ジョージ |
あ、でもね、サービスとか
バトラーサービスで選ぶんだったら
ニューヨークも違うんだよ。
レーンズボローもその系列なんだけど、
セントレジスっていうのが一番。
これはもう素晴らしいから。 |
つねさん |
聞いたことある。 |
ノリスケ |
聞いたことあるね。 |
ジョージ |
これは素晴らしいから。
ちょっと心がささくれだった時代があって、
行くとこ行くとこでもって
いじわるをしたかった時代っていうのが
あるのね。 |
ノリスケ |
うわぁ、嫌な感じ! |
つねさん |
オカマのいじわる! |
ノリスケ |
すごそう! |
ジョージ |
うーん。あの、「プラダを着た悪魔」の。 |
ふたり |
ミランダ! |
ジョージ |
ミランダ。それ。ミランダの感じ。
で、セントレジス泊まった時に
日経が読みたくなったの。
まだ衛星版が入ってなかった頃よ?
で、言ったの。
「日経が読みたいの」。 |
ノリスケ |
ちなみに「プラダを着た悪魔」では
メリル・ストリープ演じる
ミランダという鬼編集長が
アン・ハサウェイ演じる
アシスタントの女の子に、
娘のためにハリーポッターを
探してきなさいと。 |
つねさん |
それも、新刊。ていうか、
発売されていない、
作家の原稿を手に入れろと。
本屋に並んでいるやつじゃないのよ。
急いでって。 |
ノリスケ |
午後3時までに。でないとあなたはクビ。 |
つねさん |
4時間しかない。 |
ノリスケ |
っていうシーンがあったんですのよ。
そんな感じね? |
ジョージ |
「日経が読みたいの」。
そしたら‥‥届いたのよ! |
つねさん |
どうやって届いたの? |
ノリスケ |
日系企業や日本人社会との
特別なコネクションがあるの? |
ジョージ |
違うの。ファックス。
東京にセントレジスの代理店があるのね。
そこからファックスで、
日経の朝刊最新版を
こまかーく、送らせるわけ。
それをもう1回全部コピーを取って。 |
ノリスケ |
当時のファクスは感熱紙だもんね。
サイズも戻して。 |
ジョージ |
戻して。
で、アイロンをかけて持ってきました。
これでよろしいでしょうかって言うから。 |
ノリスケ |
ミランダだったら決めゼリフ、
“That's All.”(「以上!」)って
言うところね。
あなたは何て? |
ジョージ |
‥‥。 |
ノリスケ |
おっしゃい! |
ジョージ |
「新聞の匂いがしなーい」。 |
ノリスケ |
うわああ! |
つねさん |
ひでえ! ひとでなし! |
ジョージ |
‥‥すんごい、悲しそうな顔したのー。 |
つねさん |
嫌なヤツ! |
ノリスケ |
うわあああああ。こんな上司、嫌ぁ! |
つねさん |
ささくれすぎ! |
ジョージ |
だってインクの匂いがしない新聞なんて、
つまんないじゃない? |
ノリスケ |
読めればいいじゃないの!
読みたかったんでしょ?! |
ジョージ |
でね、そこは2日目もしましょうかって
言うから、いいです、もう気が済みました!
ウォールストリートジャーナルください、
って言ったら、
やっぱりしっかりアイロンかけてあるんだよ。 |
ノリスケ |
もう、そんなの、おちゃのこさいさいね! |
ジョージ |
もう、おちゃのこさいさい。
昨日のこと考えたら全然大丈夫! |
ノリスケ |
あはは。まあね、今の時代だったら
日経衛星版があるから、
そんなの屁でもないわね。 |
ジョージ |
でもそのやりとり、
流石の対応、すんごい楽しかった。
どうするんだろうと思ったら
やりやがったわね、って。 |
つねさん |
嫌だあ! |
ノリスケ |
そんないじわるな旅行はね、
みなさんやめましょうね。
返す刀で切られますからね、
普通の人だったらね。 |
つねさん |
そんなことやってたんだ‥‥。 |
ノリスケ |
そんな時代に知り合わなくて
よかったわねえ‥‥。 |
|
ノリスケ |
他にある?
