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ゲームキューブの『メトロイド プライム』ですが、
坂本さんの役割はどういうものだったんですか? |
坂本 |
『メトロイド プライム』は、プログラムというか、
開発を海外でやったものですから、
全体的な部分を監修するという役目でした。 |
宮部 |
『メトロイド』の世界観とか、
これまでの流れとか設定とかを、
サポートしていくような? |
坂本 |
そうですね。
海外には『メトロイド』のファンも多いんですけど、
細かい設定なんかは、やっぱり知らないんですよ。 |
宮部 |
そうですよね(笑)。 |
坂本 |
いちばんおかしかったのは、
サムスのモデルを作ってきて、
「メトロイドはこれでいいですか?」って(笑)。 |
宮部 |
ちがう~(笑)! |
坂本 |
いやいや、これメトロイドじゃなくて
サムスだからって(笑)。 |
宮部 |
ゲームのタイトルには
主人公の名前が付いてると思っちゃうんですね。 |
坂本 |
よく間違えられるんです。
でも、自分らもつい、リンクのこと
「ゼルダ」って言ったりしますよね(笑)。 |
宮部 |
そういえばそうですね(笑)。 |
坂本 |
でも、海外の人って、やっぱり
イマジネーションがすごく豊かですから、
僕も知らないような設定とかバックボーンを
どんどん書いてくるんですよ(笑)。
まあ、いいものはね、
当然使っていけばいいですけども、
「先の話はどうなるの?」っていう部分もあって。 |
宮部 |
(笑) |
坂本 |
でも、まあ、あんまり堅苦しいことは言わず、
おもしろいものはOKってかたちで、
おおらかに監修させてもらいましたけど。 |
宮部 |
そうですか。
私はまだ全体の5分の1くらいしか
進めていないんですけど、
ぜひぜひクリアーしたいと思っていて。
死にながら、迷子になりながら、
疲れて寝てしまったりするんですけど(笑)。
でも、その手応えが
「やっぱり『メトロイド』なんだなー」
って感じてます。 |
坂本 |
『プライム』は視点が主観になったこともあって、
どういうふうに遊ばれることになるのか
自分でもわからなかったんです。
不安でもあり、楽しみでもありっていう状態で。
でもまあ、信頼できる部隊が関わってますので、
おかしなことは絶対しないだろう、と思いながら。
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宮部 |
そうですよね。
これまでの『メトロイド』は、
サムスが動くことによって道が開いていく
というタイプだったと思うんですけど、
『メトロイド プライム』は、
バイザーを切り替えたりして、
サムスの側が変わることで道が見えていくっていう、
考え方の座標が変わった感じがして
すごく興味深かったです。
難しいですけど、画面はすごくシャープだし、
音楽もかっこいいし。 |
坂本 |
あ、音楽は、じつはウチの部署の
人間が担当してるんですよ。
『スーパーメトロイド』の
担当者がやったんです。 |
宮部 |
ああ、そうですかー。かっこいいですよねー!
だから、ちょっと懐かしい感じだったんだ。
やっぱり同じ方が作ってらっしゃったんですね。 |
坂本 |
そうですね(笑)。 |
宮部 |
私、『メトロイド』の音楽も大好きで。
あの、一度病気で入院したことがあったんですね。
たいした病気じゃなかったんですけど、
念のために1日入院しなさいと言われて。
そのときちょうど
『スーパーメトロイド』で2時間13分っていう
自分自身では最高記録を出したところだったんです。
で、急な入院だから、本も持ってなくて、
9時とかに消灯されても寝られないじゃないですか。
それで、『スーパーメトロイド』のことを
ぼーっと考えながら横になっていたら、
あの、ゲームの音楽が、
どんどんどんどん頭の中で鳴り出して(笑)。
家に帰ったとき、すぐにプレイしました(笑)。 |
坂本 |
それは……すごい……ありがとうございます。 |
── |
坂本さん、恐縮しすぎないで。 |
坂本 |
はい。ええと、あの、ゲームの音楽って、
ホントに空耳で聞えたりしますよね。 |
宮部 |
ええ、ふーっと、聞えたりしますね。 |
坂本 |
僕もありますよ。
僕の場合は、あの、病気になりそうになりながら
開発してたほうなんで。 |
── |
なんだそりゃ(笑)。 |
宮部 |
(笑) |
坂本 |
ホントに、『メトロイド』の音楽が、
1日中ずーっと鳴ってるんですよ。
たまに帰って、シャワーとか浴びてると、
なんか聞えてくる。あれが不思議でね。
ほんまに聞えてるんですよね。もう病気という。 |
── |
……坂本さん、病気の意味が違いますよ。 |
坂本 |
そういうことが、よくあったな……。 |
── |
しっかりしてください。 |