ノリスケ |
「ミシュラン」を信用したり
しなかったりするのは自由なんだけど、
「あそこ入ってるけど全然だめだよね」
というところから、
「そもそも『ミシュラン』全体だめだよね」
みたいな意見は僕はどうかと思ってるんだ。 |
ジョージ |
ああ、そうだね。 |
つねさん |
何でも否定する人っているのよ。 |
ジョージ |
あの、どうかな、全うな料理評論?
いや、これ、これからすごい敵作るようなこと、
言うかもしれないんだけど、
料理だけじゃなく全的に評論の世界って、
変じゃないのよ。そのくせして
評論家が多いんだよね。
映画の世界とかって、
猫も杓子も映画評論をするでしょう?
本当に自分の好き嫌いでしか
映画を語れないのに。
音楽評論もそうで、本当に、どういうのかな、
主観と客観を上手に分けることが出来ない人の
ヒステリックな評論っていうのが、多いの。 |
つねさん |
多いね。 |
ジョージ |
で、その、ヒステリーの度合いが強くって、
表現方法がエキセントリックであればあるほど、
注目を集めたりとかするでしょう。
これね、料理の世界も一緒だと思うんですよ。 |
ノリスケ |
フランスとかってすごそうよね、
料理評論っていう一つの分野が。
「ゴー・ミヨー」(という、ミシュランと並ぶ
辛口評論で知られるグルメガイド)で
星を落とされて、自殺した料理長もいる。 |
ジョージ |
そう。料理評論家も、自分の何気ない一言が
そのお店の生き死にを握ってるっていうことを
十分知った上で、
言葉を暴力にしない範疇で
一生懸命評論をしようとするのね。
あれ見た?
『レミーのおいしいレストラン』。 |
ノリスケ |
見たー。 |
ジョージ |
あそこで本当に重要な役割をしてるのが
料理評論家よね。
で、それが素晴らしいの。 |
つねさん |
すっごい辛らつな評論家なの。 |
ジョージ |
なんだけど、愛情があるのね。 |
つねさん |
だから、愛情上乗せで本当はやってるんだけど、
普通の人から見たら分かんないみたいな。 |
ジョージ |
で、その彼の評論の仕方というのが、
料理を作る人間の
そのメッセージをひたすら
探り当てようとするのよね。 |
ノリスケ |
その料理が、なにを語るのか。 |
ジョージ |
で、多分それが、
世界的にいうところの評論という世界であって、
それを一番、身近に感じることが出来るのは、
この「ミシュラン」だわ。 |
ノリスケ |
おお。おお。 |
ジョージ |
ちゃんと読んで御覧なさいよ。
やっぱり、暖かいもの。 |
ノリスケ |
暖かいですよね。 |
ジョージ |
それでこれは、例えば、その、どうかな、
レストランを表現するときって
こういうふうに表現すればいいのかなあ、
っていうふうに、分かってくると、
いいんじゃないかなと思うな。 |
つねさん |
ふんふんふん、なるほどね。 |
ジョージ |
そういう使い方は出来ると思う。
読み物としてものすごく面白い。 |
ノリスケ |
自分が、ブログなり、人に伝えるときに、
こういうことなんだなって、
ちょっと思うといいかもしれないね。 |
ジョージ |
うん。そうそうそう。 |
ノリスケ |
でも人は、「ここがだめだ、残念だ」
って書くほうが楽なんだよね。 |
ジョージ |
うん、そう。
もちろんほんとうに
「残念」のお店ってあるんだよ。
でも全部が残念なわけじゃないの。
だから今度来るとき
これが直ってるといいねって、
ちゃんとその場で言えれば、
本当に常連さんだからね。 |
ノリスケ |
ちゃんとエールをおくりつつね。
|
|
ノリスケ |
レストランって、ふしぎなのは、
お料理もいい、サービスもいい、
でもなんだか雰囲気がおかしいってこと、
あるじゃない?
ライブやお芝居にもそういうことあるけど、
自分もふくめて、
なぜだか、お客さんのノリが悪いってこと。 |
ジョージ |
ある。だけど、それって
お店の責任じゃないでしょう。 |
ノリスケ |
だよねえ。 |
つねさん |
うるさい客とかねえ。 |
ノリスケ |
で、逆になることだってあるしね。
自分たちにしても、
いわれもなく嫌われることだって、あるわけで。 |
ジョージ |
あるあるあるある。そう。そのとおり。 |
ノリスケ |
「せっかくの記念日なのに、
隣の席、大食いの男二人が来て、
御機嫌みたいだけど、
ムード台無しね!」みたいなことを、
もしかしたらね、やらかしてるかも。
私たち。
「居酒屋みたいな感じじゃない?」
とか言われたりしない? |
つねさん |
ふーんだ。
「男二人でもラブラブなんだよ!」
って言い返したい!(笑)。 |
ノリスケ |
それを言ってもさぁ(笑)。 |
ジョージ |
(笑)。 |
ノリスケ |
はい。ま、何を言ったところで、
自分たちがそうなってしまう、
一因になる可能性も、
大いにあるってことだもんね。 |
ジョージ |
うん。そのとおり。
あるのよ、実際。
ああ、今日は僕ら迷惑なんだろうな(笑)、
っていうのが。
‥‥あるよぉ。 |
ノリスケ |
知り合いが、ミシュランに載ってる店で
大食い記録を持ってるそうなの。
行くといつも、ワインあけて、
5時間ぐらいいて、
ベロベロになって大騒ぎして、
とうとうお店の人たちがほかのテーブルで
お会計の整理とかし始めるんだって(笑)。 |
ジョージ |
それはね、もう覚悟してるから大丈夫。
朝礼で「今日はあの大食いのお客さまからの
予約が入っています」(笑)。 |
つねさん |
「あまりかまいすぎないようにしましょう」。 |
ノリスケ |
「てきとうにあしらいましょう」(笑)。 |
ジョージ |
‥‥そういえば、
『恨ミシュラン』って昔あったよねえ。 |
つねさん |
あった、西原理恵子さん。 |
ジョージ |
僕、『恨ミシュラン』って、好きよ。
あれ面白かったよ。
あのね、何を恨んでるって、
こんなところに来てしまった自分を恨んでるのよ。
自分の境遇が悲しいわけね。
「この店、ひどいから、
皆さん行くのやめましょう」
っていうのではないんだよ。 |
ノリスケ |
なるほど。
でも、あれをちっちゃくマネするのは、
どうかと思うなー。 |
ジョージ |
ネットの世界で『恨ミシュラン』を変に真似すると、
「行くのやめようぜ」って
いうことになっちゃうんだな。 |
つねさん |
そうだね。 |
ジョージ |
これがね、失礼なこと。
だってね、あんたは嫌いかもしれないけど、
世の中にはこの店がないと
困る人がいるのよっていうことだからね。 |
つねさん |
店の人だってそうだしね。 |
ジョージ |
そう。成立してるんだから。 |
つねさん |
それはそうだ。 |
ジョージ |
例えば、「ミシュラン」の中にも、
料亭さんでね、丁度防衛庁の額賀さん問題で
接待がどうたらこうたらっていうのが入ってるよ。 |
つねさん |
どこ? |
ジョージ |
「濱田家」。 |
つねさん |
あれ、三つ星じゃなかったっけ。 |
ジョージ |
うん。三つ星だよ。
まずさ、そういう人たちの
使い勝手のよさを究極まで、
突き詰めてるんだもん。 |
ノリスケ |
密談が出来るんですからね。
素晴らしいことですよねえ。 |
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