映画も観ていただきたいですね。 それで、どんな体験をするか、 たしかめていただきたいです。 |
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りかさんのように泣き崩れるか、 あややさんのように、まったく平気か。 |
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ちょっと待ってください! わたしいま、どんどん泣ける気がしてきた。 |
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どんどん(笑)。 |
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なんか、ほんとうにいい話だ、これ。 |
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(笑) |
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こうやってみんなの話を聞いて、 ちゃんと解釈の仕方がわかってくると‥‥。 ものすごい、今、 感動してます、あたし。 もう1回、観にいきたいわ。 |
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どうぞ行ってください。 |
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そして、さっきわたしが言ったこと、 あれを完全に撤回させてください。 |
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ん? なんのことですか? |
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だからほら、 「いけちゃんは犬のほうがいい」 って言ってたじゃないですか。 |
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(笑) |
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いけちゃんは、犬でなくてもいいです! ‥‥ていうか、わたしがそう言ったこと、 書かないでください。 |
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書きます(笑)。 |
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はい、そこまでー、 それくらいにしておきましょう(笑)。 ともかく、『いけちゃんとぼく』。 絵本は発売中ですし、 映画も公開されました。 |
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そうですね、 そしてぼくらは、 深くたのしませていただきました。 |
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このばかばかしい座談会を読んで 興味をもたれたかたは、ぜひ。 |
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ぜひ! あたしも、もう1回いきたいです! |
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というわけで、 感激団、おわりまーす。 |
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ありがとうございましたー。 |
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(『いけちゃんとぼく』編、おわり) |
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2009-06-22-MON |
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協力/角川書店、 2009「いけちゃんとぼく」製作委員 |