そういういじわる。
その時代はどんないじわるしたの?
あるでしょう? 言いなさい! |
ジョージ |
絶対に予約が取れないっていわれてる
レストランに予約を入れさせて、
予約が入ったんだけど
都合が悪くなってキャンセル。 |
ノリスケ |
うわあ。 |
つねさん |
あは‥‥はは。 |
ノリスケ |
それ、ほんとに都合が悪くなったの? |
つねさん |
違うと思うな。 |
ジョージ |
予約が入るかどうか確かめたかっただけ。
だってその晩違うところで
ご飯食べることが決まってたんだもん。 |
ノリスケ |
ひどい! いじわる〜〜〜。ろくでなし!
しかもそう思ってないんでしょ?
いじわるだったとは。 |
ジョージ |
だってミュージカルだって
ど真ん中で見たいとか、
メトロポリタンオペラの
メザニンの一番前が欲しいとかっていうのは
いじわるじゃなくて、当たり前だもん。 |
ノリスケ |
ま、まっとうな(笑)?
メザニンって中二階の、
すんごくいい席よね? |
ジョージ |
それは、わがままでも、いじわるでもなく、
単なるリクエスト。 |
つねさん |
まさしく「プラダを着た悪魔」の
ミランダだね。 |
ノリスケ |
ミランダだね。そりゃミランダに
感情移入するわ。 |
つねさん |
するわ。 |
ノリスケ |
目も見ないで“That's all.” |
つねさん |
暴風雨でも飛行機飛ばせ。 |
ノリスケ |
できないと「見損なったわ」。 |
ジョージ |
くくく、あの一連のくだりは。 |
ノリスケ |
ごらんになっていないかたは
あらすじを読んでね。 |
編集部註:この先この映画について
ちょっとネタバレな会話がつづきます。
ご注意あそばせ。 |
|
ジョージ |
あの映画見て、このアシスタント、
気が利かない女って思ったもん! |
つねさん |
がはははは。 |
ノリスケ |
アンドレアのことを? |
ジョージ |
ああいう無理難題を言われるのが
当たり前なんだから、あの子は。
そのために雇われたんだから。
バカな子って思ったよ。 |
つねさん |
はははは。 |
ジョージ |
あんな気の利かないバカな子だから、
一番最後にあんなすばらしい
チャンスがあったのに自分で降りちゃう。 |
ノリスケ |
ねえ。 |
ジョージ |
あれ、最低だよね。
あの終わり方は最低。
貧乏臭い。 |
つねさん |
それはそうだ(笑)。 |
ジョージ |
だって運転手つきの車が
ずーっとついてたんだよ。
サンプル用の衣装が着放題なんだよ。 |
ノリスケ |
そうそう。ミランダをして、
私に似てるわって言わせたのよ。 |
つねさん |
最大の賛辞だよね。 |
ジョージ |
あれを降りてしまう、あんたは何様?
って思うよね。 |
ノリスケ |
ね。で、一般紙に行っちゃうのよね。 |
ジョージ |
バカな感じ。ほんとに。
そうそうそうそう。ミランダの出版社が
買えばいいんだよ。あの新聞社。 |
ノリスケ |
で、もう1回こき使うと。 |
つねさん |
こき使うの(笑)。 |
ジョージ |
いいかもそれ。
あんなの絶対ダメよ、ほんとに。 |
ノリスケ |
アートディレクターの彼の寵愛を受け、ね。 |
つねさん |
ほんとだよ。 |
ジョージ |
そう。
やっぱりあれはオカマなのよね。 |
ノリスケ |
オカマでしょうね。 |
つねさん |
どう見てもオカマだよね。 |
ジョージ |
それで黒人のデザイナーとできてるよね。 |
ノリスケ |
できてるできてる。 |
ジョージ |
絶対。で、フランス版のあの編集長?
気の利かない女よね、あれ。 |
ノリスケ |
ほっんとあの映画楽しかったわ〜。
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